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第26話 地獄の遠征に行く・12

R15作品です。


読んでくださる皆様ありがとうございます。


徐々にブックマークも増えて嬉しいです!


これからも楽しんで貰えるよう頑張りますのでよろしくお願いします!




「ハヤトくん。君も一緒に世界を滅ぼしませんか?」



本当にこの人は何を言っているのだろうか?


頭は大丈夫か?


俺が世界を滅ぼす事に加担するとでも思っているのだろうか。



「いきなりそんな事を言われても無理に決まってると思うのですが…頭は大丈夫ですか?」



おっと…思わず心の声まで最後に出てしまった。



「大丈夫に見えますか?もう色々ともう駄目なんですよ」


「サーシャ…貴方は何を見たの?何を知ってそうなってしまったの?」



師匠がこの頭のおかしい神に問い掛ける。



「それは……」


頭のおかしい神様が喋ろうとした瞬間。


何も無いこの世界の空間にヒビが入る。



「ちっ……もうクソ神が嗅ぎ付けて来ましたね…こんなに早いなんて、もしかしたらハヤトくん…君はクソ神に見られているのかもしれません」



サーシャはそう言ってこの世界の空間に扉を作り出した。


「今日はここまでです。ハヤトくんはよく考えておいてくださいね?また話に来ますから…それと師匠、ハヤトくんの存在が未確定なのでまだ時間はありますが近いうちに私は動きます…そうですね…8年後くらいですかね」



未確定って何が未確定なんだろうか。



それに8年が近いうちって…流石おば…


「おばさんじゃありませんからね?」



おおふ…師匠もだけど勘が鋭過ぎませんかね。



あれか?

年の功ってやつか?


多分この人も二百歳超えてるんだろうし。



「サーシャ……」


「では師匠、8年後にまたお会いしましょう…ハヤトくんはもっと早く会う事になると思いますけど」



サーシャは最後に「それではまた…」そう言って扉を潜って消える。


それと同時にひび割れた世界も消えて無くなり、何事も無かったかのように俺と師匠はペンドラ騎士団の面々の前に居た。



「団長!それにハヤトくんも!ご無事でしたか!」


ガイアス副団長が駆け寄ってくる。



「ええ私もハヤトくんも大丈夫よ」


「大丈夫です」



なんか濃密な時間だった。


魔素が感じられないサーシャに、魔法が使えないサーシャの世界。


それでもサーシャから漂う得体の知れない雰囲気。


空気が違うとでも言えば良いのだろうか。



重いのだ。

何が重いのかはわからない。


しかし、重かったのだ。


サーシャの雰囲気が、空気が…である。



「行軍に戻るわよ」


「よろしいのですか?あれが団長の警戒するササナギのリーダーと思われる人物なのですよね?」


「大丈夫よ。サーシャは8年後に動くと言っていたから…少なくとも今は大丈夫よ」



こうして行軍は再開される。


サーシャ・ナーギスト…また俺に会いに来ると言っていたけど、殺されたりしはないだろうか?



話が通じる気がしないのだが、どうしようかな。



「群れではありませんが魔物を発見しました」



考え込みながら行軍をしていると、索敵担当から師匠の元にそんな報告が入る。



「ハヤトくん、いける?」


ついに魔物との初戦闘か。


「いけます」


俺は端的にそう答える。



ペンドラ騎士団の進行方向上の300メートルほど先に熊型の魔物らしき影が4つ見える。



魔物が居る辺りは見晴らしがいい平地なので他に魔物が潜んでいるという事も無いだろう。




「一つだけアドバイス。魔物は人を襲う害獣だから遠慮なんてしない事」



師匠から助言を貰った俺は黒刀・羅刹を抜き放ち構える。


さて…いよいよか。



黒刀・羅刹に魔素を通して発動状態にしてから俺は熊型の魔物の元まで転移した。



「………グルルルロァァッッ」


1頭が俺を見て数秒固まった後に咆哮を挙げる。



その咆哮に気付いた他の3頭も各々に咆哮を挙げて俺に殺意を向けてくる。



正直に言うならば少し怖い。



誘拐された時も、師匠との模擬戦でも、先程のサーシャとの対話でも…こんなに明確な殺意は向けられなかった。


そうか…俺は今からこの魔物達の命を奪うんだ。



そうしなければ俺が命を奪われるのだから。



決めていたじゃないか。


弱者を虐げる理不尽には容赦しないと。


覚悟していたじゃないか。


理不尽の権化である魔物は殺すと。



覚悟を決めろ。



さあ…始めるか。




俺は黒刀・羅刹を目の前で腕を振り被った魔物の肩上から斜めに通す。


そのまま魔物は固まって動かずに、斜めにズレて崩れた。



残り3頭。



次に近い魔物の背後に転移して、気付かれる間もなく首を跳ね飛ばす。


残り2頭。



「「グルルル……」」



ここまで来て熊型の魔物は俺が危険だとわかり警戒したのか、2頭で同時に襲い掛かってきた。



目の前には腕を振り被った魔物と、背後には口を開けて牙を覗かせたまま今にも噛み付こうとしている魔物。



2頭が俺に被さる瞬間、俺は転移で腕を振り抜こうとする魔物の頭上に転移する。



そのまま上から下に黒刀・羅刹を頭から貫く。


その先には噛み付こうとしていた魔物の頭もあり、2頭は呆気なく命を散らした。



こんな物か。


思っていたよりも呆気ない。



苦戦をするとは全く思っていなかった。


しかし、命を奪う事に対する忌避感はあると思っていた。



相手が魔物だからだろうか?


それとも俺が命を軽く見ているのだろうか?



おそらく前者だろう。


俺は魔物を殺す事に大した感慨も何もなかった。



戦闘が終わって俺は師匠の居る元に戻る。



「終わったようね。どうだった?」


「まだ終わっていません」



師匠とその周りのペンドラ騎士団の面々も疑問顔をする。


「後始末のやり方を学んでいないので…すいません」


「ええっと…戦闘自体は問題なかったのね?」


「それは問題ありませんでしたよ」



師匠は一言「そう…」と答えてから部下に後始末の指示を出す。


「一緒に行ってやり方を教わって来なさいな」



俺は言われるがまま魔物の後始末の作業をする騎士団の面々に付いていった。








・・・ユーエ・スフィア視点・・・



「あの子…初めて命を奪ったにしては落ち着いてるわよね…」


私の弟子のハヤトくんは実力的に言うならばあの程度の魔物は問題にもならない。


問題はそこじゃない。



命を奪う事に対してあの子は何も感じていないと思わせる対応だった。



「少し心配ではありますね…団長が師匠なのですからしっかり見ていてくださいよ?」



ガイアス副団長がそんな軽口を言う。



「わかってるわよ。私がちゃんと心のケアもするわ」



でも…少し似てるのよね。


サーシャに……



まさかハヤトくんもサーシャみたいになったりしないわよね?



流石に心配し過ぎかしら。



そんな事を考えていると、どうやら魔物の後始末は終わったようだ。



せめてこの遠征中に教えられる事は教えよう。



私の可愛い弟子なのだから。

次回の更新は明日の19時となります!


新作に関してはもうしばしお待ちください!

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