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第27話 地獄の遠征に行く・13

R15作品です。


新作はもう暫しお待ちくださいませ。



魔物との初戦闘をした日の夜。



俺は師匠に呼び出されてペンドラ騎士団の野営地から少し離れた場所に居る。



何をするのだろうか?



「さてハヤトくん。君には覚えてもらいたい魔法があります」


覚えてもらいたい魔法?


一体なんだろうか。



「覚えてもらいたいのは念話魔法って言うんだけど、何となくイメージは出来るよね?」



あれか。

元居た日本のオタク文化ではよく出ていた携帯電話の通話のように離れていても会話が出来たり、実際に喋る必要が無く密談や戦闘中の連携に使われていた会話方法か。



「イメージは出来てるみたいね。この念話魔法は戦闘中で物凄く役に立つんだよね…特に私やガイアス副団長のように転移魔法を戦闘中に使うタイプは移動距離が広いからさ」



「なるほど、声では届かない場面も多そうですしね」


「そういう事ね。全然念話届かないからもしかしてとは思ってたんだけど今まで使った事はある?」



ある訳が無い。


だって俺友達が居ないもん。


家族で念話が必要な事も無かった。



使う相手が居ないからか念話自体知識としては持ってても覚えようとは思った事が無い。



「ありませんね。今まで必要だと思った事がありませんでしたから」



「そうなんだ?もしかして友達とか居ないのかな?」



ぐはっ………ストレートに他人に言われるとグサッとくる物があるな…



魔法の勉強とか訓練ばかりで友達を作ってこなかったから仕方が無い。



仕方が無いったら仕方が無いのだ。


決して俺がコミュ障な訳では無い。



………ホントだよ?



「まあ何にせよペンドラ騎士団では念話がよく使われるし、私自身も念話はよく使うからハヤトくんも使えるようになろうね」




こうして念話魔法を覚える事になった。



やり方は意外と簡単で、詠唱で魔法を発動させてから意思を乗せた魔素を飛ばすだけ。



詠唱を一度して覚えると自転車を一度乗れたらずっと乗り方を忘れないように身体が覚える。


あとは意識してオンオフの切り替えをするだけで、常時念話魔法自体は発動してるのが普通なようだ。




「飛ばす魔素を強く多く速くすれば、それだけ遠くに居る人に届くからね?あとは相手を指定して飛ばす事も出来て、その場合は届けたい相手をイメージするといいよ」



ふむふむ。


結構便利だな。



「それと念話はオンにしている相手にしか届かないからね?少なくとも遠征中はずっとオンにしておくように」


「わかりました」



『さて、これで届いてる?』



『大丈夫です』



早速師匠が念話を試してきた。



なるほど…思った事がそのまま届いたりするのではなく、ちゃんと伝える意思を持って魔素を飛ばさなきゃならないんだな。



「とりあえずはこれで平気ね…今日はもう戻りましょうか」



こうして俺と師匠はペンドラ騎士団の野営地に戻って地獄の遠征1日目が終わりを告げる。



それからは度々魔物が出現して狩りをしつつも、特に問題無く1週間ほどで北の魔大陸と呼ばれる魔物の領域に到着する。



予定ではこのまま東の海に向かいながら魔物の間引きをしていく事になる。




「ここからが本番で遠征未経験の者は油断しないように、経験者は慢心しないように!では予定通りに行くぞ!」


師匠がペンドラ騎士団の面々の前で激励を飛ばし、ペンドラ騎士団は行軍を開始する。



「あ、ハヤトくん君はこっちこっち」



ん?


なんだろうか。


俺は師匠が呼ぶ方に歩いていく。



「ハヤトくんは私と二人きりのデートよ?」



はい?


三百歳超えのオバサンが何を…おっと師匠の目付きが鋭くなった。


相変わらず年齢に関しての勘は凄まじいな。



「ガイアス副団長から聞いてなかったの?」




ガイアス副団長から?



……ああそういえば師匠は俺を連れて二人で北の魔大陸を進む予定をしているって言ってたっけ。


でもそれはその前の行軍で判断してからって話だったはずだが。



「ガイアス副団長とか反対してたペンドラ騎士団の面々も、何度も卒無く魔物を倒すハヤトくんを見て了承してくれたわよ?」



まじでか。



俺まだ8歳なのに魔物の領域で師匠と二人きりにするのか。



こんな愛らしい見た目の俺を……ペンドラ騎士団の人達は鬼だな。



「そういえばガイアス副団長が「黒刀・羅刹を使って戦うあの姿はまさに剣姫ですね…男の子ですが」なんて言ってたわよ?」



師匠がにやにやしながら教えてくる。


剣姫とかなんやねん。



まあつまり実力を見て問題無いと判断されたのはわかったよ。



「という事で早速出発するんだけど、一つ約束をして欲しい事があるのよ」



突然師匠の雰囲気が神妙になる。


「魔人と呼ばれる者達の存在は知っている?」



「知っています」



魔人とは魔物の中でも特に知恵が高く、人語を解する魔物だったか。



「魔人と遭遇した場合には全力で逃げなさい」



どういう事だろうか?



「魔人は強いのよ…ハヤトくん、貴方でも勝てるとは思うけれど万が一の可能性が捨て切れないの」



「そんなに強いのですか?」



「個体差によって大分変わるけどね…中には私でも苦労するようなのも居るのよ」



師匠といい勝負出来るとかどんだけだよ。


これは素直に従っておこう。



「わかりました。逃げる場所は何処にすればいいですか?」



「ペンドラ騎士団との合流を目指しなさい。それでガイアス副団長に報告後はガイアス副団長に付いていなさい」



「わかりました」



「まあそんなホイホイ出会うような存在じゃないから大丈夫だとは思うけれどね」




「じゃあ行くわよ」


そう言って師匠と俺は北の魔大陸の奥に向かって歩き出した。

明日も19時更新となります。

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