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烙印者 Prequel ~空白の1ページ~  作者: 日月
第-章 分岐点
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50/50

ep.01.5 √B ~夢の終わり~

拙い文章ではありますが あなたの心に触れられたら 幸いです

 頭の中に声が響く。

 知らないはずなのに、どこか懐かしいような声だった。



(ここは誰だ?)

 混乱から生じた思念は意味を成さない。

 楽しくて優しい夢から、つらく厳しい現実へと強制送還された。

 それがあまりに唐突な場面転換だったため、状況を把握するのに時間を要する。

 

 白い天井。

 

 白い壁。


 白いベッドの傍らには綺麗な花が飾られている。


 体が酷くだるい。自力で起き上がるのは無理そうだ。

(病床に伏してるくらいだ、当然といえば当然か……)

「――ヵ……ァ……」

 人を呼ぼうとするが、喉が張り付いて上手く声が出せない。

(そうだ。ナースコールを――えっ!?)

 なけなしの力を振り絞り、ナースコールに手を伸ばすと枯れ木のように痩せ細った腕が視界に入る。

(オレの体……だよな……いったい何が起こって……)

 見慣れた視点から見る、見慣れぬ体に呆然とする。

「ぅ、あ…………」

 急激に心身に負荷が掛かったせいか意識が遠のく。 

 異世界に転移したときに失くしていた記憶。自分が何者であるかという問い、その答えが怒涛の勢いで流れ込んでくる。

 ここでのオレは世界の加護を受けた転移者ではなく、どこにでもいるその他大勢の凡人。

 心躍る冒険も、明確な敵や、それを制覇したときの達成感もない。

 導いてくれる魔法使いや、溺愛してくれたお嬢様、引き立て役のかませ犬もいない。

 これから先は、どこまでも無味乾燥な日々が続くのだ。

 不意に去来するのは、お気に入りのゲームをクリアしたときに似た喪失感。



 浮かんでは消える仲間の顔に見送られながら、俺は再び眠りに就いた。

ここまでご高覧いただき 誠にありがとうございました 

『烙印者 Prequel ~空白の1ページ~』は ここで一区切りとさせていただきます

引き続き、次回作『烙印者 ~忘却の少年~』をお楽しみいただけたら 幸いです


ご感想など お待ちしてます 活動の励みになります



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