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No limit my hearts  作者:
1章 最北の島 ベルムーン
3/4

蒼月の魔女

文才が欲しかった。

どうやらこれは夢では無いらしい。そう唯が理解したのは2度目の起床によってだった。

見たことある天井に独特な毛布とベットの感覚。そして、質素な灰色のカーテン。

唯はベットから出て立ち上がると古びた木材のきしむ音がした。


「....夢じゃないのか?」


地面に触れる足裏は冷たくひんやりとしていた。唯は少しばかり歩くと、扉のドアノブを握り前へと押すと、ギギギと音を立ててと扉が開いた。


「....。」


ドア越しにその先を見つめ、誰も居ない事を確認し、廊下に出た。


「広いな。」


目のまえは木材格子で真ん中が吹き抜けになっている。そして今先ほど出てきた部屋の両隣にもドアがあり、ここがホテルや宿泊所の様なものだと知った。


♪♪


「...。」


フェンスの下からピアノの演奏が響いた。

とても悲し気な曲であり、美しい音色であった。下を覗くとホールの中心に一つのグランドピアノがあり、そこには先ほど話した少女_ベルがいた。どうやら彼女が弾いているらしい。

唯は降りて彼女と話そうと考え、近くにあった階段をゆっくりと降りて行った。


降りていくと、曲は終盤に向かおうとしていた。

目のまえには、ピアノを弾いている一人の美しい少女。


「ベル。」


唯はそう一言呟くと、ベルは演奏をやめ唯の方向に体を向けた。


「...どうしてここに?」


「...なんというか。って、ベル。君はピアノを弾けるんですか。」


「そう。ピアノは私の趣味であり、得意分野。

長い間、暇を紛らわすために、私はずっと演奏していた。」


「...弾いてていいですよ。邪魔して...その、悪かった...です。」


ベルはそのまま演奏を続けた。邪魔にならないように唯は端に寄った。


(....観客は俺しかいないのか。)


周囲には誰も居ない。沢山部屋があったが、人が住んでいるような気配は一度もしなかった。

なぜ、これだけ広いのに誰も居ないんだろうと、唯は少し不気味に思った。


暫くすると、ベルは演奏をやめた。


「....終わったんですか?」


「...どうして敬語?」


「....えっと。なんというか。」


「敬語なんて使わなくていい。めんどくさい。」


彼女はそういうと、ベンチタイプのピアノの椅子から立ち上がった。


「...この曲、昔私の友人から教えてもらったの。曲名は、「蒼月の夜。」」


___聞いたことは無かった。唯はピアノについて何も知らない。


「...そうなんだ。俺は、ピアノについて何か知っているわけでも、何も知らないけど、なんだか

とても悲しそうな曲に聞こえた。」


ベルは立ち上がり空を眺めた。


「...この曲を書いたのは、蒼月の美しさに魅入られた一人の少年。空を覆いつくすほどの月を、この目で観たい__そんな願いを抱いていた。だから彼は、禁じられていた夜でも、時折ひとりで外へ出た。

....そして、その夜彼は出会ってしまう。最悪の少女に。」


ベルは唯を見つめた。


「....それが月詠の魔女__ノストラディアン。彼女はあまりにも美しくて、そして、残虐だった。 彼女は少年を惑わせ、やがて2人は対立する。けれど彼は王の息子だった。...だから、平和の為に、愛した少女を殺さなければならなかった。

.....そのすべてを彼はピアノに刻んだ。それが、この曲のあらまし。」


「....’魔女’ってなんなんだ?」


唯は妙に気にかかった’魔女’という単語に疑問を抱いた。


「魔女は「悪」とされている。魔女と呼ばれるものは、この世界の称号。それがあるだけで世界を滅ぼしにかかるそんな邪悪なもの。」


「....そ...そうなのか。」


「....。」


ベルはそれを言うと、外に向かって歩き出した。


「ついてくる?貴方、ここの周り何も知らないでしょう?私が案内してあげる。」


「....いいのか?」


「うん。」


ベルはそういうと歩きだし、唯は大人しくそれに続いた。


修正箇所が多くみられるかもしれません。ご了承を。

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