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帰還勇者の内事六課異能録  作者: 大正


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69:被疑者捜索

 翌日から、事件に巻き込まれた人への事情聴取や、渋谷各所の防犯カメラから判断できるかどうかわからないが、とにかく犯人の風貌探しが始まった。


 昨日巻き込まれた人に捜査協力を依頼したり、乱闘の原因になった半グレへの取り調べなどが始まったが、メモってある通り、犯行現場にいた乱闘参加者は全て男性。女性は一人も居なかった。乱闘に巻き込まれてけが人として救急搬送された女性はいたが、女性に話を聞いてみると、はっきりとした答えを得られていたので、霧によって思考能力を奪われていたという形跡は見当たらなかった。


 他にも幾人か話を聞きに行ってみたが、やはり乱闘現場にいた女性は謎の霧に包まれてそこで乱闘をしていた、乱闘に紛れて何処かのホコリが舞い散ったり砂が舞い散っているのだと思っていたなど、霧そのものを気にするような人はいなかった。


 これは、仮説を裏付ける確かな話として想定に組み込めるのではないか。次に男性側にも話を聞いてみたが、こっちは一転して記憶がおぼろげである人間が非常に多かったが、そもそも反目していたグループ同士の乱闘ということで、元々喧嘩する相手として見込んでいた部分もあり、乱闘に発展したことには自然なことだったかもしれないといった反応が多かった。


 半グレ同士の抗争という面ではいつ起きてもおかしくなかったのは置いといて、結局どういう流れで抗争に発展したのかについても記憶はあやふやだったが、気が付いたらお互い殴り合っていた、という話が多く聞けた。


 これは他の部署の調書を参照させてもらった部分も多いが、とにかく相手への怒りで乱闘に参加していた、という物が大半であり、ちょっとしたやり合いが暴行事件に発展し、そのままかなりの人数を巻き込む形で乱闘に発展した、というのが時系列順であり、最初の一人が誰だったか、という点までは辿れなかった。


 今もまだ病院で絶対安静状態になっている半グレの構成員が居るらしく、そちらへの聞き取り調査はまだできない現状だった。これは、重症者の中に何らかの理由を持っている奴がいるという可能性が高そうではある。


 ピンポイントでこいつだ、と今のところあたりをつけることはできないが、その今も昏睡状態にある半グレの構成員が話せる状態まで回復するか、それともその構成員と霧の能力者との接点を見つけられるかが今のところの争点にはなりそうだ。


 フィリスの調書もある程度揃ってきたところでお互い付き合わせてみるが、男女で綺麗に分かれることがわかり、これは男性だけに効果のある霧だった、と結論付けるには充分なだけの証拠が揃ったと言えるだろう。


「男性にだけ効く霧の能力……なぜ男性だけなんでしょうね」

「男性に恨みがあるからとかかな。そうなると、何かしらの事件に巻き込まれたか、男女のいさかいが原因でそういう能力を発現したか、ダーククロウみたいに誰かに能力を植え付けられた可能性が高いな。男性だけに効力のある霧なら、もうちょっと指向性をいじるだけではなく、もっと直接的に効果のある思想を植え付けることは可能だったはずだ。そこまでではない、ということだろうか」

「どうなんでしょう。両方のグループに関する事件みたいなものをまとめた話があればもっといいと思うんですが」


 半グレが起こした事件か。どちらのグループが、と特定できないので、カルミナの分析の結果を待つのが先かな。その後でこういう事件を起こした奴がいないかどうか、というのを絞り込むほうが楽が出来そうだ。


 しばらく部署内で調書を回してそれぞれの集めてきた意見を集約してまとめる。やはり女性で被害にあった、という話はなかった。霧に紛れている間に転んで怪我をしたとか、そういうのは除外しても霧の影響を受けたと言えるようなケースはゼロだったと言えるだろう。


「これは……犯人像が見えないわね。男性に恨みを抱いてる、という方向性には持っていけそうだけど」


 鈴木さんが意見をまとめて犯人像を浮かびあげさせようとするが、なかなかうまくいかないらしい。


「この半グレグループが起こした事件の中で婦女暴行……つまりレイプや痴漢、それに準ずる行為の被害者、という可能性がリストアップできるとは思いますが、まだ決め込むには時間が足りないと言えます。せめて女性の逃げた方向と、女性の特徴、それからその女性が関係する事件なんかを絞り込めれば良いとは思うんですが」

「それはカルミナ頼りになるわね。あの子がきっちり防犯カメラの映像から犯人を絞り込んでくれればいいんだけど」


 一時間ほどああだこうだ言い合ってる間に、カルミナが目をこすりながらモニタ室から出てきた。


「疲れた……」

「何か収穫はあったか? 」


 全員がカルミナのほうへ視線を向ける。それだけ頼りにされていたという事だろう。


「とりあえずちかてつぎんざせん? で逃げたことまでは解ったわ。あと、犯人の人相は多分これで合ってると思う。画像が荒いから参考にはならないかもしれないけど、同じ人が警察のお世話に最近なったかどうかを含めて調べるのはこれからじゃないかしら」


 拡大された写真を基に、もう一度調べ直すことになった。


「方向性としては女性が被害者としてかかわった事件調書の確認、という方向性で良いんでしょうかね。何らかの事件に巻き込まれた結果誰かに目を付けられて能力を付与されたのか、それとも自力で目覚めたのかまでは解らないが、犯人が浮かび上がっただけでもこれは儲けものだな」


 カルミナに付き合っていた内村課長も目をシパシパさせながら部屋から出てきた。


「問題は捕獲方法と次に事件を起こすならどこでやるか、辺りになると思うんだが、そのへんは思いつく話はないか? 」

「渋谷で二回連続起こした理由も解ってないしね。そこまで渋谷に執着する理由があるのかどうかわからないけど……警視庁のデータベースに残っているかしらね」

「被害届のほうでも捜査した方がいいな。もしかしたら誰か身近な人が半グレグループに襲われてそれが原因で負の感情を増大させて、そこに付け込まれて異能力を付与されたって可能性もある」

「じゃあ、進藤君とフィリスとカルミナは被害届を調べてもらえるかな。またパソコンとにらめっこになるが、他部署にそこまで顔が広くない君らにはそのほうが仕事として効率がいいだろう。俺はちょっと暴力団対策課のほうへ声をかけていて最近半グレグループが起こした問題のほうを調査していくことにする」


 近藤さんは暴対課に伝手があるらしく、そっちへ行くようだ。鈴木さんは引き続き容疑者候補が何処かのリストに載ってないか、最近救急搬送された被害者と容疑者の関係性について調査していく方向性になった。


 さて……上手いこと情報が出そろってくれるとありがたいんだが、そうそう簡単に出てくれるとは限らない。半グレの起こした横着騒ぎをかたっぱしから洗っていくことにしよう。どこかに接点はあるはずなんだ。


 二回目の事件では何がしたかったのかまでは解らないが、二回目で味を占めれば三回目も行うだろう。もしかしたら半グレグループを潰すために動いている可能性もあるし、昨日の今日でまだ昨日の被害について出そろっているわけではない。


 今現在進行形で被害届が出ている可能性があるし、新しいものから順番に見ていく、ということでもいいだろう。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
警視庁に暇してるけど超頭のキレる窓際刑事さんいないかな 小さいことが気になりそうな
動物の生態ならフェロモンとかがありそうだけども能力となると能力者の精神とかが能力に反映されてるとかありそうだからなー
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