13、ルーシアの国
「レイシアさん、大丈夫ですか?」
翔は訊ねた。
今日は結婚式の当日だ。
「問題ない」
レイシアは無表情で答えた。
「結婚式、驚きましたね」
翔がそう言うと、レイシアが答えた。
「そうでも無いさ、もともと仲の良い国同士だったからね」
二人は宿屋を出て、冒険者の館に向かった。
冒険者の館は、結婚式の話題で持ちきりだった。
「今のところ、討伐の依頼とかはないなぁ」
冒険者の館の主にそう言われるとレイシアはため息をついた。
翔は言った。
「どこか、別の街に行けばもっと依頼はありますか? 」
「ここら辺だと、ルーシアの国ならもっと活気があるかな」
レイシアが頷いた。
「行って見ても良いかもしれないな」
「ルーシアの国ですか? それは何処ですか? 」
翔が聞くとレイシアが答えた。
「ここから馬車で一日くらいの所にある大きな城塞都市だ」
レイシアが続けて言った。
「辺りにはモンスターが沢山いる森も洞窟もある。スキルアップを目指すには良いかもしれない」
翔は頷いて言った。
「それじゃ、そこに行きましょう」
「もう、ここには戻れないかもしれないぞ」
冒険者の館の主が言った。
「ミスティ王国はルーシアの国に攻め入る算段をしているって言う情報が入ってきている」
「そんな馬鹿な!? 」
レイシアは青ざめた。
「いや、新しく二つの国が一緒になったら、ルーシアの国とも戦えるかも知れない」
「そんな、ルーシアの国はそんなに弱くないですよ!? 」
レイシアはそう言いながら、考えた。
「でも、私を陥れたミシェルなら、なにか策を立てているかも知れない・・・・・・」
レイシアは不安そうに呟いた。
翔はレイシアの肩をたたくと、元気に言った。
「レイシアさん、ここで考えていても前へ進めません」
翔は言葉を続けた。
「ルーシアの国に行ってみませんか? 」
「翔・・・・・・」
レイシアは顔を上げて、頬をたたくと微笑んで言った。
「ルーシアの国に行ってみよう」
「はい」
二人は冒険者の館を出て、宿屋を後にした。
「ルーシアの国は、手練れの冒険者が集っている。手強いぞ」
「だいじょうぶです、このヒノキの棒があれば」
翔はそういって、腰に差した伝説のヒノキの棒を指さした。
「そんなこと言って、まだ吸血コウモリくらいしか倒せてないじゃないか」
「僕の力は、まだまだ成長していきますよ」
「頼もしいな、翔」
レイシアの力ない笑顔に、翔は少し心配になった。
それでも、今はルーシアの国でレベルを上げることに賭けるしかなかった。
翔とレイシアは、遠出になるため市場で干し肉や薬を買って、準備を整えた。
二人はルーシアの国に旅立っていった。




