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「姫様、舞台の準備が整いました」
「ありがとうアーニー、もう姫じゃないんだが?」
「すみません、他の呼び方が慣れなくて…」
ゾンビ軍団や吸血鬼に襲われ、半壊した村の広場に簡易的な舞台を作りたいとアーニーに相談した所、自分に任せてくれと用意してもらった。
村人を元気付けたいという思いで企画されたライブ。ちなみに楽器はピアノとギターが用意された。
「ひびきちゃん、ギター弾けんの?」
「趣味でね。アイドルじゃなかったら、バンドやってたかも」
ギターのチューニングをしている響に柑奈が物珍しそうに話しかける。
「そーいやピアノって誰か演奏出来たっけ」
「んー、リーダーとか…今居るメンバーだったら、優帆と汐梨が弾けたはず」
「へーよく知ってんね!」
「雑談でね、そーいう話しないの?」
「全然しないかも! ゲームとかテレビ番組はよく話すけど」
「柑奈は何か演奏出来る楽器ある?」
「リコーダーなら出来るよ、下手だけど」
「それは出来るとは言いません」
ヒメが出した城を一旦戻して、平和になった村の近くで再び出現させた。
中で休んでいた羽海は未だ目を覚まさず、それでも傷は塞がり後は復活するのを待つのみ。
まもりは、ずっと羽海のそばでその時を待っている。
その羽海とは別室のベッドでパニックになったイアが布団を被って寝込んでしまっている状態。
そしてその隣の部屋では長距離を往復しまくっていた晴がだるそうにベッドに突っ伏していた。
「この世界に来てこんな疲れたの初めてかも…」
「ねー」
「ネコネは疲れる事してないだろ」
「えー? ずっと頭の上に乗ってたじゃん」
「勝手に乗ってただけだろ! つーかそれで疲れるの晴の方じゃねーか」
「話し相手になってたじゃんかー」
晴の顔の横で猫の姿でくるまっているネコネの元にイズナがやって来た。
「こーらネコちゃん! サボってないで手伝いなさいな」
「ぅえー! イズちゃん先輩も横になろー」
「なーりーまーせん! 自分で動かないと首根っこ引っ張るぞー」
「せめて抱き抱えてってよー」
ネコネは渋々イズナの肩に飛び乗ったが、摘み上げられ下された。
「ふー……静かになった……」
晴が寝返りを打つと、目が合った。
「うおお!? びっくりしたー!! いつから居たっ」
「え…? ずっと居ましたよ、晴先輩」
「お前もサボりか、メリイ?」
「違います違います、この羊の毛を使うとリラックス出来てよく眠れるんですよ。どーですか?」
「今疲れてすぐ眠れそうだから、効果がわかんねーや」
「効果は出てると思いますよ、それではおやすみなさい……くぅー」
「お前が寝るんかーい!!」
数時間後、莉衣奈たちが到着した。
日も落ち夜の時間帯となって来たところで、ライトアップされた舞台と可能な限り用意できた設備を使って準備が整って来た。
客席には村人たちが集まり、開演を待っている。
そんな時
「レッドドラゴン?」
初めて聞く魔物の名前にヒメは首を傾げた。
「はい、見張りの者たちがこちらに向かっているレッドドラゴンを何体か確認したとの報告が」
「それって、倒せたり出来るもん?」
「騎士団を何部隊か突撃させれば…」
「ウチらが倒しに行きましょーか?」
話を聞いていたミカとエルが名乗り出た。
「どんな魔物か知ってるのミカ?」
更にリアが現れてミカに問いかける。
「え、知る訳ないじゃないですか」
「サイズが大きくて、ひとりで対処するのは難しいと思うので、もう何人か連れて行こう」
「え、今から魔物退治? んーもうすぐ始まるけど……無視は出来ないかー……出番が後半の子たちで行けるかな?」
莉衣奈に相談し、決まったメンバーは6人。
リア、ミカ、エル、吹雪、風香、琥博。
「あんまり時間はかけられないから。一気に仕留めて急いで帰って来るよ!」
「おー!」
リアの掛け声で円陣を組んだメンバーたちは気合を入れて出発した。
ステージからは歓声が聴こえ、響と柑奈のデュエット曲が始まっていた。




