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天使とサイナス  作者: 七数
2章 【番】
22/56

20話 「仲良し作戦」

11話 「国王会議に向けて」の内容について少し訂正があります。

スクリムシリに襲撃を受けたのはカルメラではなく、マリオロです。

気づくのが遅れてしまってすみません。

辻褄が合わないと感じていたかもしれません。

中央国というのもマリオロという認識で大丈夫です!

今になっての訂正すみません…

既に添削済みなのでご了承ください

今現在、昨日のリハビリ中の砂埃について私は説教を受けていた。

ミリィノ邸の一室…目の前にはカップに入ったブレンドコーヒー。

このコーヒーは恐らく高級なものだろう。

香りからすぐに分かる。

ユーランシーに来てもう結構経つため村の時よりも、高級だったりの判別はつくようになった。

私の対面には少し呆れた表情をしたミリィノが座っている。


「訓練に前向きなのは良い事なのですが…昨日の砂埃の影響で屋台の食料がダメになったという苦情が多くてですね。

風に吹かれて広範囲に砂が舞ってしまって被害も多いですよ」


「うっ…すみません」


「東国の屋台の八割が被害を受けてその日は店仕舞いにするしかなかったみたいですし…

そのご様子からわざとでは無いのでしょうけど気を付けてくださいね。

私達は日常で天恵を使うことを許可されている国を守る騎士団なんですからそこら辺の力加減を気を付けないと大きな事故に繋がることがありますので」


「はい…申し訳ありません」


ユーランシーに来て初めて怒られてしまった

それも、あの優しいミリィノを怒らせてしまった。

なぜ昨日、砂埃があんなに舞ったかの原因としては

ディシが


「久々の天恵の操作で感覚が鈍って身体強化に多くの天恵を使ってしまったのだろう」


と結論づけてくれた。


「反省しているみたいなのでリハビリに戻ってください。

出来れば私が見てあげたいのですがこの後、任務が回ってきそうなのでそちらに行きますね」


「はい…お気を付けて」


ミリィノはそのまま部屋を退室する。


「やってしまった…」


1人取り残された私は頭を抱える。

昨日の段階ではメアリー女王は私のせいではないと励ましてくれていたためそこまで重大な事だとは思っていなかったのだが…。


「リハビリ行かないと…」





(身体強化をしたと言えどそこまでの被害を出すことが出来るなんて…驚きです。

ヨーセルさん…やはりなにかを秘めているのかもしれませんね。)


廊下を歩きながらミリィノはそんなことを考えていた。


「あ!やっほーミリィノちゃん!」


「あ、スタシアさん。こんにちは。なにか御用ですか?」


「いやぁ、聞いたよ!ヨーセルの事!」


「その事ですか…先程少し注意をさせていただいた所ですね。」


「ヨーセルはミリィノちゃんが面倒見てるもんね!

責任感アリ!偉い!」


「上に立つものとしては当然ですからね…

ヨーセルさんに御用でしたら真っ直ぐ行って2つ目の部屋にいますよ。

これからリハビリをするとの事です」


「あー、用はどちらかと言うとミリィノちゃんにかな!」


「私ですか?すみません、これから任務があるので長い話でしたら任務終わりでもよろしいですか?」


「あ!そうなんだね!うん!大丈夫だよ!任務気をつけてね!」


「ありがとうございます。行ってきますね」


「はーい!」


(ついでにヨーセルに会いに行こーっと)




ひとまず今日は個人でリハビリしようかな〜と考えながらコーヒーを飲む。

決してサボっている訳ではなく、コーヒーを飲みきらないと勿体ないため味わって飲んでいるだけである。


(今日はディシさんもアビス師匠も任務だし…)


私がカップに口をつけた瞬間、部屋のドアが バン! と開きスタシアが入ってくる。


「やっほー!ヨーセル!話聞いたよ〜。」


急に来たかと思えばニヤニヤしながら私がやらかしたことを口にする。

絶対面白がってるなこの人。


「バカにしに来たの?」


「そんな事ないよ?でも、真面目なヨーセルもついに怒られちゃったんだなって!」


あー、絶対バカにしてるこの童顔。


「でも、初めてだし!スタシアとは違うもん」


「私は逆に記録更新を狙っているからね!」


スタシアの記録更新というのは、スタシアは今のところ騎士団内で一番叱られており、その数は1年で約24回だとか。

そのほとんどがディシ、アレル、ミリィノからだとか。

なぜそんなに怒られているかと言うと、

ディシの任務に勝手について行ってスクリムシリを1人で1掃したり、

ミリィノがお風呂入っている時に気配を消して入って後ろから胸を触ったり、

任務で疲れているアレルにめちゃくちゃ喋りかけたりとそれなりに迷惑な内容だ。

私がなぜ知っているかは前にスタシアとご飯を食べに行った時に酔っ払ったスタシアが嬉々として話してきたからだ。

これを言ったらスタシアに失礼な気がするが…

本当に同い歳なのか…??


「スタシアはセクハラとかしすぎなんだよ」


「え?してないよ??あれセクハラじゃないよ!」


ダメだこの人自覚してない。

年齢は同じだけど先輩ではあるのだが…全く尊敬できない。

スタシアはスクリムシリとの戦闘になるとすごく優秀らしいのだが、その姿を見た事がないため尊敬なんて出来るわけがなく…


「えっと…何か用があったんじゃないの?」


「いや、ミリィノちゃんに用あったんだけどこれから任務らしいから、ついでにヨーセルに会いに来たの」


つまり、ついででバカにされたということか…


「それでね、昨日の件でね」


「もう昨日のことはいいよ…」


「あー違う。真面目な話。」


スタシアが真面目な表情になる。


「ヨーセルってさ、寝ている時に誰か人の形をした何かと話さなかった?」


どういう質問なのだろうか。


「あんまり覚えてないかも。話した気もするし話してない気もする。」


「そっか。昨日の砂埃の件でのヨーセルの天恵操作ミス…あれはミスでも何でもないと思うよ」


どういうことだ…?ミスじゃないならなんだと言うのだろうか。


「ヨーセルって意識不明になる前から天恵の技術はあまり上手くは無かったよね。

でも、1ヶ月くらい眠って体は天恵に適応したはず。

それなのに昨日みたいなミス。

おかしいと思わない?」


「まぁ…確かに」


おかしいとは思ったが昨日のディシの説明で納得してしまったためそこまで疑問には思わなかった。

でも、天恵が体に馴染んだ感じがしたのは事実だからおかしいと言えばおかしいのだろうか。


「ヨーセルの天恵の技術が伸びないのはセンスが無いとかじゃなくてそういう体質なのは聞いたことがある?」


「うん…ディシさんから、」


「恐らく、体質もあると思うけど原因はもっと他にあると思うよ」


「他に…?それって?」


「それは今は言えないな。でも、そのうちわかると思う。

分かった時、きっとヨーセルのすごい助けになるかもね!

じゃ!私はこの辺で!リハビリ頑張ってね!」


そんなことを言いながら白髪の髪を靡かせながら部屋を出る美しい少女。

スタシアの言葉がとても引っかかる…

落ち着かせるためにカップに口をつけてコーヒーを啜ろうとするがもう空だった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

既に日は沈んでおり、街は昼間の活気が嘘のように静まっている。

任務が少々長引いてしまった。

普段の任務の範囲から少し遠いところに村があるかどうかの調査をして、見た事のない村を2つ発見した。

その1つとは何事もなく互いに自己紹介して また来ます と行って別れたのだがもう1つの村で子供が行方不明になってしまったため探した結果、スクリムシリに連れ去られていた。

幸い、怪我だけで済んだのだがスクリムシリの脅威には前々から困らされていたみたいでユーランシーへの移住を視野に入れてくれるということだ。

子供を連れ去ったスクリムシリが獲物を巣に持ち帰る習性でなければ子供は死んでいたかもしれない。

できる限り早くユーランシーへの移住を勧めておいた。


(ユーランシーは夜になると本当に静かになりますね…。

夜職のお店や飲み屋とかはまだ開いてはいますが、

歩いている人1人居ませんね)


まだメアリー女王は起きているだろうからホールディングスへ報告をしに行く。

あの人もすごい方だ。

スクリムシリとの戦いに出れないからと、自身の優秀な頭脳を最大限活用してユーランシーにここまで貢献なさっているのだから。


ユーランシー内は明かりが付いておらず真っ暗の廊下を天恵で生成したちょっとした明かりを灯したランタンを持ちながら歩く。

幽霊は信じていないがこの暗さを1人で歩くとなると少し怖い。

今日はアレルとディシも任務だったのだがさすがにもう報告を終えているだろうか…。

怖さを紛らわすために話したいなぁなんて思ったりして。

1つの部屋の前に止まり、ドアに3回ノックをすると中から 「どうぞ」 という声が聞こえてくる。

中に入ると髪をお団子にして椅子に座りながら机に向かってなにかの作業をしていた。

恐らく、何かしらの仕事だろう。

メアリー女王は集中している時に長い髪をお団子にするという独自の決まりがあるらしい。


「任務を終えた報告に参りました。」


今回の任務の内容と遅くなった理由をあらかた説明すると、メアリー女王は手を止めてこちらに視線を向ける。


「お疲れ様でした。子供が見つかって良かったです。

ミリィノさんのような器用な方だから見つけられたんだと思います。

ミリィノさんで良かったです」


「そう言っていただけたなら嬉しいです。

本日見つけた2つの村はどちらともユーランシーへの移住を認めてくれました。」


「了解しました。その件はこちらで引き受けさせてもらいます。

お疲れ様です。ごゆっくり休んでください」


「はい。失礼します」


「あ、それと、この部屋の隣にスタシアさんがいますよ。

ミリィノさんが帰ってくるまで待つと言っていましたよ」


「スタシアさんが?わかりました。失礼します」


なぜスタシアが?と思いつつも部屋を出て隣にある部屋の前に立ち、そっとドアを開ける。

中を覗くとソファがふたつ置いてあり、その周りには本棚に本が沢山並べてあった。

スタシアの姿が見えないな と思いつつも中に入ると手前のソファにスタシアが眠っていた。

スタシアの眠るソファの対面に座り、眠る顔をじっと見つめる。

足を曲げてソファに収まるように寝る姿は本当に幼い子のように見えるがそれと同時に美しく美人でもあった。

眠るスタシアの目の前にしゃがんでそっと頬を触る。

スタシアはその手を幸せそうな顔をしながら自ら頬にスリスリとする。

普通に可愛いと思ってしまった。

スタシアやヨーセルのような私からしたらまだ子供の存在な子達に危険な場へと向かわせたくは無い。

私の密かな目標なのだが、スタシアのような優しくて純粋無垢な子が幸せに暮らせるような世の中にしたい。

いや、する…してみせる。


「私を待っていたのに眠っちゃったんですか?」


そう言いながら頭を撫でてあげるとそっと目を開きこちらを向く。

この動作だけで男性は落ちてしまうのではないだろうか というくらい美しい。


「ミリィノちゃん…ミリィノちゃん!帰ってたんだ!」


バッと驚きながら体を起こすスタシア。


「はい、今さっき報告を終えたところです。

メアリー女王からこちらの部屋にスタシアさんがいると聞いたので様子を見に来たらぐっすりでしたね」


「うっ…ごめん…本当は起きてようって思ったんだけど気づいたら寝ちゃってた」


「可愛らしい寝顔を見せて貰えたので役得ですよ!」


「もー!バカ!」


「ふふっ、それで私になにか御用ですか?

あ、昼間の件についてですか?」


「うん!ヨーセルのことで少しね。ミリィノちゃんはヨーセルのお世話係だから伝えておくんだけど…」



私はスタシアにある情報を聞かされる。

この時間まで私を待っておく必要がある程の情報なのだろうかと疑問に思ったのは束の間。

一刻も早く知らせてもらわなければいけない情報だった。

なんなら、私なんかではなくメアリー女王に知らせるべき情報だ。


「ど、どうして私に?」


「ミリィノちゃんがヨーセルのお世話係だからもしもの時のためにね。理解している方がいいと思ったの。

それにまだ確定では無いから他言は無用。

もちろん、ヨーセルにも絶対言ってはだめ」


「メアリー女王にもですか?」


「うん。私とミリィノちゃんだけ。今は」


「分かりました…ですが、もし仮にそうだとしたら…

世界が大きく変わりますよ」


「うん!そうだね!楽しみだなぁ!その瞬間に立ち会いたい!」


何を呑気なことを言っているのだろうか…。

これは一大事なことなのに。



「あ、それと、今のが本題だったんだけど別の用もあってね。」


「別の用ですか?」


「ヨーセルとアレルさんをマリオロに送り出すまでに仲良くさせておかないとなって」


「まぁ、確かにそうですね」


「そこでね!協力して2人を仲良くさせないかなって」


アレルのヨーセルへの態度は確かに思うところもある。

別に無理してプライベートを仲良くしろとは言わないが、マリオロでもあの様な態度をとっていたら任務に支障が出てしまう。


「いいかもしれませんね。アレルにはもう少し他人と仲良くして欲しいので」


「お〜正妻は余裕がありますねぇ〜」


「どういう意味ですか…まったく。今日はもう遅いのでまた後日話し合いましょう。

私は明日でしたら午前中のうちに任務を終わらせられそうなので午後から話し合うことは可能ですよ」


「うん!分かった!なら私も明日の任務、1時間で終わらせるね!」


「スタシアさんが言うと冗談に聞こえないのが怖いですよ…」


「冗談では無いけど…まぁ、いっか!それじゃあ仲良し作戦はまた明日話し合おう!」


「そうですね!」


ひとまずこの場は解散になった。

また真っ暗な街を、時々夜職の店に行く数名の人とすれ違いながら屋敷へと帰る。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

今日の午後にミリィノさんにスタシアの屋敷に来るように言われた。

屋敷につき、ドアを開けて玄関の場所で待っていると使用人らしき女性が声をかけてくる。


「こちらへどうぞ」


スタシアの屋敷の使用人にしてはドライな人だなぁ なんて思いつつついて行くと一際目立つデカ目のドアの前で止まる。


「スタシア様、ルシニエ・ヨーセル様がご到着されました」


「入れて〜!」


気さくな声がドアの向こうから帰ってくる。


使用人がドアを開けると庭くらいのデカさの部屋が広がる。

なにかの会議室的なものかと思ったが家具の配置だったり、ベッドが置いてあったりするのを見るにこれは…


「ヨーセル!ようこそ私の部屋へ!」


やはりスタシアの部屋だった。

普通にデカすぎるのでは無いだろうか…?

と思ったのだが、オシャレ好きなスタシアは色々な服だったり、靴だったり、アクセサリーを飾っており、この広い部屋をしっかりと使いこなしている様子だった。

入って右側の壁の真ん中らへんにベッドが置いてありその両サイドには小さな丸机。

ミリィノの屋敷と同様に天蓋付きベッドでピンクっぽい色だ。

入って左側には先程言ったオシャレ趣味の物が無数に飾ってあった。

よくここまで集めたなぁって感心してしまうほど。

部屋の中心には長方形のテーブルが置いてあり、長辺には3人、短辺には1人が座れるくらいの大きさだ。

だが、椅子は長辺に2つずつしか置いていない。

その1つの椅子にミリィノが座っていてこちらを向くと笑顔で軽く手を振ってくれる。


(改めて目渡すとすごい部屋だ…)


「えへへ!驚いた?みんなといつでも集まれるように自分の部屋は大きくしてるんだ!

その方が楽しいからね!」


スタシアらしい理由だ と思いながら案内されるがままにミリィノの対面の席に座る。

スタシアが紅茶の入ったカップを持ってきてくれる。


「ありがとう…」


スタシアはミリィノの隣に座る。

ミリィノの方に顔を向けると何かを探るような顔で私を見ている。

が、ハッとしたのか視線を逸らす。

どうしたのだろうか…?


「早速本題に入るね!集まってもらったのはアレルさんとのこと!

プライベートで無理に仲良くする必要は無いけど任務では嫌でもコミュニケーションを取る事になるから今のうちに仲良くなっておいてもらいたいの!」


「仲良く…ですか?」


「アレルはああいう性格ではないですか。

マリオロでいきなり2人で、さらに任務のためのコミュニケーションを取るというのは少し難しいと思うんです」


それは同感だ。

私は今まで行った任務はメルバル総戦のみだ。

指示がなければどういう動きをしていいかとかまだ全く分からない。

アレルと私の2人しかいないなら必然的にアレルから指示を貰うしかない。


「なので、私とスタシアさんでどうにかこうにかアレルとヨーセルさんに仲良くしてもらいたいんです」


「今日集まった理由は理解したのですが…具体的にはどうやってですか?」


「ふっふっふっ、私に考えがあるよ!」


いたずらに笑う目の前の少女から嫌な予感しかしない

アレル、結構ボロクソに言われていますね!


読んでいただきありがとうございます!

誤字脱字があっても鼻で笑って許してください!


明日から数日、忙しくなりそうで投稿が遅れるかもしれないです。

ご了承ください

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