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社交界の毒婦とよばれる私~素敵な辺境伯令息に腕を折られたので、責任とってもらいます~【書籍化&コミカライズ】  作者: 来須みかん
【第三部】

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02 リオ様に報告

 次の日。


 私からリオ様に相談しようと思っていたけど、その前にリオ様が私の部屋を訪れた。

 リオ様の専属護衛騎士であるエディ様と、見習い騎士服姿のコニーがリオ様の後に続いて部屋に入ってくる。


 コニーったら、もう本当の騎士様みたいだわ。嬉しくなって微笑みかけると、コニーは一瞬だけニッと笑ってからすぐにキリッとした表情に戻る。


 リオ様も深刻な表情をしていたので、私は気持ちを引き締めた。


「何かあったのですか?」


 私とリオ様がソファーに座ったのを確認したアレッタが、お茶の準備を始めている。


「コニーから報告を受けたんだが、昨日、バルゴアの役人がセレナに無礼を働いたんだって?」

「あっ、その件ですか。ちょうど私もご相談したいと思っていました」


 私は昨日のことを思い出しながら、慎重に言葉を選んだ。


「とても礼儀正しい方だったのですが、私が前を通り過ぎたとき、何かに驚いたように『どうして、あなたがっ!?』と言っていました」

「コニーの報告通りだな」


 リオ様の後ろで、コニーがうんうんと頷いている。大丈夫だと思うけど、念のため昨日の人が怒られてしまわないように、私は慌てて言葉を続けた。


「でも、そのあとすぐに謝罪していただきましたよ。それに、その方は『見間違いでした』と言っていたので、私に無礼を働く気はなかったのだと思います」


 それよりも、いったい何と見間違えたのかということのほうが、私は気になっていた。リオ様も、そこが引っかかったようで「見間違い……」と呟いている。


「その者の外見と勤務時間から、だいたいの目星がついている。セレナはどうしたい?」

「え?」


 すでに相手が特定されていることに私は驚いた。

 バルゴア領で暮らすようになってからというもの、リオ様の仕事の早さに驚かされることが多々ある。


 でも、一人で暴走するわけではなく、こうして周囲の意見もちゃんと聞いてくれる。リオ様がバルゴアの騎士たちや領民たちから慕われている理由が私にもよくわかった。


 リオ様が苦手なのは、きっと女性の扱いと恋愛だけなのね。


 そんなことを考えているうちに、アレッタがテーブルにお茶を運んでくれた。そして、遠慮がちに口を開く。


「お話中に失礼します。昨日の不審者は、セレナお嬢様の胸元をじっと見ていました。お嬢様が直接会うと危険なのではないでしょうか……」


 リオ様を取り巻く空気がピリッとした。私のために怒ってくださるのはありがたいけど、その情報は間違っている可能性がある。


「アレッタ、心配してくれてありがとう。でもね、あのとき私の胸元にあったのはこのネックレスなの」


 私は身に着けているネックレスに、そっと触れた。


「リオ様、このネックレスはタイセン国でアイリーン様からいただいたものです。ここに刻まれているフクロウの紋章はタゼア家のもの。昨日の方は、もしかするとこれを見て驚いたのかもしれません」

「なるほど」

「私はその方の話を聞いてみたいです」

「わかった。会えるように手配しよう。エディ」


 エディ様は私に向かって会釈してから、部屋から出ていった。その背中を見送ったリオ様は、「相手の都合にもよるが、今日か明日にでも会えるだろう」と教えてくれる。


 少し緊張してしまうけど、リオ様が「もちろん、そのときは俺も同行する」と言ってくれたので、私はホッと胸を撫で下ろした。


「セレナのこれからの予定は?」

「今日は、結婚式の衣装決めですね」


 そう答えるとリオ様の表情がパァと明るくなった。


「俺も行っていいかな?」

「もちろん、かまいませんが……」


 私は首をかしげる。


「リオ様は、代々バルゴア辺境伯が着てきた花婿用の衣装があるから、それのサイズを直すだけですよね?」


 私のほうは「花嫁の意見を聞いてからドレスを製作する」とのことで、これまで何度も打ち合わせが行われてきた。


 今日は、リオ様のお母様も交えて、その打ち合わせの最終決定をすることになっている。


「長くお待たせしてしまうかもしれませんよ?」

「かまわない。絶対にセレナの邪魔はしないし、おとなしくしているから!」


 リオ様が、真面目な顔で力いっぱいそう言ったので、私は微笑みながら頷いた。


 その後、リオ様と私はお義母様と服飾士が待つ部屋へと向かった。

 私とお義母様が話している間、リオ様はソファーに座って静かにしていた。


 約束通り、リオ様は私の邪魔をしていない。

 邪魔をしてはいないのだけど……。


 私が仮縫いの花嫁衣装を試着すると、リオ様は頬を真っ赤に染めた。リオ様の紫色の瞳が、まるで夢見る少年のようにキラキラと輝いている。


  しかも、私が少し動くたびに「っ! っ!」と声にならない声が聞こえてくるし、ときどき何かを堪えるようにクッションをバンバンと叩いた。


 そんなリオ様に、お義母様は呆れるような視線を向けている。


「リオ、静かにしてね」

「えっ? うるさかったですか?」


 お義母様は、ニッコリと上品に微笑んだ。


「声は出していないけど、行動がうるさいわ」

「そんなっ⁉」

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