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私は聖女じゃない?じゃあいったい、何ですか?  作者: 花月夜れん
第一章・光の精霊の国

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22話・聖女カナ

「そうだな、手伝ってもらうならしっかり理由も聞いてもらおう。リード!」

「はい」


 リードが、カトル王子に歩み寄る。


「すまないがカナのところに行ってくる。ある程度書類に目を通しておいてくれ」

「はい」


 リードの承諾の返事を聞いてから、カトル王子がスッと立ち上がり、扉に向かう。


「こっちだ」


 そう言って、扉を開けてサッと歩きだした。私達もあとに続いた。


 ーーー


「ここだ」


 コンコンと、カトル王子がノックをすると中から侍女さんがでてきた。


「少し、中に入るよ?」


 そういうと、侍女さんが扉をあけて、外側に待機した。

 ツカツカとカトル王子が中に入っていく。


「あの、カナさんは?」


 ベッドのある場所に向かっていく。

 あれ、寝てるところなの?


「カナ」


 カトル王子がカナちゃんの頬に触れる。繊細に、まるで壊れ物を扱うように優しく。


「起きて、カナ。お客さんだよ?」


 返事がない。ただ、胸のところが上下しているので寝ているだけなのはわかる。

 ふぅっとカトル王子がため息をつく。


「この通り、カナが急に目覚めなくなってしまった」


 カトル王子はとても困った顔をしていた。


「父上が言っていたのはこういうことか。原因は?」

「わからない。今ルードに調べてもらっているところだ」


 ……。沈黙が流れる。


 ベッドの脇に高校のものだろうか? 制服がキレイにたたまれて上にはスマホが置かれていたのが目にはいった。

 私よりも年下で、同じくここに召喚されてしまった女の子。私より、もっと怖かっただろう。しかも、今は謎の昏睡状態。彼女にいったい何が起きたんだろう。

 聖女に会いたかったのはただ、何故出られないのか本人に聞きたかっただけだったのに。話すことも出来ない状態だったなんて。

 これじゃあ、たしかにパレードになんてでられないよね。


 うん、よし、決めた!! 私に何が出来るかわからないけれど。お手伝いくらいなら出来るよね。


「明日までに、目が覚めないならお手伝いします」


 私は条件をつけて、承諾の返事をした。


「ありがとう。その時はお願いするよ」

「リサちゃんが、決めたことなら」


 アリスはまだどこか不服そうだったけど、仕方ないよね。どうも気になってしまうのよ。こういうの。日本人の性かしら。


 訳のわからない世界に飛ばされた不安を、痛いほど理解しているから放っておけないのよ。


 カナちゃん、起きてたら、他にも聞きたいことがあったんだけどなぁ。この世界にきた時のことや、いまどう思っているか。他にも色々と話したいな。


 カナちゃんには、誰か支えてくれた人はいたのかな…。


 カトル王子がじっと切なげにカナちゃんを見ていた。

 アリスと私は先に部屋をでて、廊下を並んで歩いた。

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