21話・でてほしい
「それは、えっと……?」
やっぱり、バレてた? 続きはなんて言えば正解なんだろう。
ぐるぐると考えているとカトル王子が、続けてくれた。
「あぁ、混乱させてすまない。正確には聖女のフリをしてほしいんだ」
「フリ……ですか?」
「そうだ。魔法が使えないことはルードから聞いている」
あれ、バレてないっぽい?
「ただ、明日予定していた聖女のお披露目のパレードに一緒にでてほしい」
なんで、私がでるんですか? 聖女のカナちゃんは?
「えっと、聖女本人は?」
「カナは……」
カトル王子が言いよどんでいる。とても言いにくいことなんだろうか?
「明日は、でられなくなってしまったんだ。君は髪の色も同じだし、背格好も似ている。ローブを着てフードを被れば遠目からはわからないだろう。すまないが手伝ってもらえないか?」
「何かすることがあるんですか?」
「いや、私とともに馬に乗って街をまわるだけだ」
一緒に馬に乗るって、密着しますよね! それは、それですごく難しい問題な気がするけれどっ!
一応、私は弟さんの婚約者ですよね?! 帰るまでの契約ですが。
「兄上!」
バーンという音とともに、うわさのアリスが乱入してきた。
王様の方は終わったのかしら。
「ボクのリサちゃんに何をしてるの?」
「静かに入ってきてくれないか。アリスト」
シャーッと言わんばかりに、耳と尻尾をたててアリスは私の横に立つ。ぎゅむっと抱き締められた。あの、恥ずかしいんですが。
「明日、リサを借りたい」
「お断りします!」
あ、断った。しかも一蹴。
「民の予言への不安を取り除く為のパレードだ。中止する訳にはいかない」
こちらも引き下がらない。というか、そんな大事なパレードに本物の聖女を差し置いて私がでてもいいんだろうか。
うーん、と考えてから、手をあげた。
「あのぅ……」
「なんだ?」「なに?」
二人が揃ってこちらを見る。さすが兄弟、息ピッタリですね。じゃなくて、
「私、でてもいいですよ。そのかわり……」
あぁ、なんだかこちらを見てるアリスの視線が痛い。
「聖女……、カナさんに会わせてもらえませんか?」
二人はとても驚いた顔をしていた。




