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3 転移者にチート能力がつけられない? だったら、元からチートの人を連れてくればいいじゃない!

「ヨグロがあっさり……これ、やばいやつだ」


「なんと……あの店長とやら、救済者ではないと……たしか、別世界の神様も異なる世界の人間を呼べるとは聞くが、都神のように力を授けることは無理なはずでは……」


 無意識のアンクルの言葉の後に玄老師がなだめる言葉を出す。

 その瞬間に自身の横を急速に横切るものがあった。


「あひぃ!!」


 その襲撃にアンクルは無意識に言葉が出て、身を縮こまらせる。

 横切ったものを見ると、ゲゲンの頭蓋骨が兜ごと壁に刺さっていた。

 さらにはその兜には文字が書かれていた。


 メイプルムーン店長が魔王を倒しに来ました、という文字だ。

 アンクルは離れた店長の方を見る。


「ごめんなさいね。挨拶に名刺が必要だったのだけど、今切らしているから、それで代用させてもらうわ」


 その挨拶と共に店長は笑顔で手を振る。

 笑顔には全くの悪意がなかった、100%善意の顔。

 その純粋はアンクルの無意識から行動を引き出す。


「あ、よろしくお願いいたします……じゃなかった、やべえ! あのてんちょ、何で救済者でないのにやべえの!?」


「恐れることはありませんぞ、魔王様。あなたは楽園を築くお方、その程度で驚く身分ではないでしょう」


「あ、そうだった。驚かない驚かない」


 うろたえをなだめる玄老師の言葉にアンクルは落ち着きを戻す。

 魔王たるものが取り乱してはいけないと、玄老師にも言われていたからだ。


「それにやるようですが、この私が出ます故、脅威はここまでです」


 猫背の姿勢になりつつ腕を前に出し、玄老師は告げる。

 玄老師の手からくろい瘴気が出ると、部屋一面にそれが広がった。

 その瘴気は翼と角を生やした人型の上半身へと変わったのだ。


「このダマンサネムの骸影(むくろかげ)、これの前にはいかにあの店長であろうと」


「あらあら、ずいぶんとでかいのね」


 玄老師の紹介の言葉に店長は評価の言葉を出す。

 魔導玄老師の出した骸影、それは死んだ魂を瘴気としてこの世に出させるものだ。

 意思はない人形であるが、前魔王をこうして呼び出せるのも優れた魔力を持つ魔導玄老師だけである。


「ふぃふぃふぃ、先ほどのヨグロのようにうまくいくとは思わない方がいいぞ」


「こんなにでかいなんて素敵ね。適当に放っても攻撃が当たるから」


 玄老師の忠告に店長は言葉を返す。

 店長に恐れの表情はなかった、むしろときめきの表情とも言えるだろうか。


「では、さっそく脅威には消えてもらお」


「FPMP! FPMP! FPMP!」


「ぬおう!」


 店長の即座の攻撃に玄老師は声とともにのけぞる。

 その攻撃はヨグロを負かせた攻撃で、それを三セット骸影に放った。

 骸影に向けられていた攻撃だったが、受けた骸影がのけぞったように玄老師ものけぞっていた。


 しかし、すぐに玄老師は姿勢を整えて言葉を出そうとする。


「やってくれるが、その骸影に向けた攻撃は私には効かぬぞ」


 笑みを浮かべて玄老師は忠告する。


「衝撃は効かないけど、動きは同じようにまねてしまう感じね。お互いに」


 その動きを見て、店長は分析の言葉を出す。

 確かに骸影に行った物理攻撃は操者である玄老師には一片も効かない。


 だが、先ほどのように受けた衝撃がでかいと玄老師にも動きそのものは伝わってしまう。

 骸影と玄老師は動きがリンクしているためである。

 玄老師の動きには骸影が、骸影の動きには玄老師が、それぞれ従うように動くのだ。


「その分析は正しいぞ。だが、物理攻撃しかできないなら、私は倒せぬぞ!」


 玄老師は分析のことを正しいと肯定する。

 今店長は物理攻撃しかできてないようで、アンクルから見て魔法攻撃も出来ないと見ていた。

 最も魔法の攻撃も効くものはそうそうないのだが。


 骸影は店長へと拳を振るった。


「あらあら、ずいぶんと厄介ね」


「物理攻撃しかできぬようなら敗北しかないぞ」


 店長はかわしながらの言葉を出して、玄老師は再度拳を振るって忠告する。

 その玄老師の動きに合わせて、骸影も拳を同じく振るった。

 さらなる攻撃として、玄老師は手のひらを店長に向け、口を開く。


「派手なことはできないが、これくらいのことはよいか……」


 その言葉を玄老師は出すと、骸影の手の平から光が沸き上がる。

 瞬間、ビームが店長目がけて飛んで行くのであった。


「私は魔法なんて教えてもらってもないけどね」


 そう言いつつ焦る様子を見せずに店長は飛んで避けた。

 そして、店長は骸影に足で乗りかかって質問をする。


「あなた、関節技は効きそうね?」


 店長の質問の後、山を駆け上るように骸影を踏んでいく。

 骸影はそれを捕まえようと手を伸ばすも、店長は回避する。


「私にか? ここまで届くのなら、別の方法で骸影が倒せるだろう? そんな方法ないだろうがの」


「腰は弱くないの? だったら……」


 質問に玄老師が一応答えると、店長はさらに尋ねる。


 骸影の頭を踏むと、店長は脚で骸影の挟む。

 その挟んだ頭を真上へと引っ張るのであった。

 骸影の動きが玄老師に伝わる。


「ぬお!?」


「鎧の超人のスペシャル技! それの私アレンジ版……!」


 玄老師は声を漏らし、店長はさらに技へ移ろうとする。

 ここまでは玄老師にダメージはないのだが、アンクルには悪い予感がしていた。


(確か魔法使うときは猫背じゃないといけないから、魔導玄老師は腰が悪いって聞いたよな。まさか……)


 アンクルは心の中で心配を押し留める。

 助けに行ければよいが、ここまでくると自身でもどうしようもない。

 それ以上にこんな光景を予想もしてなかったので、反応が遅れてもいた。


 その中で、店長は天井に手を付けて力をためる。

 足の固めが首四の字に変わり、頭を挟んだままその力を一気に解放する。

 店長は下の床へと急速に下降した。


「魔王吊り下しの刑!!」


 落下する店長の言葉と同時に床に手を付け、着地する。

 骸影は弧を描くようにのけぞっていた。

 それは玄老師も。


「あ……」


 急激な腰への負担が痛みに変わり、玄老師の声として漏れる。

 腰の弱い玄老師にはこれだけでも、ダメージが大きかろう。

 骸影は瘴気を周りから出していた。


 そして、玄老師は糸が切れたように後方へ倒れる。

 連なって、骸影を形成していた瘴気も出し尽くしたのか、骸影は四散していった。


 魔導玄老師は敗北したのだ。


「さてと……他に幹部はいないのかしら?」


 店長は周りを見渡しつつ、最終的に魔王を見る。

 更に指をさしてこう告げるのであった。


「じゃあ、次はあなたよ。魔王様」

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