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異世界転生 ~記憶が戻るとスラム街~  作者: 山本 大和
第一章 スラム街の平定
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5:ユージと葛藤

 北の街のはずれにある倉庫群の中のひとつに男達が密会しており、中でもひときわ図体のでかい男が叫んでいた。


「大の男が5人がかりでスラムのガキに教育のひとつもできないで何のこのと帰ってきてんだよ!」

「だってあの野郎とても強くて。手に負えませんよボス。」

「だったらそいつのいないときに女の一人でもさらって人質にでもすりゃ良いだけだろうが。わかったならさっさと行きやがれ!」


ボスと呼ばれる男に命令された男達が暗闇の中颯爽と東へ向けて走りだしたのであった。



 セントラルシティへ行くと行ってカイト兄ちゃんと別れてから、俺達が女将さんに言われた通り交代しながらやっていた薪割りが終わりを向かえたころ、夕日が赤く輝いていた。1日中鉈を降り下ろしてたせいで全身筋肉痛になっていた俺達をサクラ姉ちゃんが送ってくれると言ったので準備が終わるまで待っていた。


「邪魔するぜ!ここに孤児サクラって言う名の孤児がいるはずだろ?」

「誰かもわからない人には、たとえいたとしても誰が教えるかよ!」

「小僧、口の聞き方がなってないみたいだな!痛い目に合いたくなけりゃさっさと教えな。」


一人だけじゃねえのかよ!いったい何人隠れてたんだよ兄ちゃん達、ぞろぞろ湧いて来やがって?絶対ヤバイ連中だよな、それに武器も隠してそうだしこの兄ちゃん達、どうする俺、考えろ!頭数は同じだけと相手は武器を持ってるかも知らないんだぞ。


「早く答えろよ!小僧!」


やっぱり短剣隠してたのかよ!どうすれば助かる?よりによってカイト兄ちゃんがいないときに!


   ・・・・(ガチャ)・・・・


「みんなーお待たせ。って誰よあんた達、他人宿の前でそんな物騒なもの振りかざして!」

「出てきちゃだめー!」

「へぇ~あの姉ちゃんがサクラか、ちょっとこっちについて来な。」

「その物騒な物をしまって、この子達にてを出さないと約束できるのなら、付いて行っても良いわよ。」

「駄目だよサクラ姉ちゃんあんな奴の言いなりなるなんて。」

「私は大丈夫よユージ。戦争孤児の私を連れてく理由なんてたかが知れてるから。」


サクラ姉ちゃんが俺達の頭を撫でながらそう言ったあと男達に連れられていった。


「話のわかる姉ちゃんで助かったよ。姉ちゃんにはある男を誘き寄せる人質になってくれれば良いだけだから。一晩たっても来なかったら俺達が世話してやるよ。」

「あらそう?あなた方が思ってるように簡単にことが運ぶとは思わないけどね。」


 サクラ姉ちゃんが連れ去られ、佇んでいたるユージの元に小屋で留守番をしていたスズネが残っていたみんなをつれて駆け寄ってきた。


「ユージ、どうしよう?ちょっと離れてた間に家が壊されて。」

「くっそぉー!あいつらサクラ姉ちゃんをさらった上に家までも!」

「おいユージ!壁を殴るのはやめないか。あれが最善だったのはわかるだろ。」

「それがわかっているのに、何もできないから余計に腹が立つんだろうが、ポック!」

「冷静になれよユージ。サクラ姉ちゃんが何を思って付いていったかぐらい考えれば分かるだろ。」


そうだよな。力がないなら、今は力ある人を頼ればいいだけのことだ。第一あの格好と装飾を見れば、サクラ姉ちゃんが連れてった相手とその理由なんて簡単に目星がつくじゃんか。サクラ姉ちゃんもそれに気づいて、それでも付いてったんなら、俺らのやることぐらい冷静に考えたら直ぐにわかる事じゃんか。ひとりで勝手に熱くなって、まだまだガキだな俺は。


「ありがとなポック。おかげでやるべき事がわかった。」

「それなら良いけどよ。そんで、どうすんだ?」

「相手のお望み通りにすれば良いだけだ。そしたら朝にはサクラ姉ちゃんが無事帰って来る。そんでもって家を建て直してから特訓の再開だ。そのために俺は一つ仕事をしてくる。だからみんなはポックとスズネの言うことを聞いてここで待ってくれ。」

「「了解、ユージ。」」

「すまない、二人とも。」


他の皆はどうかわかんないけど、あの二人はわかってくれたんだ。だったら俺はそれに答えないとな。鍛冶屋の方には絶対人がいるから確実だけど、ここから近いのは家の方だしこっちに先に来たけどだれもいなかったら・・・よっしゃー、台所に灯りがついてる。


「開けてください。ユージです。」

「あら、どうしたのユージ君?血相変えて勝手口からなんて?」

「フレイアさん、今すぐここの検問所の衛兵さんを動かして下さい。理由は後で説明します。」

「わかったわ、火を止めたらすぐにいく。だから少し待っててちょうだい。」


 まずは第一関門突破、夕日が沈みきる前に検問所にたどり着けた俺とフレイアさんは、門のそばにある騎士団の詰所で、我らが救世主の帰りを待っている。



 国立図書館で本を借りたあと、大至急戻ってこいとフォッカーさんからの伝言を衛兵さんから聞いた俺は、衛兵さんに借りた馬を東へ走らせた。


「ありがとね、軍馬さん後でたらふく美味しいもの食べさせてもらいな。だから今は頑張って走って。」


夕日が沈み出してから雪が降り始め、余計に寒気がするのに何なんだよこの嫌な予感は、検問所はまだかよ、そろそろ着いても良い頃だろ?俺が検問所につく頃にはしっかり太陽が沈みきっていた。


「お待ちしてました。カイトさん。詰所で隊長がお待ちです。理由は隊長に聞いて下さい。馬は預かります。」

「わかりました。」


いったい何があったってんだよ。それにフォッカーさんから直々に理由を説明されるなんて。


「失礼します。カイト・ブラックです。」

「来たか坊主、入りな。」

「フォッカーさん、いったい何があったて言うのですか?それに何で母さんとユージがここに?」

「理由は奥方様とそこの小僧から聞きな。まずはそこの椅子に座れや」


ユージの横の母さんと対面する形に置いてある椅子に、俺は腰をおろした。


「それで母さん理由を教えてよ。」

「まずは深呼吸して、落ち着きなさい。人の話を聞ける状態になったら教えるわ。」

「スゥーハァー。スゥーハァー。」


深呼吸をして落ち着いた俺に、母さんは衝撃的な事を口にした。


「嘘だろ?そんなことあるはず無いじゃん?」

「本当よ。あなたがセントラルシティに行って留守にしている間にサクラさんが連れてかれました。」

「嘘じゃないよ、カイト兄ちゃん。サクラ姉ちゃんはね俺達を守るために自らベアーズの連中に連れてかれたんだ。」

「マジなのかよ。犯人もわかっていて何でフォッカーさん達は何もしてないんだよ。」

「すまねぇ坊主。そのサクラって子がギルバート将軍が拾った子だとしても、住民登録されていない孤児のために騎士団は動かせないんだ。目の前で連れてかれたこの小僧の気にもなってやれ。」


眼は赤く充血し、頬には涙が流れたあとがわかる顔を俺に向け、拳を強く握りながら俺にこう言った。


「俺知ってたんだ。ベアーズの奴等がカイト兄ちゃんにちょっかいをかけていたの。だからあいつらがサクラ姉ちゃんを連れてった理由も直ぐにわかって、けどそしたら絶対に兄ちゃんが危険目に遭うと思って、サクラ姉ちゃんを連れてかれたらダメだって思ったけど、実際に目の前で武器を出されると足がすくんで、何もできなくて。だけどポックに『冷静になれ』って諭されたら、サクラ姉ちゃんは罠だってわかっていてそれでもカイト兄ちゃんの事を信じたんだって気付いて。だからカイト兄ちゃん、お願い。サクラ姉ちゃんを無傷で取り返してきて!」

「任せろ!だから笑ってみんなと待っててな!」

「坊主、ベアーズと言えばハンター崩れの『熊殺しのベアー』率いる質の悪い悪党じゃねえか、国から発見次第討伐の命令が騎士団にきてんだよ。だから俺達も連れていけ。手出しはしないし死なない程度までなら俺が許す。後の身柄引き渡しはこっちに任せな!」

「ありがとうございます。フォッカーさん。それじゃいきましょう。」


ベアーズのねぐらは北の街の倉庫郡のひとつだったな。そうとわかれば殴り込みだ。


「待ちなさい、カイト。これを持っきいきなさい。腹が減ったら力も出ないでしょ。おまけにサクラさんは昼から何も食べてないんだから。それとこの剣、人を護るための剣でしょ」

「ありがとう母さん、いってきます。」


こうして俺は数名の部下を引き連れたフォッカー隊長と共に雪が降り、視界と足場の悪い中、北の街へむえ移動を始めた。

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