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異世界転生 ~記憶が戻るとスラム街~  作者: 山本 大和
第二章 ラインハルト学園 1年生編
22/28

9:テスト返し

 実技試験も無事に終わり、今日、月曜日には返却とともに王竜戦予選ブロックの貼り出しが行われる。そしてまだ朝だっていうのに、俺たち以外にも学科を問わずたくさんの生徒がこの大掲示板にやって来ている。ひとつのブロックに5人、男子6ブロック、女子2ブロックの計八つの予選ブロックがあり、各ブロックに一人ずつ男子の上位6人と女子の上位2人が振り分けられている。ちなみにこの比率は男女の人数比で決められている。そのブロックを勝ち上がった一人が決勝トーナメントに出場することができる。見たところ上位8人の枠は、男子は俺以外の枠がジャンク派で埋まっており、女子の方はステラとユーナの二人が入っていた。横を見ると自分が入ってなかったからかライアンが元気なさそうだった。


「ライアン、諦めるにはまだはやいぞ。」

「誰が諦めたって言ってんだよ。まだ予選落ちが決まったわけでもないんだぞ。下剋上でもしてみせるよ。」

「あぁ、その意気だ。頑張れよ!」


その気持ちがあるなら大丈夫だろう。俺の心配は取り越し苦労だったようだ。


「それでも、お前との差は広いってことは感じてしまうかな。」

「それも決勝トーナメントで闘ってみればわかる。運良く俺達は別のブロックに分けられたんだから。」


これでなんとか本選まで同士討ちになることだけはなくなった。


 教室に戻って朝礼を終えた後、レインちゃんが大量の解答用紙を抱えて職員室から戻ってきた。今日一日は特別時間割りがくまれ、午後もすべてテスト返しになる。


「今から解説していくけど、平均点が低かった教科から返却します。問題用紙は持ってきてるよね。」


 そういって解説が始まったのは物理のテストだった。魔法が発達しており、地球(あっち)よりも物理が進んでいない事は確かだが、だからと言って全く必要ないわけではない。それなのに平均点が一番低い教科らしい。それも一年生の一番最所の最も簡単な範囲での事だ。


「ちなみに最高点は90点台が一人だよ。それじゃあひとまず休憩ね。」


うん、それ俺の点数だ。ここが地球じゃ無いことを忘れていました。


 それから順調にテスト返しは進んでいき一番平均点が高い教科は数学だった。なんとか総合一位は取れたけど生物と歴史と魔導学基礎の三教科でステラに負けてしまった。


「やっぱり、魔導学基礎はステラには敵わんな。」

「たった二点の差なんて、差でも何でもないよ。」


このテストで地球と同じ単位が使われる数学と物理の二教科では高得点がとれても、生物や歴史といった地球とは異なった形態の教科だと点が取れてないことが良くわかる。


「お前ら二人は次元が違いすぎだよ。軍法・戦術論以外は全学科共通問題なんだぞ。」

「そうよ。全教科80点以上取るなんて二人とも凄すぎよ。私なんて地理だけよ。」


ライアンとユーナの二人に突っ込まれてしまった。だがしかし、それもまた事実なので俺は何も言い返すことができなかったが、ステラが言い返していた。


「あんな数字なんてあてにならないわよ。紙に書いてある問題が解けても、それを実際に使えないと意味ないんだから。」


本当にその通りだ。俺は基本的なことをすっかり忘れていたようだ。


「ステラの言う通りだよ。統計はどんどん新しくなって今の知識が使えなくなっていくのだから、そうなったときに何ができるかが重要だよ。」


目まぐるしく変わる情況の中でどう対処していくかが、人の上に立つ者とって大切な事である。それができなければその軍や国は他に取り残されて行ってしまう。


「それに評価するべきはその結果じゃなくて、そこに至るまでの努力だから。努力しないで得た力何て無価値だわ。」


そう言うことだよ。先生達はしっかりその努力は見てくれている。今はわからなくてもいづれわかる日がくる。

 

 それから寮に帰った俺達を待っていたのは、たくさんのBBQコンロだった。


「おかえり早かったな。お前らちょっと手伝え。」


寮に帰って一服する暇もなく、炭運びと火起こしに駆り出されてしまった。さすがにこれだけの数のコンロ分の炭を運び、火を起こすのは大変だろう。


「カイトあんた何、馬鹿なことやってんの?」

「ステラ俺のどこが馬鹿だって?」

「どう見ても馬鹿じゃん。ちょっとは楽したら?」


俺はいたって一般的な方法で運んでいるはずなのにここまで馬鹿にされるとは何事だろう。


「だ・か・ら、お得意の身体教化魔法はどうしたの?」

「あっ、忘れてた。」


そう言うことならここまで馬鹿にされるのも納得できる。最近は意識的に使わないようにしていたのを無意識でやってしまっていたようだ。それを使えばいっきに効率が良くなる。


「俺は食材取りに行くからあとは宜しくな。」


リョーマさんがそういって寮の中に戻っていった。あとは火を起こすだけだが、まだ人も全然集まってないし、いくら着火するまでに時間がかかるといえど、まだ早すぎる。


「あとは火を着けるだけだし簡単ね。」

「簡単ってどういうことだよ?」


火は着けるのが一番大変なはずだ。だから夜営の時は火を絶やさないように寝ずの番をたてるくらいだ。


「こういことよ。」


そういってステラは指先から火の玉を出して見せた。さすがにそれは俺にはできないことだった。


「お前一人で夜営の常識が変わる気がするよ。」

「そうかしら?ハンターの大きいパーティーの魔法使いを集めたら、必ず火属性使える人いると思うけれど。」

「攻撃魔法として扱いやすいのが火の精霊なんだから、そうじゃなきゃパーティーに誘わないと思うけど。まぁそれより今は早く準備終わらせようよ。」


それにステラの場合はここで解決できるほど単純な問題じゃないし、解決していい物でもない。それよりも今日はせっかくリョーマさんが企画してくれたBBQを楽しむのが大切だと思う。


「よーしみんな集まったな。試験ご苦労さん!今日はたくさん食べてたくさん飲んで、そして王竜戦の予選も頑張れよ。それじゃ、乾杯!」


参加予定者が全員集まった頃、リョーマさんの乾杯の音頭で豪華なBBQディナーが始まった。ちなみにこの世界にアルコールの年齢制限はないが、学校内での飲酒は禁止されているため、ここにあるのはすべてただのジュースだ。そして網の上には大量の肉に野菜、鉄板には焼きそばがあった。この辺では熊肉は臭みがないことで有名で今日も出されている。


「やっぱり、大勢での食事はいいわね。」

「そうだな。また明日も頑張れる気がするよ。」


明日からはまた普通の授業に戻る。そして、これからは王竜戦の予選を勝ち進み、決勝トーナメントに出るために頑張っていかなくてはならない。

次回はいっきに時間がとぶのであしからず。

ではまた来週。

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