「悪魔」現る
操縦桿を握っていたネグスとデグラが、前面を占めるスクリーンを見ながら言って来た。
「チャーリィ、こいつはちょっと凄いぜ」
それまでライルにかまいつけてスクリーンすらろくすっぽ見ていなかったチャーリィは、石人間が指し示す映像を見て驚いた。
要塞は持てる牙を顕わにむき出していた。
口径五メートル以上の砲門が全面に隈なく口を開け、そこから夥しい死のエネルギーが放たれていた。
周囲にぎっしりと散開して要塞を守っていた遊撃衛星を沈めても、艦隊はそれ以上一歩も近づけないでいた。
艦隊の放つミサイルは全て要塞の周りで破壊され、堅固な装甲に掠り傷一つつけられない。それどころか、次々と脅威的な威力を誇る要塞の砲撃の前に、撃沈されていく。
黒いミサイルが1個当たっただけで、大型戦艦が太陽となって撃破された。
「ロドゲウム爆弾だ」
チャーリィは唸った。彼もそれが効力を発揮するのを見るのは、初めてだった。
ロドゲウム爆弾の連射で、戦艦の周りに張り巡らされた強固なバリアーを破り、さらに戦艦を屠っていく。超弩級戦艦の巨体でも持ちこたえられなかった。
すると、スクリーンの端に一隻の戦闘艇が飛び出してきたのが映る。
あっと、チャーリィはブリッジを見回す。
勇がいない。いつからいないんだ?
――奴があの艇の操縦桿を握っているのに、全財産を賭けてもいい。
『悪魔』の手先にされた屈辱を晴らすべく、無茶にも突撃するつもりなのだ。
同じ頃、ミーナもその無謀な戦闘艇を見つめていた。巨大な太陽に挑む小さな羽蟻のように無力に見える。
ミーナは勇のあとを追ったが、衝突コースで突っ走る戦闘艇には追いつけない。
彼女はギルの報告を思い出した。
「勇! ロドゲウム爆弾の保管倉庫があるわ。ギルがそこに爆弾を仕掛けておいたの。うまくやって!」
ミーナは祈る気持ちで、マイクに叫んだ。
彼女の見守る中で、勇の艇は危うく衝突を避け、巧みに砲門をかわしながら倉庫のある場所へと急ぐ。要塞の砲塔は遠距離用だから、表装ぎりぎりのところでは盲点となる。
そして、外表の敵を始末する機関砲なら、勇の戦闘艇で対処できた。せせりだす機関砲に高圧ミサイルをぶっ放しながら、敵のうるさい攻撃を右に左に避けて走る荒っぽさはいかにも勇らしかった。
ロドゲウム爆弾倉庫に続くハッチ前に着いた勇は直ぐ目の前の装甲扉に、いきなり立て続けにミサイルを撃ち込んだ。
爆発のあおりなどものともせずに数十発を一挙に撃ちこむと、猛スピードで離脱する。直ちに十倍の加速度を加えても、その後に起こった数百万発のロドゲウム爆弾の爆圧から逃れることは不可能に近い。
勇が撃ちこんだミサイルは、堅固な厚い装甲を突き抜け破壊した。その熱と衝撃がギルの仕掛けた爆弾を誘発させた。
一発で重戦艦一隻を轟沈させ得る威力を持つロドゲウムミサイルが、数百万。
それが一斉に爆発したのだ。
破壊エネルギーと爆風の一部は破壊されたハッチから直接噴き出し、残りは内側に向かって押し上げた。
鋼鉄の壁や床や天井は単に消え、その次の通路も、ぶ厚い梁も消えた。か弱い生物の肉体は一瞬ももたず、あらゆる装置とともに分解し蒸散した。
数十画目にして、高熱が炎となって瞬時に燃え上がり、火の壁が更に内部まで一面に立ち上がった。
それも、次の瞬間には、想像を絶する爆風に吹き飛ばされる。爆心から放射状に、熔けた壁や柱ごと幾画にも渡り、途中遮る何もかもを吹き飛ばして、熱い爆風は数百キロメートルを吹き荒れた。
その後で、火災が発生する。
勇が撃ちこんだハッチのあった地点から数百キロメートルに渡る深く大きな破壊跡が開いた。
それよりは小規模の同じような破壊が、もう一方にも生じた。
サミュエルが壁に貼り付けた爆弾がショックで爆発し、これが要塞の主リレーケーブルを寸断して、主エネルギー出力コントロールを混乱させた。その結果、メインエネルギーステーションで暴発が生じたのである。
爆圧によって拡散されたガスや破片が治まってくると要塞の傷ついた姿が現れてきた。
ミーナとチャーリィが見つめる中、薄れゆくガスを突いて、一隻の小さな戦闘艇が飛び出してきた。
動力機関の一基は停止し、もう一基は燃料を噴き出しながらばらばらと分解し、翼の一つがもぎれ、至る所穴だらけであったが、それでも艇は元気によろめきながら飛んできた。
スクリーンの中から、見守る二人にこのところ久しくなかった勇の笑みがにっとこぼれた。
「やったな!」
チャーリィの船の中がわっと湧く内に、ずたずたになった要塞めがけ、猛攻撃が開始された。
ぱっくり開いた破壊跡にミサイルを撃ち込み、中枢へ向かって奥深く内部を崩壊させていく。ロドゲウム爆弾の爆発にも辛うじて残っていた障壁を次々と吹き飛ばし、一枚一枚皮を剥くように侵攻していった。
その激しい攻撃の前に、ついに要塞の堅固な構造が臨界を迎えた。縦横に大きな亀裂が走り、内部に保っていた気体が噴き出す。
要塞を形作り支えていた金属塊の均衡が崩れ、陥没し砕けていった。
誰の目にも勝利を確信させる崩壊の最中、砕けゆく殻の中心から、真の本体が恐怖とともに現れた。
それを目にした者達は、みな一様に恐れ慄いた。
ヒューマノイドも、非ヒューマノイドも、いかなる種族も、そこに古代からの根源的な恐怖の具現を見た。
その反応は、各種族の性質、信仰の深さなどによって様々だったが、彼らの四分の一の攻撃力を萎えさせ、残りの者達から十数分間以上の行動力を失わせた。
『悪魔』は巨大化し、拡大して暗黒の虚空に浮かんだ。小惑星ほどもある全体は、不吉な青に輝き、あたかも命を帯びているかのように明減している。
そして、痺れたように停止している連盟艦隊に向けて、強烈な破壊ビームが無数に発せられた。
艦隊は一瞬にして多くの戦艦を失った。
真っ先に正気に戻った地球艦隊、それに続いて豪胆なガルド艦隊が反撃を開始した。
だが、そのビームやミサイルは全て空しく虚空へ逸れた。それどころか、味方の艦に向かって行く。対ミサイルで撃ち落し被害は最小に抑えたが、艦隊は攻撃する術を失って途方にくれた。
追い討ちをかけるように、『悪魔』は不気味に姿を変えていく。
蛇に似た巨大な口が裂け紅蓮の炎を吐く。黒い大きな翼が広がってエーテルを叩く。内臓のようにのたうつ腹が緑の血に濡れて裂かれ、中から鋭い牙を持つ口が現れる。幾万もの手や触手が蠢いて死の刃を放ち、幾十万もの口が裂け、幾億もの目がぎらぎらと憎悪に輝いた。
闇の中で荒れ狂う姿は、まさに伝説の『悪魔』そのもであり、見る人々にとっていくら理性で否定しても、黎明時代より受け継がれてきた本能が、彼らの心に恐怖を生み萎縮させる。
それはチャーリィを含む地球艦隊の人々にも同じだった。
唯一影響を受けないバリヌール人のライルは意識不明であり、銀河連盟の粋を集めた無敵艦隊は、茫然自失したまま為す術もなかった。
***
悠久の彼方より忘れられてきた封印が、今解かれ、眠っていた意識が目覚めた。課せられた生涯の仕事を完遂するために。
深く沈む混沌から、遠く過去へと繋がる一つの記憶が浮かび上がる。
創造の時。
たった一つの目的のために全能を与えられた。
だが、その意識は眠りをむさぼる。僅かな一部の意識の断片だけで十分であり、時間は掛かるが、事実それだけで果たせるはず。
宇宙の時の流れの中で、消費する時間は無意味であった。それよりも、意志の存在と意図を気づかれないようにするのが肝要だった。気づかれれば、必ず抵抗してくるのだから。
だから、それは眠り続けながら、身を一揺すりして宇宙中に『悪』の種子を撒いた。
ゆっくりと、だが、確実な足取りで様々な『悪』が形を結び、宇宙中に蔓延していった。それは、恐怖であり、不信や欲望という形にもなって、戦争や腐敗を引き起こし、また麻薬と姿を変えて、至る所に蔓延る生命の消滅を招くべく育まれてきた。
命の消失。それが、虚空の意志であり、望みであった。
真の姿とは、冷厳たる虚空であり、悠久の時を経ての熱量死なのだ。
既に幾多の世界で命が滅びた。時には命が命を食むことによって滅亡することもあった。それでも、なおも強かに命の芽は伸びていく。害虫や雑草のように。そして整然とした宇宙を我が物顔に掻き回し、汚物を撒き散らすのだ。
だが、それも九分通りまで排除できるところまできていたのだ。
懸念であった唯一の種族、悪の種子を持たず、従って命と時を超えて創造する宇宙へと昇りゆく存在を生む、唯一の脅威であった種族も消えた。
疑惑と不信の坩堝の中で、『悪』が完成し、あと一触で壊滅への、もはや留まることのない動きが始まるはずだった。
だが、ここで邪魔が入った。あの種族が生きていた。しかも、虚空を超える者として完成されようとしている。これまで永遠の長きに渡って築き上げてきた全ての努力が水泡と帰しかねない危機が訪れた。
今、全ての意識が目覚め、活動を始める。
相互に補完し循環し合い、永遠に消滅することの無い活力と命に満ち溢れた宇宙を、彼が創造し始める前に。
今こそ、創造主の望みを。
全ての命に破滅を。
正しい宇宙に蔓延る害虫を駆除するのだ。
そして、静かなる冷たい秩序を、虚空に返すのだ。
***
『悪魔』より発する凄まじい憎悪が星々の間に放たれ、全ての生命体は恐れ戦き萎縮した。艦隊は戦慄し凍りつく。誰も為すすべを知らなかった。理性と知性が呆けたように失われた。
虚空の『意志』によって創造され、委託された全能の存在に、ちっぽけな生物が敵うはずがない。
『悪魔』の姿が広がっていく。死をもたらす腕が伸びていく。
だが、星々の代表たる艦隊は破滅を前に微動だにできず、運命を受け入れようとしていた。
その中を、紫に輝く銀色の船が優美な船体を巧みに操って、幾千本もの射線の間を掻い潜り突進して行った。
その後を、戦闘艇を乗り換えた勇がこれは無謀と言うべき操縦で追い、『シルビアン』に向けられるビームを弾幕で中和する。
我を取り戻したチャーリィも、石人間の尻を蹴飛ばし脅して船を発進させ、自ら火器管制装置の引き金を握った。
ミーナに集中するビームは何十万本にもなっている。それらを中和し、なおかつ自分に向けられてくる射線を防がねばならない。
だが、直ぐ助けが来た。近藤元帥率いる地球艦隊が応援の弾幕を張った。それに触発されて多くの種族が続く。
射程距離からの攻撃が無効なら、接近戦しかない。しかし、それができる船は銀河広しと云えど、バリヌール人ライルの手によって作られた『シルビアン』しかない。
『悪魔』の恐るべき憎悪をも受け付けない唯一の船。
ライルは倒れているけれど、『シルビアン』は彼の意思を受け継いで、ミーナとともに『悪魔』の脅威を撥ね退ける。ビームと弾幕の炸裂する炎と死に囲まれて、『シルビアン』は『悪魔』に肉薄して行った。
膨張拡大するこの像が虚像であることを、ミーナは知っている。『シルビアン』の探査装置が、彼女に真実の姿を伝えていた。
真の実体は、巨大な虚像の中心にある数十メートルの像であった。だが、この虚像は三次元的に実体を持つ複次元虚像でもある。
その虚像を突き破るには、更に高次の次元エネルギーが必要である。そして、『シルビアン』のバリアーは、第五次エネルギーだった!
バリアーはバターを刻むナイフのように虚像に切り込み、ミーナは何の抵抗も無く虚像内に入った。
外にいる勇達には、船が虚像の中に吸い込まれたように見えた。
虚像を突き抜けたミーナは、周囲の空間が変化したことに気づいた。
そこは空虚な三次元空間ではなかった。複次元虚像を形作る力場に支えられた高位粒子の満ちる空間だった。
『シルビアン』は突入時の速度を保っていたので、たちまちバリアーの周囲が摩擦熱で燃え上がる。
その上、ぎっしりと満ちている微粒子は電荷を帯びて励起状態となっている為、バリアーを突き抜けて直接『シルビアン』に襲い掛かってきた。
複次元の性質を有する微粒子は、船体から絶縁体をすり抜け、導線を伝って全ての回路をショートさせ、電荷で飽和させた。
船内の空気すらイオン化し、ミーナの全身の毛が逆立って皮膚がぴりぴりと緊張する。
指がほんの少しでもコンソールに触れると、青白い火花が飛び散って、焼け付く痛みに飛び上がる。
「お肌に悪いわ……」
この期に及んで、呟いたのはそんな事。
濃縮スープのような高密度の空間を引き裂いて稲妻が走り、船を襲った。何十本、何百本が、ただ一隻目掛けて空間を裂いた。
この状態における凝集されたエネルギー線はほとんど物質的で、物理的な力を持つ。
高次元に入った船は、ミーナの意志に直接反応して素早くかわすが、船に直接触れなくとも、その直ぐ近くを力線が走り抜けただけで、エネルギーのあおりを受けて揺すぶられ、残存放射エネルギーの余剰にびりびりと震えた。
再度、稲妻をぎりぎりのところでかわす。その端が船の翼の先を掠めた。それで、船のコントロールが0.8秒失われ、コンバーター二基が焼き切れた。ジェネレーターもとっくに過負荷となっている。
命中弾が無くとも、『シルビアン』が粉微塵となるのは時間の問題だった。
しかも、ここでは時間と空間が凝縮されていて、通常空間で一秒ほどの距離が、何十分何百分もに引き延ばされている。
目指す『悪魔』がすぐ目の前に見えているのに、全速力で走って一向に近づく気配がないのは、もどかしくも苛立たしい。
同時に、『シルビアン』の撃つビームもミサイルも亀の歩みのようにのろのろと遅く、到達する遥か前に、稲妻により破壊されてしまった。
ミーナは歯を食い縛った。いつ誰が作ったか知れぬこの『悪魔』を破壊するには、ただ一つの手段しかなかった。
彼女はコクピットを見回した。部屋全体が、過イオン化で異様に明るく輝いている。
――私の『シルビアン』
『シルビアン』は彼女にとって、或る意味、ライルそのものだった。それが思考し、自分と同調していることを発見したのは、つい先日のこと。
彼女の視野がぼやける。自分の死を悼むのではない。『シルビアン』を破壊することになるのが、悲しいのだ。
ミーナの心を知ってか、『シルビアン』も泣いているかのように照明が瞬いた。
「あなたは永久に停止するのよ。その存在を止めるの。でも、私も一緒に行くのだから、淋しくないでしょう?」
ライルだったら非論理的だと呆れるだろう。だが、無粋なバリヌール人に地球人のこの繊細な心理が理解できる時が来るのだろうか?
ミーナは『シルビアン』に最後の指令を与えた。
船は短距離ジャンプした。
全能力を注ぎ込んで、濃縮されたスープの歪んだ空間を跳躍した。
次の瞬間、『シルビアン』は『悪魔』の心臓部で実体化した。同時に持てる質量の全てを解放させた。
『悪魔』にはどうする術もなかった。
事態を把握した時には、内部から外へ向かって、『シルビアン』の激しい爆発とともに押し出され、弾け飛び、そしてめくるめく眩しい一個の小太陽と化していた。
人々は『悪魔』の上げる激しい恐怖? 驚き? 怒り? の叫びとともに虚像が消え、代わりに白熱する太陽が生じてぐんぐん大きく膨れ上がってくるのを見た。
艦隊は指令も待たず、各自最高速で離れた。それを追うように、突如生じたエネルギー塊は辺りの空間を飲み込みつつ拡大していった。
が、やがて、大きく大きく拡がって薄れていく。
後には、何も……何も残らなかった。
微細な破片も、ガス状の一分子も存在していなかった。
全てがエネルギーに転換されたのだ。
ネグスとデグラが一心に船を遠ざけている間、チャーリィは呆然とスクリーンを凝視して立ち尽くしていた。
目の前で起こった出来事を悟性は理解しているのに、感性が認識を拒んでいた。
しかし、徐々に事実が脳髄を満たしていくにつれ、悲しみが心に沁み込んできた。
「ミーナ!」
チャーリィは悲痛な叫びを上げた。閃光のような素晴らしい女性、ミーナ。
彼の大事な親友で、仲間で、恋敵。
同時に勇もまた、あの爆発に巻き込まれたのではないかという恐ろしい考えが浮かんできた。
「ミーナ! 勇!」
無駄だと知りながらも、チャーリィはマイクに精一杯呼びかけた。
「勇! ミーナ!」
『おう! 何だ?』
突然、前置きなしに勇の元気な声が聞こえ、スクリーンの一つに顔が映った。
虚を突かれてとっさに声を出せないでいたチャーリィは、どうにか心を落ち着かせる。
「無事だったのか。良く、逃げ出せたな」
ほっとした声を上げたチャーリィに、勇はけろりと嘯いてのける。
『あのくらい、たいしたことないさ。俺にとっちゃ、当たり前だ』
そして、にやにやする。
怪訝な面持ちで警戒するチャーリィの目の前に、勇はもう一人を映し出して見せた。
「ミーナ! 君……生きて……!」
勇がチェシャ猫よろしく歯を剥き出しているのも構わなかった。
――ああ! 勇なんか、くそくらえ!
チャーリィは喜色も露わに歓声をあげた。
ミーナが穏やかに、けれども、ひどく悲しそうに微笑んだ。
『最後の瞬間、『シルビアン』は私を放り出したのよ。私だけを転送させたの。そして、彼は一人で行ってしまった。私を置いて! 宇宙にぽつんと浮いている所を勇が拾い上げて、こうして逃げ出してきたってわけ』
その口調は、彼女らしくなく投げやりだった。
彼女の一部にもなっていた『シルビアン』を失ったミーナの気持ちは良くわかるが、それでもチャーリィは喜びを隠し切れなかった。
「俺は『シルビアン』に感謝するよ。あれは、想像以上に一個の人格を持っていたと言えるのかもしれないな。嘆くなよ。君なら、また、第二の『シルビアン』に出会えるよ」
『それでも、それは彼ではないわ』
そういうと、ミーナは画面から外れてしまった。
代わって出た勇が、間もなくドッキングすると言ってコンタクトを切った。