parallel story -03
今回は本編第3話です。
今度は楓と違って、逆にすこぶる評判の良い小夜回。
って事で、今回はサービス回でもあります。
何がサービスなのかは読んでみれば分かります。
「アバッ!!」
俺は顔面にボールを食らった。
顔に来る物凄い衝撃。
歪む鼻。
そして流れる、一筋の鼻血……
今は学校、体育の時間。
やってる事はサッカー。
そして俺はゴールキーパー。
正直言ってフォワードがやりたかったのだが、ジャンケンで負けて仕方なくゴールキーパーになった俺。
「……はぁ」
で、体育監督の教師の合図で、ゲームはスタート。
「はいじゃあ始めるぞ。……プレイボール!!」
「先生それ野球です!」
とまあ始まった体育サッカー。
俺は渋々ゴール前で何となくの構えをし、
開始10秒でボールが相手に渡り、
開始20秒でこっちチームのディフェンスが抜かれ、
「……あ」
っという間に相手フォワードと一騎討ち状態に!!
ってか
「ウチのチーム弱ぇ〜!!」
そして……
ばちこーん!
相手のタイガーシュートが見事俺の顔面にクリーンヒット!!
「ぐはっ……」
ボールが俺の顔でバウンドし、斜め上へとはねあがる。
辺りに飛び散る、俺の血液(鼻血)!!
俺はその衝撃で盛大にぶっ倒れた。
「あ、春吉が開始20秒で倒れた!」
「うわっ、なんかすげぇ音したぞ!!」
「鼻血の量がハンパねぇし……」
「先生、木山君がタイガーシュートに倒れました!!」
「なんだと、デッドボールかっ!?」
「だからそれ野球です!」
何だか、野郎共がいそいそと掛けよって来る。
ちなみに俺はゴールの中でぶっ倒れ中。
なんだか……視界がぼやけてきた……
「先生、早くっ!」
「そ、そうだな。デッドボールなら早く塁を回せ!」
「だから野球だよそれ!」
「……とりあえず着いたな」
現在、俺は保健室に来ていた。
そう、サッカーで大量出血したので、輸血しに保健室。
「しっかし、あのタイガーシュートは反則だろ……」
などとぼやきつつ、保健室の扉をノック。
「失礼します」
ガラガラっと引き戸を開け、保健室へ入室する俺。
しかし……
「……あれ?」
室内には誰もいなかった。
ってか養護教諭どこ行った?
仕事しろ。
「……いねぇのかよ」
参ったな……
とりあえず保健室の中を観察。
薬品棚に、清潔な水道、保健室専用冷蔵庫、身長計体重計、そしてベッド……って、
「……ん?」
保健室の一番奥のベッド、そこに誰かが寝ている。
制服姿の女子だ……ってかアイツは、
「……もしかして、小夜か?」
ベッドで寝ていた女子生徒。
それは俺の幼なじみの荏咲 小夜だった。
「……春吉?」
俺の声に気付き、ゆっくりと起き上がる小夜。
その顔はほんのり赤い。
「どうしたお前……風邪か?」
目の前にいる小夜の目はとろんとしていて、息も若干荒い。
「……そうみたい」
相変わらず単調な口調で話す小夜。
「おお……だったら寝てろ寝てろ。そんでさ、保健の先生知らないか?」
「保健の先生なら……さっき、職員室に行くって……」
なっ……
風邪引いて寝てる生徒置いて職員室だ?
「なんか……用事があるって……」
「そうか、わかった。小夜、お前は寝てろ。保健の先生探してくるから」
ったく、本当に必要な時に限って、養護教諭は保健室にいないんだから。
仕方ない、ちょっくら職員室に……
と思った、その時。
「……待って、春吉」
「ん?」
職員室へ行こうとしていた俺を引き留めたのは、ベッドで寝ている小夜。
「どうした?」
「…………」
人を呼び止めて置いて無言になる小夜。
相変わらずその顔は赤く、目も若干タレ気味。
「…………」
「何? なんかあんのか?」
「……えっと」
「ん?」
「……お願いがある」
「何?」
「……汗、拭いて欲しい」
小夜からのお願い。
それは汗拭きでした。
ああ、熱あるから汗かいたのか?
「ああ、別にいいけど……」
「……ありがと。じゃあ、お願い」
そう言うと小夜は再び起き出して……
ワイシャツのボタンを外し始めた。
って、
「うおっ!? ちょ、小夜さん何してんの!?」
「……汗、拭いてもらうから、ワイシャツ脱ごうと」
とか言いつつも、すたすたとボタンを外す小夜。
俺は思わず視線を窓越しの外へ。
「待ってくれ、俺どこ拭くの?」
「……体」
「そ、そりゃそうだけど……」
背後から聞こえる、ボタンを外す音。
カサカサってワイシャツの擦れる音が、なんかちょっとヤバい。
その時、背後から肩をちょんちょんされ、
「……これタオル。背中お願いできる?」
「……あ、ああ」
俺は背中越しにタオルを受け取り、ちょっと勇気を持って振り返る。
「……っ!」
そこにはベッドの上で座っている、小夜の白い背中があった。
ぶっちゃけ超綺麗。
本当に肌、白いな……
スベスベそう。
「……じゃ、じゃあ拭くぞ」
思わず言葉に力が入ってしまう。
だって男だもん。
そして唾を一飲み。
俺は変態か?
いや、思春期だ。
「……あ、待って」
その時小夜は自らの腕を背中に回し……
パチッ
「…………ッ!!」
小夜は自らのブラのホックを外した。
ちなみに色は白……げふんげふん。
ってか、
「…………ッ!!」
は、鼻血がまた出そうっ!!
「……じゃ、じゃあお願い」
きゅっと前屈みになるような姿勢を取った小夜に、ちょっと掠れた声でお願いされた。
俺の目の前には、丸まった小夜の背中。
「…………」
ちなみに俺、めっちゃ今ヤバい!
そ、そういえば。
よくよく考えると、いまこの保健室には俺と小夜しかいないのであって。
しかもベッドの上で。
小夜は上半身に何も身に付けていない状態であって。
俺の理性が悲鳴を上げています。
ってか小夜って、こんな大胆な子だったっけ!?
「じゃ、じゃあ……」
俺は逸る気持ちをぐっと抑え、タオルをそっと小夜の背中へ……
スっ……
な、なんか凄い。
小夜の背中からは汗の匂いよりも、何かいい匂いが……。
保て、俺の理性を保て!!
「……ごくっ」
思わずまた唾を飲んでしまった。
「…………っ」
一方の小夜は、黙り混んでしまっている。
俺は極力視線をそらしつつ、もう急いで背中を拭く事に専念。
ああぁ……
「……ありがと。だいぶ楽になった」
「ど、どどどういたしししままましててて」
テンパり過ぎだろ、俺。
俺はタオルを小夜に返すと、急いで視線を外へ。
ふぅ〜……
何か色々と危なかった……
その時……
ばさっ
「……ふぅ」
「さ、小夜?」
なんだか衝撃を表す音が背後から聞こえ、俺、思わず振り返る。
そこには……
「……暑い」
「………っ!!?」
そこには、ブラもせずにただワイシャツを羽織っただけの小夜が、ベッドに仰向けで……って
「ぶほっ!!」
思わず鼻血がリターン!!
てぃ、ティッシュ!!
「……春吉」
「な、何か!?」
俺は保健室の机の上にあったティッシュボックスからティッシュを取り、鼻にイン!!
鼻栓完了!!
「……暑いから……靴下、脱がせて」
「ぶほっ!!」
鼻栓が一気に真っ赤へ早変わり!
「……お願い」
「ちょ、ちょっと待っ……」
小夜は顔を真っ赤にし、息も荒く、かなりつらそうにベッドで横になっている。
……どうする、俺?
理性大丈夫?
今二人きりで保健室よ?
理性本当に大丈夫?
「……はぁ、はぁ」
つらそうに息をする小夜。
……こんな時に俺は何を想像してんだ。
この変態主人公めっ!
エロ魔神か俺はっ!!
「大丈夫か小夜? ……今脱がしてやるから、ちょっと足上げろ」
俺の言葉に、ちょっと辛そうに足を上げる小夜。
俺はその隙に小夜のニーソに手を掛けて……
一気にスッと脱がす!
しかし……
白く、艶のある太もも。
ぷにぷにのふくらはぎ。
細めの足首。
足の指先まで綺麗なラインを保つ小夜の足に、男春吉はヤバかった。
「い、いかんっ!」
理性が、理性がぁっ!
俺は小声で呟き、急いで視線を反らし……
しかし。
今、小夜は制服、つまりスカートであって。
靴下を脱がすべく、足を上げてるのであって。
その……視線反らした先に……す、スカートの中が……
「……純白ッ!!」
もう鼻血が止まらなくなってきた!
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!
思わず俺の息が荒くなる。
もう……理性が……
「……春吉」
「な、何……?」
ベッドで横になっている小夜の顔は、赤い。
「……今、あ、暑いからさ」
「ああ……」
「その……」
「ん……?」
「……ぱ、パンツも……脱がせて……」
「もう無理だああああぁぁぁぁぁッ!!」
「……はっ!!」
その時、俺は目を覚ました。
「あ、先生! 木山君が目を覚ました!」
「本当かっ! ホームランか!」
「もう先生意味分からないっ!」
な、なんだ……
空が見える……
ってかここ、校庭?
俺、校庭に倒れてる?
回りには野郎達。
しかも覗き込まれてるし、顔。
「大丈夫か春吉?」
そこにいたのは同じクラスの赤佐君。
「お前がタイガーシュート食らって気絶したと思ったら、突然ニヤニヤしだして……」
「……は?」
何?
もしかして今までの……
「で、終いには息まで荒げて……もしかして頭打ったか?」
「……ありゃ夢か」
何なんだよ……あれ。
今思うと、小夜はただの幼なじみ、友達で……
あんな夢見る俺って、なんか最低だ……
自己嫌悪。
「どうする春吉、保健室行くか?」
俺を心配する赤佐。
しかし、俺は……
「保健室っ!? い、嫌だ、絶対行かないっ!!」
何か、トラウマが出来ました。