70話 鶴嘴っ娘、宮崎に立つ
今回も鶴橋っ娘視点です。
あと前回から4月に入っており、入学式も済んでます。
「んで、どーなったの?」
大学の学食。
大学に入ってから仲良くなった友人がテーブルから身を乗り出す。
「ん。ゴールデンウィークに家族と一緒に宮崎に行く事になった」
「そかそかー。と、ゆー事はモエモエちゃんが愛してやまないスコおじさんとコラボする事になったんだね!」
「いやちゃうねん! なんでそーなんの!? 尊敬はしてるけど恋愛対象とは見てないよ!」
流石にお父さんと年齢が近い中村さんを異性として好意を持つ事は無い。だけど人として嫌いって訳じゃない。この感情はやっぱり尊敬なんだと思う。
で、ゴールデンウィークを利用して家族みんなで宮崎に行く事になったんだけど。旅行の事をお爺ちゃんとお婆ちゃん話したら、流石に歳だからって辞退しちゃった。なので行くのはウチとお父さんとお母さん。
因みにお爺ちゃんとお婆ちゃん、ウチがしてる事、というか探索者に理解がある。「萌葱ちゃんの好きにしたらええ」とお爺ちゃん達が言ってた。お母さんよりも理解が早くて助かります。ウチが探索者をやるのをお母さんが認めたのもお爺ちゃん達の口添えがあったからというのもある。だから一緒に来てほしかったんだけど、残念。
それと、当初中村さんが「こっちの都合だから自分が旅費全額払います」と言ってたけど、それは遠慮した。お父さん、会社ではそこそこ偉い立場らしいし、それなりに貯蓄もある。ただ、やはり中村さんがそれだと申し訳ないと言うのでウチの旅費の分全額、それと家族全員のホテルの予約と滞在費は出してくれる事になった。
日数は5泊6日。行きと帰りは乗り継ぎで、東京でそれぞれ1泊。残り4日を宮崎、そのうちの1日がコラボ配信で残りは観光にあてる形だ。
中村さんをゴールデンウィークまで待たせる事になっちゃったけど、ウチの都合がつく時で良いからと中村さんが言うので、お父さんが休みを貰えるゴールデンウィークに行く事になった。
そう言えばお爺ちゃんが言ってたけど、宮崎は昔新婚旅行のメッカって言われてたんだって。ただ、沖縄が返還され、そして割と簡単に海外に行けるようになってからはそのブームも終わったそうだけど、迷宮が出現してからは旅行は国内が主流になったから、また旅行で宮崎を訪れる人は増えているみたい。因みに2月はホテルの予約が取れないそうな。
「でもさ、モエモエちゃんのお父さんが心配するのも解るわー」
「なんで?」
「だってモエモエちゃん、一部を除いて小学生にしか見えないし」
「うっさいだまれ」
***
そしてゴールデンウィーク。
去年は大学受験の勉強してたから何処にも行けなかったけど、今年は違う。本当中村さん様々だ。尚、ウチには3つ上の兄がいるけど仕事で行けない。まあいつもの事なんだけど。あ、ブラック企業に務めてる訳じゃなくて年末年始を始め、ゴールデンウィークとか盆休みとかにあるイベントの仕事に出てるからなんだけど。逆に平日にまとまった休みを取るから中々会わないんだよね。
そんなウチの家庭の事情は置いといて。
やってきました宮崎!
取り敢えず中村さんと空港内で待ち合わせしてるので、その場所に。
……って。
「でっっっっっっか!」
ア◯ーラ◯ッシーの等身大バルーンだ。なんでこんなのがあるの?
いや待ち合わせするにはこれ以上ない目印だけどさ。
で、そんなアロ◯ラナッ◯ーの足元にいる中村さんを見つける。中村さんもウチ達を見つけた様で。
「こんにちは。初めまして、でいいのかな? ようこそ宮崎へ」
「こんにちはなのです!」
と、カジュアルスーツを着た中村さんが歩み寄る。そして肩掛けバッグの中にはマンドラちゃんの姿が。
実物かわよっ!
「この度はお招きいただきありがとうございます」
「いえいえ、こちらの都合で招いたのですから、そんなお気になさらず」
と、お父さんと中村さんがペコペコ頭を下げる。
2人を見てるとなんか仕事にに来たみたいだ。お互い私服なのに。
一方でお母さんはマンドラちゃんに興味があるみたい。違うな、怯えてるかな?
「可愛いけど魔物なのよね。襲ってこないのかしら」
「マンドラちゃんを始め、テイムされた魔物は契約者さん……マンドラちゃんだとパパと自動的に3つの契約するです。人を襲う事はないのです。パパの言う事聞くのです。けどマンドラちゃんを襲う人は別なのです」
要するに、その自動的に契約する内容は。
・人を無意味に傷つけてはならない
・契約者の命令には絶対服従
・自己防衛
て事みたい。
「えーと、ロボット3原則?」
とお母さんが言うけど、何それ?
それともう1人。ずっと気になってたんだけど、メイド服を着た美人さんが1人。
色白で、髪は藍色で肩辺りまで伸ばしてる。キリッとした鳶色の瞳にスッと通った鼻、薄く紅をひいた唇。背丈は中村さんより少し低いくらい。身体のメリハリがついててスタイルが良い。正直言って目立つ。
「あの、この人は?」
「ああ、今日の皆さんの護衛するマイだ。マイ、ご挨拶を」
「はい、主様。お初にお目にかかります。私はマイ、自動人形です。本日は主様及びお客様の護衛を仰せつかりました。よろしくお願いいたします」
と一礼するメイドさんことマイさん。
ん? 今この人自分の事を自動人形て言わなかった?
ひょっとしてこの人……
「中村さんの従魔!? いつの間に増えたの!?」
「ああ。1週間前に菱刈ダンジョンに行ってね。そこで偶然。本来は別の目的があったんだけど、そっちは残念ながら……いやー、物欲センサーて怖いね」
と、頭を掻きながら苦笑する中村さん。
一応配信してるしアーカイブもあるけど、中村さんは言うけど、旅行の準備とか忙しくて全然観てなかったんだよ。
「まあ彼女の事は置いといて、折角ですし宮崎を案内しますよ。今日は県南の方に行きましょうか」
置いといて、と言われてもなぁ……
後でアーカイブで確認しよ。
ひょんな事から新しい従魔が増えました。どう言う経緯で従魔にしたのか、それは次回にて。
巴家の家族構成ですが両親はアラフィフで中村よりも年上です。それと萌葱には4歳年上の兄がいます。兄は大学に行かずイベント系の会社に就職してます。父方の祖父母は少し離れた所で暮らしており、いつでも会いに行けますが、母方の祖父母は県外在住なので中々会う機会がありません。
「後書きのネタを書き忘れて1日投稿を遅らせた、この可憐で美しい美少女は誰でしょう? そう、作者です」(某魔女)




