61話 真のボスと日本最強パーティ
前回、玉依姫が後妻云々と書いてますが、記載されているのは先代旧事本紀です。
前回のはネットとかである「玉依姫は寝取られた。古事記にも書かれている」みたいなのだと思って下さい。
哀れ、火遠理命が黒い霧となって消滅していく。
残ったのは拳大の魔石と弓。
神(自称)といっても迷宮が生み出した存在、魔物でしかない。実に憐れだ。
限界突破して本気で殺ったからスコップがまた壊れてしまった。予備があるからいいけど、最近品薄なんだよな、あのスコップ。
「さて、と。それで、豊玉姫様はどうするのです」
元旦那が倒されても無関心を装う豊玉姫に尋ねる。
「そうですね。元とは言え夫を討たれたのですから敵討ちを……と言いたいところですが、正直どうでもいいです」
∶めっちゃドライ。
∶そんだけ冷めてたって事だろ。
∶そう考えると火遠理命も憐れだな。
∶同情はしねえけどな。
∶死んでもざまぁなのね。
∶ところでスコおじは何でそんな事言ったんだ?
「多分ですが……彼女こそ、この迷宮のボスですよ。彼女、火遠理命よりも強いです」
∶ふぁっ!?
∶マジで!?
∶駄神には塩対応してたけど優しそうなのに?
∶スコおじの勘違いでは?
∶あっ……(察し)
∶あ……あああっ! そうだよ! 確かに!!
そうだね。見た目美人のお姉さんだよね。けど伝承を知ってる人は彼女の本来の姿がなんなのか知ってるんじゃないかな。視聴者も何人か気付いた様だ。
豊玉姫の正体。それは鮫だ。記述によれば鰐と書かれているが、当時は鮫の事を鰐と呼んでいたらしい。
因みに火遠理命は半神半人だが豊玉姫は純然たる神、女神である。それを踏まえれば彼女の方が強いのは当然と言える。
それに龍さんも彼女に対して警戒している。マジ顔だ。
「お察しの通り、私がこの迷宮の、ダンジョンのボスです。火遠理命は中ボスです。ですが、戦いの場はここではありません」
豊玉姫が柏手を打つと魔法陣が現れる。
「この魔法陣が私との戦いの場、竜宮城へと至る道、その入口です。本来火遠理命はこの入口を護る、言わば門番の様な存在だったのですが、何を血迷ったのか、自分こそこのダンジョンのボスだと勘違いしていた様ですね」
夫どころか門番だったよ……いとあはれ。
「勘違いしている彼を諌めに来たのですが、門を封じられまして、戻るに戻れなくなってしまったのです。それに潮満珠と潮干珠もあります。ですが貴方がたのおかげで無事、開く事が出来ました。礼を言います」
そう言い、豊玉姫が頭を下げた。
「それでは私はこれで……と、その前に。幾らアレが勝手に依頼したとは言え、報酬が無いのでは流石に割が合わないでしょう。これを」
豊玉姫がこのクエストの報酬であった首飾り……ではなく勾玉をそれぞれ自分、龍さん、そしてマンドラちゃんに手渡す。一度だけの使い捨てとは言えその効果は絶大だ。貰っておいて損はない。
「それでは。もし戦うなら容赦はしません」
「はは、今はそんな気にはなれないですよ」
微笑みながら豊玉姫は魔法陣の中に入り、竜宮城へと転移……
「言い忘れておりました。この門の転移先は海中です」
「おぉい!? ちょー大事な事じゃねーか、言い忘れんなよ!」
今度こそ転移した。
豊玉姫が消えた事で限界突破を切る。龍さんも全身に張り巡らせていた気を消した様だ。
「えー、こんな形になってしまいましたが、無事クエストを達成出来ました。それでは次回の配信までた……といっても次の配信先は決まってるんですけどね。潮嶽神社ダンジョンです。それでは、スコおじこと中村浩士と」
「龍美麗ト」
「マンドラちゃんでした!」
∶スコおつー
∶おつスコー
∶海幸彦と戦うんか?
∶豊玉姫とは戦わないの?
∶豊玉姫相手だと準備いるだろ。
∶あースッキリした。これでアンチに戻れる。
∶いや戻るのかよ。
∶¥50000
今日の配信も素晴らしかったですわ! 何度も逝ってしまいましたわ。
∶変態ネキも平常運転、と。
配信を終了しました――
***
それから3日後。
自分達は空港に来ていた。どうでもいい事だが、この空港、ラブホ空港と呼ばれてたりする。とんだ風評被害である。
筋肉痛で全身がまだ痛い。探索者を始めてから身体を鍛えてて、最初の頃みたいに激しい戦闘のあった次の日に全身筋肉痛、という事は無くなったが、限界突破を使うとどうしても筋肉痛になってしまう。まぁ動けない程ではないが、歳のせいかなかなか治らない。
あと火遠理命からドロップした弓だが、ビーストキラーという動物、魔獣系の魔物に特効の弓だった。物自体はそう珍しくないのだが、神様補正が付いているのか、普通のビーストキラーよりも強く、命中補正+、攻撃力+、そして特効3倍(本来は1.5倍くらい)との事。おかげで魔石やアズミの銛諸々含めて買取額は8桁を越えた。8桁越えは生目古墳1号墳ダンジョン以来である。
と、そんな事はさておき、ここに来た理由は釣り針の呪いを解ける人物が来るからだ。
「だからと言って何で待ち合わせの場所がア◯ーラ◯ッシーなんだよ……」
「パームトレントよりも愛嬌があるのです」
「マンドラちゃんには勝てないヨ」
うーん、目立つな。この後迷宮に行く訳でもないので私服なのだが、マンドラちゃんと龍さんが兎に角目立つ。
赤いチャイナ服を着ている龍さんはさっきからナンパされては追い返している。
マンドラちゃんは写真を強請られている。そのせいで自分が誰なのか知っている人もいて、「スコおじだ!」と指を指される事も屡々。
人を指差しちゃいけませんて習わなかったのか?
因みに自分の服装はユニQで買ったシャツとスラックスである。
待つ事1時間、男女4人の集団がこちらにやって来た。男性2人、女性2人の集団だ。
1人はちょくちょくリモートで話している七津見さんだ。ベージュ色のカジュアルスーツを着てている。目元が隠れてなければ何処にでもいる青年という感じだ。
もう1人の男性は彼よりも長身だ。長髪で髪を後ろで束ねている。リクルートスーツを着ており、服装だけなら出張か何かで来たと思うかもしれないが、鋭い目つきと剣呑な雰囲気が全てをぶち壊している。
残り女性2人、どちらも小柄だ。1人はクロップド丈、所謂ヘソ出しファッションだ。襟元にファーの付いたジャケットにミニスカート、髪はボブカット。もう1人はウルフカットに白いパーカー、ショートパンツ。2人とも猫のようなツリ目で美女というよりも美少女だ。顔立ちや雰囲気が何処となく似ている。姉妹だろうか。因みに2人ともとある場所の自己主張が激しい。
「どうも中村さん、待たせてしまいましたがね?」
「小一時間程。2人とも目立つから暇を持て余す事はなかったですよ」
歩み寄る七津見さんと笑顔で握手を交わす。リモート通話で顔を合わせているが、直接会うのはこれが初めてだ。
「美麗の要請で来る事になったけど、いつかは紹介しようと思っていたんだ。愛莉と二兎には会ってるよね。彼、彼女らがパーティ『D.B』の残りの面々だ」
ナツが付けている身代わりの仮面と勾玉の効果は同じですが、勾玉は死亡を防ぐ上にダメージも回復します。因みに仮面は下層辺りから魔物が稀にドロップすることがあり、深層だと仮面も勾玉もそれなりにドロップします。
次回、作者一番のお気に入りキャラ登場!
「僕の名はエ◯ジ。評価ptは今、狙われている!」(そ〜ら〜に〜、蒼いりゅう〜せ〜い〜♪)




