44話 因果応報家族
黒沼サイドの話です。絶賛ざまぁ中。
どうしてこうなった。
これまで俺は順風満帆な生活を送ってきた。
妻は社長令嬢で、このままいけば社長の座も充分にあり得た。それが今では……
「いつまでこの会社にいるんだよ」
「中村さんを冤罪で追い出した癖に」
「早く辞めろよ」
「あいつのせいで全然営業が取れないんだよ」
嘗ての部下が俺を蔑みの目で俺を見ている。
こうなったのはあの誓約書のせいだ。
そもそも俺は守る気なんてなかった。何が悲しくて俺のした事を暴露しなければならないのか。黙っていてもなんの問題もないし、それに暴露したのか中村には解らない筈だ。だから黙っていればなんの問題はない、そう思っていた。
だがあの誓約書にサインした次の日。
出社した俺は、社員の前でぶちまけた。口が勝手に動いた。中村に冤罪をかけた事だけでなく、美沙との事まで。
その日から俺は針の筵だ。しかも会社の人間だけじゃない。取引していた会社にまで自分の口で暴露したのだ。
当然取引停止する会社が相次いだ。今では全く契約が取れない。
嘗て営業課のエースと呼ばれ、皆から尊敬されていた俺はもういない。
どうしてこうなった。
決まっている、中村のせいだ。アイツが余計な事をしなければこんな事にはならなかったのだ。だが、アイツに近付く事は出来ない。下手に接触したら20万払う事になる。
もうここには俺の居場所はないのか? いや、まだ社長は俺を見限っていない。
そう思っていた。
「黒沼君、すまないが会社を辞めてもらえないかな」
その社長に死刑宣告を通達された。
***
家に帰り着く。
嘗て住んでいた一等地の住宅は元嫁の物となっている。
まぁ元々、俺名義の家ではなかったからそれは仕方がないが。
今は家賃15000円の安アパートに住んでいる。
「ただいま……て、おい。飯は?」
「は? 何言ってんの?」
現妻である美沙がスマホを弄っている。食卓には夕飯は並んでいない。
「お前、ずっと家に居るんだろ? 飯くらい作れよ」
「うっさいわね、誰のせいでこうなってると思ってんの? それに男は女を養う義務があるでしょ? あんたが作んなさいよ」
この女、利用する分には申し分ないが、一緒に暮らすとなると最悪な屑だというのがよく解る。
「黙れ。専業主婦なんだからそれくらいしろ。というか何スマホ弄って……お前また要らんもの買おうとしてんのか!」
「必要な物よ! 化粧品もバッグも洋服も、私をよく見せる必需品よ!」
「だったら働いて自分で稼いで買えよ! ただでさえ慰謝料払って金が無えのに余計な出費するんじゃねえ! だいたいその金の出処は俺の給料からだろうが!」
「だーかーらー、あんたには私を養う義務があんの! あんたの金を使うのは当たり前の事なの。それを働けとか、巫山戯てんの?」
「黙れクソ女! 本来ならお前の様ないるだけで役立たずの穀潰し、すぐにでも叩き出してやってもいいんだぞ…それが嫌ならパートにでも行って働いてこい!」
毎日こうだ。どんどんと借金が嵩むばかりだ。本当に嫌になる。美沙は家事全般出来る筈なのにやらないし、文句しか言わない。美沙はこの生活を送る羽目になったのは俺のせいとか言ってるが、寧ろこいつのせいだ。
「パパもママもいい加減にしてよね。カップ麺もう飽きたんだけど」
「なら自分で作りなさい!」
「ママ、それ育児放棄だから。児相に通報しよっかなー」
「ぐ……作ればいいんでしょ、作れば!」
と陽茉莉の脅しで漸く台所に立つ美沙。
陽茉莉は学校内での虐めが発覚後1ヶ月の自宅謹慎が言い渡されている。年度末なので陽茉莉にはそこまで影響ないのだが、問題は来年度以降の学費が払えない事だ。なので4月から公立中学への転校が確定している。尤も、陽茉莉からすれば。
「いいわよ別に。もうあの学校にはいられないし」
との事で然程気にはしてない様だ。実際発覚するまでは品行方正で教師の覚えの良い、カーストトップの優等生だったが、今ではカースト最底辺の問題児扱いらしい。
「あーあ、こんな事になるならちゃんとあの人のいう事聞いとけば良かった。そうすれば今頃あの人と裕福な暮らし送れたのに」
あの人というのは中村の事だ。あの男は陽茉莉に虐めとか絶対にするなと口酸っぱく言っていたそうだが、俺の娘と発覚してからは、俺の「上に立つ奴は下の奴に何しても許される」という考えに染まっていったのだ。
しかしあの男と裕福な暮らしとはどういう事だ。
「知ってる? あの人探索者になって1ヶ月でタワマン暮らしをしてるんだよ」
と、俺にスマホの動画を観せる。そこに映っていたのは迷宮で圧倒的な実力を見せつける中村の姿だった。
「なん、なんだこれは……」
「パパ、知らなかったの? けど仕方ないか。あの人の事知る余裕なんてパパにはなかったもんね」
「ひょっとして美沙、お前も知っていたのか?」
「勿論よ。凄いお金稼いでるからより戻してやろうと住んでる所に行ったら不在だったから、ドアを蹴ってやったわ!」
「なんて事してんだお前は!?」
これ、発覚したら器物損壊どころではないぞ。
「美沙! 兎に角お前はパートでもなんでもいいから働け! なんなら風俗でもいいぞ。お前にはそれくらいしか価値がないからな。陽茉莉もパパ活なりなんなりしてこい。その辺のおっさん捕まえて未成年淫行を仄めかして脅せば金になるだろ」
「なんで私が働かなきゃならないのよ!」
「黙れ穀潰し!」
「私、脂ぎったおじさんの相手なんかしたくないんだけど……」
「相手をしろとは言わん。未成年である事を盾にして脅して金を巻き上げろと言っている。美沙と違って頭の良い陽茉莉なら解るだろ?」
「あー、そういう事。それなら、まぁ。あとお金は好きに使っても?」
「ある程度はな。だが得た金はちゃんと寄越せ。そこから小遣いをやる」
「商談成立ぅ」
美沙はまだ文句を言っているが陽茉莉の「みっともない」という発言で沈黙する。
しかし中村の奴、探索者になったのか。俺もクビになってしまったし、探索者になるのも良いかもしれん。中村にやれて俺に出来ない筈はないんだ。
ネトコン落ちました(泣)
3人とも反省していませんね。美沙に至っては本当何してやがるんですかね。
尚、まだまだ転落していきますんでw
ミ○ト「お、お見事です、艦長……」
ブ○イト「う、うむ。まさか私もリ○ンホ○スで使徒を倒せるとは思ってもみなかった……」
(ス○ロボαの有名なアレ。作者は毎回ブ○イトでイ○ラフェル倒してましたw)




