40話 マンドラちゃんと遅れてやってきたテンプレ
お待たせしました。
協会の中に入ると、職員始め、他の探索者が一斉にこっちを見る。
因みに土嚢袋に入れた迷宮の土はバックパックの中だが、マンドラちゃんは両手で抱えている。
バックパックを背負い、半身土嚢袋に包まれたフィギュアサイズの幼女を抱えるおっさん……
我ながらシュールな絵面である。
だが視線の先は自分ではなく、マンドラちゃんに向いている様だ。
「テイムしたのか……?」
「何あれ可愛い……」
「あのおっさんロリコン?」
「馬鹿、よく見ろ。さっきまで配信してただろ、スコおじだよ、スコおじ」
うーん、自分も有名になったものである。
とりあえず、換金の為に順番待ちのチケットを切り、控えのソファに座る。
「あの……」
「はい、なんでしょう?」
見知らぬ探索者が話しかけてきた。まだ若い女性探索者だ。
「その子、見せてもらっていいですか?」
「ええ、まあ」
「やたっ」
女性はしゃがみながら膝の上のマンドラちゃんをしげしげと見つめる。
「やーん、可愛いよぉ」
「マンドラちゃん可愛いですか?」
「喋った!? やだ、この子声も可愛い!」
「えへへ、パパ、マンドラちゃん可愛いって褒められたです」
「良かったな」
「はいです!」
「はふぁ! てぇてぇ……てぇてぇですよ! あ、あの写真を撮っても……?」
構わない、と言おうとしたところで。
『26番のお客様、換金用窓口にお越しください』
「あ、呼ばれた。すみません、それでは」
「あ、はい……」
写真のタイミングが合わずがっかりする女性探索者。
「マンドラちゃん、手を振ってあげなさい」
「はいなのです。お姉さん、バイバイ。またなのです」
「はぅん! ヤバい! 可愛すぎて死ぬ!」
「あわわ! 死んじゃ駄目なのですよ!?」
後日、マンドラちゃんファンクラブ(非公式)が出来るのだが、それはまた別の話。
***
しかし、マンドラちゃんに対して悪感情を抱く者もいる。いや正確にはマンドラちゃんをテイムした自分にか。
「おいおっさん、テメェ調子こいてんじゃねえぞ」
「はい?」
換金の為に窓口に行こうとしたらなんか絡まれた。
「だいたいよー、キメェんだよ。いい歳こいてロリ魔物と人形遊びか? ロリコンかよ? 気持ち悪くて鳥肌たつぜ」
無駄にガタイの良い男性探索者だ。これで釘パットとかモヒカンかスキンヘッドだったら世紀末の雑魚キャラなのだが、流石にそんな格好はしていない。
「ここはテメーの様なおっさんが来るとこじゃねーんだよ。さっさと帰ってお人形遊びでもしてな」
ドン、自分を押し退ける巨漢の探索者。
正直この手の輩がまだいるとは思わなかった。
「はあ……とりあえず幾つか言いたい事があるのですが」
「ああん?」
「まず自分はロリコンではありません。というかこの子に劣情を催すほど飢えてはいません。娘みたいには思ってますが」
全くもって風評被害甚だしい。
「はっ! どう見てもお人形遊びが好きなロリコンオタクだろうが」
「……次に自分はこれから換金するところです。換金が終わった後ならまだしも、その前に因縁をつけるとは些か常識がないのでは? 受付の方の業務が滞りますよ。ほら、睨んでいるじゃないですか」
「それはおっさんを睨んでるんだろ」
うーん、江藤君も大概だったが、彼もアレだな。自分の言う事が絶対、みたいな唯我独尊な性格してるのだろう。
まあ、次でとどめかな。
「ところであなたの迷宮適性は?」
「ははっ! 聞いて驚け、Cだ」
「そうですか。自分はSSですが」
「……は? 嘘吐くなよ」
「いえ、中村様の適性はSSですよ」
ここで受付からの助け舟が飛んできた。そこで漸く誰に絡んできたのか理解したのかあたふたし始める巨漢探索者。
周囲の探索者達も。
「うわぁ……」
「ないわー」
「スコおじ知らんとかあり得んだろ」
「てかこれってスコおじへの名誉毀損になるよな。もしスコおじが訴えたら、アイツ探索者生命終わりだぞ」
「けどその方がいいかもね」
「アタシもアイツに女ってだけで下に見られてさ。しかもいやらしい目で見てたし」
「セクハラやん……」
「う、ぐぬ……あ……クソがっ!」
流石に旗色が悪いと察したのか、巨漢探索者は逃げる様に協会から出て行った。
「災難でしたね」
「はは、全くです。あ、今の彼、名誉毀損で訴えますので。確りと証拠もありますし」
何かあった時の為にスマホのボイスレコーダー機能でさっきのやり取りを録音していたのだ。美沙や黒沼のせいでこうやって証拠残すのが癖になってるな。
悪い事ではないんだろうが、人によっては神経質と思われても仕方ないな。
「では換金ですね」
「はい、魔石とドロップ品を幾つか」
本日の買取額の合計18万円也。
うーん、マジックバッグの道のりは遠いなあ。
後日、あの巨漢探索者は自分から訴えられるだけでなく、数名の女性探索者からもセクハラで訴えられ、以降二度と現れることはなかった。どこかで探索活動をしているのかもしれないが、他でもセクハラ紛いの事をしてればそのうち何処にも居場所はなくなるだろう。その事を理解していれば良いのだが……
無理だな。風の噂で痴漢して捕まったらしいし。
すみません。時間かかりました。なかなか話が思い浮かばなかった事と仕事が忙しく、執筆する間もありませんでした(兎に角眠気が酷かった)。
書きたい事は頭の中にあるのですが、合間の繋ぎが全く思いつかず……
次回はそこまで間を置く事はないと思います。
「その日、作者は思い出した。評価ptが入らない恐怖を……」
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>進撃の読者<
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