18話 伝説の装備品と破滅に向かう黒沼(と会社)
日間ランキングは落ちてきたけど月間ランキングが3位に浮上してきた!
探索者専門店シークマン。
武器も防具も駄目になったので、本格的な物を買うために訪れた。
探索者専門店を謳っているからか、商品は剣や槍といったオーソドックスな武器や革鎧、手甲や兜と言った部位を守る部分鎧、果ては全身金属鎧、甲冑まで置いてある。中には罠発見、解除用のツールなんてのもある。
どれもこれも探索時の実用性が高いのだが、初心者が即購入出来るかというと微妙な値段である。江藤君達はレンタルサービスがある事を知らずに購入してしまった様だが、聞いてない彼らが悪いし、後々になってレンタルサービスに気が付いて文句を言ってもそんなのは自己責任だ。
さておき、店内を回るのだが、案の定というかスコップは無かった。何故か金属バットはあったが。
そういやバットって棍棒の一種だったか。知らんけど。
因みに変わり種の武器だと陳さんが使ってた釵やトンファー、ヌンチャクもある。ヌンチャクは微妙に使いづらい気もするが。
しかしお目当てのスコップがなかったので、こっちは密林で発注だ。
軍用スコップで探してみたら結構あったが、なんか無駄にカッコいいスコップを発見したのでそれを注文。値段は軽く5万越えである。
で、防具だが……いまいちピンと来ないな。店内の防具コーナーを物色する事数分。
「なん……だと……」
とある物を発見した。それは世代によっては伝説の防具だ。何故これがあるのか。だがそんな事はどうでもいい。これだけは絶対に買うしかない!
自分は迷わずそれを購入した。
あとついでに探索用のヘルメットと罠発見用のツールも購入した。
しかしポーションとか薬の類は無いんだな。まあ一本だけ持ってるが。店員に聞いてみるとポーションは兎も角、毒消しなんかは協会直営ドラッグストアにあるそうな。念の為それらも買っとくか。
必要な物を一通り揃えたところでL○NEが飛んできた。八重元君からだ。
『今日飲みに行きませんか?』
***
また社長に呼ばれた。何かと思えば。
「君たちは中村の下にいた……確か八重元だったか? それと大野に興梠か?」
大野譲と興梠千鳥、どちらも2人が入社した時に中村が教育係を担当した社員だ。大野は入社当初髪を金髪に染めていたが、今は黒髪に戻している。かなりチャラチャラしてた奴だ。興梠は一言で言えば地味女。おかっぱ眼鏡だが服の上からも解るくらいに胸がデカい。ただし性格は根暗で俺とは絶対に合わない女だ。
「それに……田原、君もか」
「ええ、極めて重要な話なので」
田原百合。俺の部下で課長。コイツも中村が教育係を担当していたが、鞍替えして俺の元に走った女だ。いかにも仕事が出来る女、という様な外見だ。ただ身持ちが固く、飲みに誘っても全然乗ってこない。美人だし、俺のモノにしたかったんだが……まあ俺を立てる優秀な部下ではある。
「それで、俺を呼んだ理由は? もしくだらない理由なら戻らせてもらうぞ。仕事があるんでね」
「中村主任の事です」
何かと思えば……
「八重元、辞めた奴の事などどうでも」
「中村主任が横領したっていうの、あれ嘘ですよね」
踵を返し、社長室を辞しようとするが、八重元の断言したかの様な言葉に足を止める。
「嘘? 何を言ってるんだ。あいつが横領した証拠はちゃんとある。嘘も何もそれが事実。ですよね、社長」
「うむ。黒沼君のいう通りだ。しっかりと確認したからな、間違いない」
「それが改竄された物だとしたら?」
田原はそう言うと数枚の書類を社長に渡した。
「確か中村さんがデータを改竄して、差額分を横領した、となってましたよね」
「ああそうだ。それを俺が見つけた」
「けどおかしいんですよ、このデータが改竄された時間、中村さんは会社にいませんでした。そして改竄された日、その時間に中村さんのパソコンを操作したのは……黒沼部長、貴方です」
「……確かにその時間に中村のパソコンを操作したのは認めよう。だがそれは横領の証拠を掴む為だ。そしてその結果横領の証拠を見つけたにすぎない。だいたい改竄? それこそお前達がでっちあげた捏造じゃないか」
「つまり、ホストサーバーが嘘ついてる、と。そう言いたいんすか黒沼部長は」
……ホストサーバー、だと。
「捏造捏造言いますけどね、その証拠、ホストサーバーから洗い出したんすよ。ホストは書き換えられませんからね、決定的な証拠っすよ!」
大野がドヤ顔でそう言った。
くそっ、そこまで証拠が出揃ってしまっては……しかもだ。
「田原、裏切り者が! あれだけ目をかけてやったのに……」
「裏切ったんじゃなくて表返ったんです」
「時代劇か!?」
思わず突っ込んでしまった。ひょっとしてコイツ最初からそのつもりで……?
「社長この件についての黒沼部長の処遇はどうするんですか?」
「うむ、むむむ……」
興梠の質問に社長が唸る。
流石の社長もこうも証拠が揃ってしまっては俺の味方をする筈がない。だが社長はどこまでも甘かった。
「黒沼君、どう言う経緯があってその様なことをしたのか知らないが、今後その様な事はしない様に」
「はい、それは勿論です」
助かった。社長は俺を重用しているからな。思わずほくそ笑む。一方あいつらは「信じられない」とでも言いそうな顔をしている。ざまあないな。これが信頼の差ってやつだよ。
「中村主任は冤罪にも関わらず解雇したくせに黒沼部長は注意だけですか?」
「い、いや、これが冤罪と判明したんだから会社に戻ってもらうよ?」
「そう言う問題じゃないでしょう! 社長、犯罪を黙認する様な人の下で働く気はありません。辞めさせていただきます」
「僕も辞めます」
「俺もー」
「私もです。お世話に……なってませんでしたね。私が世話になったのは中村主任ですから」
4人とも懐から退職届を取り出し、社長の机の上に置いた。
「……はあ。仕方ない、君達の退職を認めよう」
やれやれと言った感じで社長が受理する。
データ改竄はバレてしまったが、去るのは奴らだ。俺の勝ちだ! ハハハハハ!
***
「てな事があった訳で、辞めてきました」
思いきった事をするなあ。
自分と八重元君、田原さん、大野君、そして興梠さんの5人でニシタチの居酒屋で乾杯した後、八重元君が事の顛末を語った。
いやはや、往生際が悪いね。否、社長が駄目なのか。
「ま、沈むと解って泥舟に乗る気はないスからね」
と、大野君が言いながらビールを呷る様に飲む。
「泥舟かぁ……てことは君達取引先に辞めることを伝えたのかい?」
「はい、勿論です! 犯罪者を匿う社長の下では働きたくありませんって伝えて」
「おぉい、事実かもしれないけどそーゆーこと言っちゃ駄目でしょ」
「そうですね。けど反省はしてません!」
……興梠さん酔ってないか?
しかし泥舟か……
自分が入社して20年、社長が変わって、本当に駄目になった。泥舟は言い得て妙だろう。
「それで、君達はこれからどうするんだい?」
「とりあえず有給を消化しつつ、何処か探しますよ」
「なら1つ、いいとこがあるんだけど。そこ受けてみないか?」
その会社の社長はかつてあの会社にいた人物で、自分が最初に教育係を担当した人だ。凄く優秀で自分なんかあっという間に追い越して、それでも自分の事を尊敬してて……けど黒沼に目をつけられ、執拗に責められ病んでしまい、退職を促したのだ。
『このまま君が壊れていくのは忍びない。いっその事辞めて起業したらどうか』
と。結果10年そこそこでかなり大きな企業になった。実はそこ、自分が教育係を担当した人達が結構いる。何らかの理由で会社を辞めて、そこに転職を勧めたのだ。
20年もいて教育係を担当したのが5人だけの訳がないからね。
因みに辞めた理由の大半が黒沼のせいだったりする。優秀なんだがなぁ、彼。パワハラ気質なんだよ……特に自分と関係ある社員に対しては。
その後も自分の事やこれからの事を話しながら夜が更けていく。
尚、自分がいた会社は八重元君達が抜けた後、見事に業績が悪化していくのだが……まあ知った事ではないな。
キャラクター紹介
田原百合、大野譲、興梠千鳥
中村が教育を担当した人物。田原はバリバリのキャリアウーマンで37歳。とある件がきっかけで黒沼の元についたが、それは黒沼に復讐する事が目的だった。大野は見てくれはチャラ男だが真面目な26歳。また以外にも女性慣れしていない。興梠は爆乳地味子の24歳。酒乱の気がある。因みに大野と興梠は社内恋愛中。3人とも八重元同様中村の事を尊敬している。
シークマンの元ネタは言わずとしれたアレですwww
「やったねた◯ちゃん! 評価ptが入ってるよ!」(オイコラヤメロwww)




