17話 迷宮適性Ex
本編より後書きのネタの方が悩むとか何なん?
訂正。オールマイティをオールラウンダーに変えました。オールマイティだと……ねぇ?w
「あのー、一つ質問しても」
「ん? 何かな?」
「Exって……なんですか?」
沈黙。
いやだって迷宮適性Exって言われても、講習ではそんなのなかったし。いきなりそんな事言われても訳わかんねーですよ。
「確かにね。まずおさらいだけど、迷宮適性の上限は?」
「SSSですね。そう講習で習いましたし」
「一般的にはそうだね。けどもう一つ、その上があってね。それがEx……測定不能だ」
測定不能。つまりあの計測機では測る事が出来ないレベルの適性という事か。因みに0は測定可能だ。俗に言う適性Fになる。この辺は割と知られているが、Exなんて初めて聞いた。
「まあ都市伝説とかで語られる事もあるんだけどね。実際SSS以上の適性も存在するのではないかってね。ま、事実なんだが」
「成程」
この手の都市伝説は迷宮が出現したあたりから萎みつつあった。何せファンタジーが表に出てしまったのだ。そりゃ廃れるだろう。UMAとか当たり前にいるからな。
まあ全てではないが。陰謀論なんかは今でも根強い。一部のオカルトなんかもそうだ。
どうでもいい事だが、一部の迷宮ではツチノコが出現する。日本のUMA代表が当たり前にいる迷宮……
ちょっと行ってみたい気もするが、ここからじゃ行くのにかなり遠い。距離じゃなくて交通の便で。
閑話休題。
「適性Exを秘匿する理由があってね。まず適性Exは君を含めて7人しかいない。そしてその力は迷宮限定とはいえ破格の強さを持つ。もし彼らの存在がバレたら……」
「各国の取り合いになる、ですか」
「その通り。ただでさえSSSの引き抜き合戦が行われているんだ。これがそれ以上のExとなったら、犯罪紛いの事を仕出かしてもおかしくない。特に露と北だな」
今ので解ったが、露と北にはExはいない様だ。中国とかやりそうだが……人口が多いからか、意外とそういうのやらないんだよな。S以上の適性を引き抜いたりもしないし。逆にアメリカは引き抜きしてるけど。
しかし成程、そりゃ隠す訳だ。
「因みにですが……他の6人って誰なのか解ったりは……」
「名前は秘匿されてるからね。1人を除いて僕にも解らない。けど、コードネームは知ってるよ。『最初の探索者』『鉄十字』『卿』『月神』『龍仙』そして『万能』だ」
1人滅茶苦茶有名人じゃないか。
『最初の探索者』ウェイン・メナス。文字通り世界で一番最初に迷宮に飛び込んだ人物だ。出身地はアメリカ。各地を飛び回ってて、探索者というより探検家、冒険家、といった方がしっくりくる。けど適性Exだとは聞いた事はない。ま、秘匿されてるんだから当然なのだろうけど。
あとコードネームで何人かの出身国も大凡検討はついた。『鉄十字』はドイツ、『卿』はイギリス、『龍仙』は中国だろう。『月神』と『万能』はちょっと解らない。
「ん? ひょっとして自分にも、その……コードネームとか付いたり?」
「付くね、間違いなく。けどそれを自分から名乗らないでくれよ。あと適性Exというのをひけらかすのも駄目だ」
「はい、それは勿論」
適性は兎も角コードネームは厨二すぎるので自分から言うのなんてもっての外だ。自分42歳だぞ、痛いなんてものじゃない。
「実は君が勘違いしてるのは配信を観てから気付いたんだ。しかもだ、この事を伝えようにも君、講習後早々に帰ったじゃないか。下手にアナウンスとか出来ないからね。かと言ってLI○Eで報せるにも盗聴される危険性がある。だからこうやって直接伝えるしかないんだよ。因みにこの部屋は完全防音で事前に盗聴器の有無も確認している。彼らを早々に帰らせたのもこれが理由だな」
「あー、それはすみません」
「まあこちらも混乱してたしね。上にも報告しなきゃいけなかったし」
いやはや大変だよ、と苦笑いする陳さん。中間管理職ですね、ご苦労様です。
「それはそうと、自分の適性はどうなるんでしょう。流石に適性Eは詐欺ですよね」
「まあね。一応他の6人同様SSになるね。SSSだと……その有名すぎるからね。あと引き抜かれる可能性もある」
「解りました」
SSは国内では有名だけど海外だとそれ程名前が出ないらしい。そもそもSSとSSSでは総人数が違いすぎる。桁一つ違う。
尚、配信で適性Eと言ってしまっているが、機械の不具合で間違った適性が出た事になった。次回の配信でその旨を伝える形だ。
「さて、それでだ。その適性と実力を見込んで中村クンに依頼したいのだが……生目古墳1号墳、その迷宮の異変、調べてきてくれないかな? 実体験したから解るだろうけどアレは異常だ。確かに迷宮は成長するのだが……」
迷宮の成長は主に2パターン。1つは迷宮の拡張。広くなったり、層が増えたりする。もう1つは魔物の強化、ランクアップだ。今回は後者の方だ。ただ、今回のはかなり特殊な例らしい。そもそもいくら魔物が強くなるにしても、ボスが変異種というのはまずあり得ないそうだ。これが普通のバグベアだったりボブゴブリンとかならただの成長と見て良かったのだが。
「レッドキャップもね。アレってモンスターハウスなんかで出るんだけど普通に通路で出るとかかなりおかしいんだよ」
因みに、生目古墳1号墳ダンジョンの表層にモンスターハウスなんて部屋は存在しない。というか表層はボス部屋を除いて通路しかない。
「それはいいのですが、どうやって異変を調べれば?」
「ボスを見れば解るよ。普通ボスはその下の層の魔物が出る。で今回は魔物が強くなってるから、上層のボスは中層か、下層下位の魔物が出ると思っていい。だが此度のバグベア変異種の様な特異個体だとただの成長じゃない。下手すると人為的な原因もあり得る」
そもそも迷宮の成長は迷宮内の魔素が飽和して起きる現象との事だが、それを人為的に起こすって……出来るのか? 因みに魔素が増える一番の原因は探索者の死亡だそうで。けど下調べしてあそこはここ十数年死者がいないことが判明している。そもそも中層までしかないのだ。新人探索者向きの迷宮なのだ。
「はあ……解りました。それで報酬は……」
「前金で150万。成功報酬として更に150万」
「高っ!」
「これでも安い方だよ。それとだけど、場合によっては迷宮を破壊しても構わない。その時はコメント入れるよ。どうせ配信するんだろ?」
「ええ、まあ……」
そりゃ記録用に配信しますけどね。なんか評価も高かったし。
「それじゃそういう事で。よろしく頼んだよ。念の為あそこは封鎖しておく」
「それが賢明だと思います」
***
話が終わり、鑑定と査定が終わったとの事で受付に。
「まず、魔石及び素材の買取額がこちらになります」
明細? 領収書? まあ兎に角金額が書かれた用紙が渡される。軽く20万超えていた。因みに兎肉1つとスライムゼリーは除外している。
「それとこちらですが、鑑定したところ『闘士のハチマキ』という頭防具です。呪い等はありません。防御力は無きに等しいですが、特殊能力が備わってます。詳しくはこちらの鑑定書をご覧ください。売却しますか? その場合200万の買取となりますが」
いや高いな! けど正直売る気はしない。これは証だ。あのバグベアとの戦いの証だ。
「いえ、売却はしません」
「それがよろしいかと。何せスキル『限界突破』が使用可能になる、とありますし」
とんでもないアイテムだった。『限界突破』て確か限界以上の能力を引き出すスキルだったよな。とんでもないスキルが使用出来るとか絶対ヤバいだろこれ。
けどそれでこの買取額なのか? そうなると逆に安すぎないか?
「紙装甲ですので。これがせめて鉢金とかなら桁が1つ増えるんですが」
あー、防具自体の性能かー……
そろそろ汚嫁間男托卵娘のざまぁを仕込まないと……
「俺は評価ptを入れるぞジョ◯ョーっ!」(説明要らずのあの人)




