第34話 VSサイクロプス
「『氷塊連射』!」
繊細な攻撃は効果が薄いと感じたため、質量と物量でおす事にした。
が、それでも効果は薄い、やはり1番の問題はヤツの皮膚の硬さ、どんな攻撃も何事も無かったかのように反撃をしてくる。
だたヤツは遅い、風魔術を使った足なら十分攻撃を見てから逃げれる。
しかし、これを続けて負けるのは俺だ。
魔力は有限、アイツの体力は無限に近いだろう、アイツにダメージを与えなければ負けるのは俺だ。
ただ、今は生き延びること最優先だ、倒せなくていい、ヤツを止めることさえ考えて戦うだけだ。
「『火炎槍』っと『風斬』!!」
氷の槍の魔術と風に斬の属性を与えた魔術どちらも効果は薄かった。
「くっ!?『閃光』!!」
光魔術はっ、苦手なんだ!!
光の光線でサイクロプスを攻撃するが雑に組んだ魔術だからか効果は薄い、いや、雑じゃなくても変わらなかったか、だったら次は闇魔術で...くっ!?
サイクロプスがいきなり床を踏む、その瞬間足場が砕け、動きが鈍化する。
「まずい!」
風魔術を使うが勢いをつけすぎた、想定より吹っ飛び、受け身も取れず背中を強打した。
「うぐッ!?」
クソっ!?まだまだ魔力の調整がイマイチだな...
回復魔術を使い痛みを和らげる、その瞬間、辺りが暗くなる。
「...嘘だろ?」
サイクロプスは高く飛び、こちらに向かってくる。
「ふざ、けんなぁ!!」
崩れた床がさらにボロボロになっていく、階層壊しの名は伊達ではないことを証明するように。
みんなは避難できたのか周囲を探す...良かった、みんな無事だ、でもさっき通った道がさっきので塞がれてる!?
「これじゃあ、逃げられないっ!?」
さっき通った道は覚えてる、でもあいつを、止められないっ!
不気味な1つ目がこちらを見る、怖い、でもやるしかない。
「っ!?くる!!」
サイクロプスが右手を上げる、足場が悪く、躱し切れない。
「溶解斬撃!!」
その瞬間、サイクロプスの右手が燃え出す。
そして俺の目の前に知ってる大人が立つ。
「ヴァイオレット!!やっと戻って...って血だらけじゃねぇか!!ちゃんと治せ!!」
ヴァイオレットに手を向け、治癒魔術を使おうとするがすぐに止められた。
「問題ない、俺のユニークスキルはダメージを負うほど身体能力が上がる、今みたいな瀕死の状態なら」
『グゥゥゥゥゥガァァァァァ!!!!』
「十分なダメージを与えられる」
血だらけのヴァイオレットが火の剣を持って俺の前に立つ、魔法剣...って感じだな...かっこいい!!
「さっきのはまぁまぁの大技でな、あと1回が限度だ」
よく見るとヴァイオレットの剣にヒビが入っているのが分かる。
「なら足か腕か、大ダメージを与えれば逃げれる」
「逃げ道はわかるのか?」
「大丈夫、覚えてる」
「...いや、逃げの選択肢は無い」
「え、でも」
「おそらくアイツは強化種だ、たとえあいつを動けなくしたとしてもまた階層を破壊する可能性がある、ここでヤツを仕留めるしかない」
強化種というのは魔素の急激な高まりが起こす魔物の突然変異だ、それがこのダンジョンで?
いや、それは後ででいい、今はとりあえず。
「アイツを、倒す...にはどうしたらいい?」
「今は耐えろ、チャンスは必ず来る」
「チャンス?」
「...来るぞ!」
『グゥゥ、ガァァァァァ!!』
再生し終えたサイクロプスがこちらに向かってくる。
「まずはその目ぶち抜いてやる!!『岩石砲』!!」
巨大な岩石をサイクロプスの目に飛ばす、サイクロプスはそれを素手で弾こうとする、その瞬間岩石を爆発させる。
『グガァァ!?』
サイクロプスの右手にダメージを与え、その瞬間に次の魔術を使おうとする。
「でもっ!?」
デカすぎる!!左手でゴミを払うように手を振ってきた、1回でもまともにくらえば致命傷になり得る攻撃だ。
「チャンス...っていつ来るんだよ...」
チャンスが来たとして、果たして倒せるのだろうか?
「なにか、突破口を...なんだ?」
サイクロプスに近づく何者かが居た。
「リリ?」
一一十分前一一
「で、出口が!?」
「せっかくクロムが時間稼ぎしてくれてるのに!!」
「ど、どうしよう!?」
サイクロプスの攻撃で出口が塞がれ逃げ道が無くなり全員焦りを隠せないようだ。
「落ち着け、シリカ、風魔術で穴を空けられるか?」
「わ、私はまだ岩を破壊するほどの力はありませんわ」
「出口の位置はわかるやつはいるか?」
「「「...」」」
「つまり、お手上げってことだ」
「そんな...」
「アイツを倒すって選択肢以外はな」
「...でもどうやって?」
「俺のユニークスキル、『致命の一撃』を使う、自分が瀕死であればあるほど威力の上がる奥の手だ、だがそれでも倒せない、だから」
ヴァイオレットは立ち上がり、リリの目の前に立つ。
「お前が頼りだ、リリ」
「わ、私ですか...?」
「ああ、サイクロプスにお前のユニークスキルをぶつけ、全員で一斉攻撃をする」
「むり、です私のスキルじゃ、ダメなんです私のスキルじゃだめなんです...一生懸命頑張っても、私は...」
「それでも今君はここにいる」
「!」
「戦うと決めたからここにいるんじゃないのか?」
「...わた、しは」
「...クロムがやばいな、援護に行く」
「...」
「決めるのは君だ、今変わるか、ずっとこのままか、次戻った時に」
「いえ、戦います、私はもう逃げたくない!!」
そして、今にもどる。
(まさかリリのスキルでサイクロプスを!?)
たしかにリリのユニークスキルなら攻撃は通るようにはなるだろう、しかし。
「危なすぎる...」
でも他の道はない...賭けるしかないのか?いや、やるんだ!!
「頼むぞ...リリ!!」
「大丈夫、私ならできる」
そう言い聞かせてどれだけ間違えただろう、いつもそうだ、私は肝心な時に失敗する、それが嫌だったから諦めた、諦めてしまえば楽だったから。
でも!!
「今は...今だけは間違えたくない!!」
過去の自分と決別する時だ。
あの人に近づくために。
「『月影の半神』!!」
「よくやった!!リリ!!」
リリのユニークスキル、『月影の半神』その効果は範囲内の、いや、対象の超弱体化
その効果を証明するようにサイクロプスが膝をつき、動けなくなった。
そのサイクロプスに牽制用に投げていた魔術が命中する。
『グガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!??』
「効いた!?あんなんで!?」
正直驚いてしまう、あんま魔力を込めてなかったのにヤツにダメージを与えたからだ。
「だったらこれで!!『炎天』!燃え尽きろぉぉぉぉぉ!!」
『ギャァァァァァァァ!!』
火力よりも体積!巨大な火炎玉で押し潰す...が、まだ生きている。
ならもう一度やって......あれ、体が...動かない?
急に頭が痛くなり地面に倒れ込む。
「クロム?クロム!!」
リリの声が聞こえる。
まさか...魔力切れ?嘘だろ...あと、一回...あと一撃でいいのに...
「いや、よくやったクロム、リリ」
あとは任せろ、と言うようにヴァイオレットが前に出る。
剣を構える、標的は、依然倒れ込んでいるあのデカブツだ。
「スキル、発動」
治療は動ける最低限、今にも死にそうだ。
プラス、あの子のユニークスキルに、あいつの大ダメージ。
条件は、十二分。
「終わらせるぞ、全部!」
『致命の一撃』、完全解放、体が青いオーラに包まれる。
「っ!?ヴァイオレット!来るぞ!」
サイクロプスが最後の力を振り絞り、手を上げてきた。
「お願い、精霊さん」
その瞬間、横から風が吹いた、その風はサイクロプスの腕を引き裂いた。
『グガァァァァァァァァァァ!!!!!』
「やった、効いた」
「フィーアっ!」
また助けられたな、全く、大人の面目丸潰れじゃねぇか。
「なら、その潰れた面、一撃で挽回しようか」
剣に赤色の魔力を込める、それに青いオーラが反応し、紫色になる。
「行くぞ、デカブツ」
『グガァァァァ!?』
サイクロプスが再生した右手を上げるよりも早く、ヴァイオレットが文字通り、紫色の一線になる。
そして、サイクロプスの頭から下まで、線ができた、その線が紫色の炎に包まれ、サイクロプスは消滅した。
「「「...」」」
一瞬の出来事であった、何が起きたのかは理解できていなかった、ただひとつを除いて。
「お前ら、俺たちの勝ちだ」
「「うおぉぉぉぉぉ!!」」
その瞬間だった、空が、割れた。
「......は?」
「...に、2体目?」
「い、嫌...」
意味がわからない、今倒したはずだ、消滅したはずだ、死んだはずだ。
「ふざ、けるな」
サイクロプスが不気味に笑う。
「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁ!!」
右側に強い衝撃がくる、そして、俺は意識を失った。
「ヴァイオレット...」
吹き飛ばされたヴァイオレットを見ながら、恐怖が身を染める。
「死にたくない」
でももう魔力はない
抵抗はできない
...おしまいだ。
そんなことを考えていると、誰かに抱きしめられる。
「リリ?」
震えている、怖いのだろう、当たり前だ、俺も...怖い。
それでも、この子はここに来てくれた。
「大丈夫」
「...!?」
「私も、一緒だから」
大粒の涙を目に浮かべ、笑いかけてくる。
「死んで、たまるか...」
ようやく立てた足は貧弱で、すぐに折れてしまう、アイテムボックスになにかないか...最後まで、諦めてたまるか!!
「絶対に!!生きて帰ってやる!!」
そして、細長い何かを掴んだ、それは、杖であったそして、サイクロプスが近づく。
サイクロプスに杖を向け、魔力を込める。
「あれ?」
いつもより、スムーズに魔力が通るような気がした。
そして、豪炎が杖の先から放たれる。
「...クロム?」
サイクロプスは倒れ、地面に強い衝撃が伝わる。
「...なんだ、杖...意味あんじゃん...」
そして、意識を手放した。




