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魔王城跡地でしか見れない光景

……複数同時召喚……!?

 

 デュランタは目の前で行われた行動に驚いていた。

 

 スライムと、蜘蛛の女性、そして風の精霊。属性も違う存在がいきなり現れたのだ。

 

 以前、里で戦っていた時に見てはいたが、改めて目の前で行われているのを見ると驚きが勝つ。それは周囲のエルフたちも同じで、木材を集めて運んできて、僅かなりとも疲労を見せていたのに、それが吹っ飛んでいた。

 

 そうしてこちらが驚いている間に、

 

「はあい。今日も元気ね、アルト」


「朝日がキツいです……。睡眠時間は確保したので良いですが」


「ぷ」


 スライムを含め、全員とアルトは意思疎通が出来ているようだ。


「ゴメンね皆。ちょっと手伝ってほしくて。アディプス、木を糸で保護して纏めてくれる?」

 アディプスはうっすら開けた目で丸太を見ると、


「……大体80本くらいですか。まあ、これくらいなら直ぐです」


 と、言っている間に、あっという間に丸太を束にして結び、更にその外側をぐるぐる巻きにする。

 あっという間に10本単位でネットに包まれた状態の丸太になった。、


「はい、持ち手も出来ましたです」


 運びやすいように持ち手まで付けている。


「ありがとう。じゃあ、あとは俺が引きずるとして。スライムの皆は丸太の下でクッションをしてくれると助かるな。摩擦で燃えないようにね。途中で魔獣が邪魔してきたら、エウロスとシアで倒しちゃって」


「ぷー」


「了解。なんだったらちょっと私も背負うわよ?」


「アタシもー。面倒になったら、丸太も風でぶっ飛ばしちゃうから」


「まあ、それは最終手段で。出来るだけ安全に運びたいからね。それじゃあ、行くよ!」


 そう言うなり、

 

 ――ドン!

 

 とすさまじい勢いで、アルトは走り出す。

 エルフが十数人がかりで運んだあんなに重たい丸太を引きずりながら、だ。もはや、その速度によって、浮いている。それにシアもエウロスもついていく。

 

 そして、残されるのは自分たちと、蜘蛛の女性、アディプスだ。


「さ、私たちはゆっくり行きましょうか」


 アディプスはそんなふうに語りかけている。


「は、はあ。いつも、アルト様はあのような凄まじい力を発揮されているのですか?」


「そうですねー。大分ワーカーホリックな気はしますが。まあ、朝食の腹ごなしを兼ねていますから、ダッシュの早さは3割くらいでしょうか」


「あれで3割……!?」


 なんとも、驚くことばかりではあるが、後ろのエルフたちも感じることは同じようで、

 

「デュランタ様。この魔王城跡地も凄まじい場所ではありますが、そもそもアルト様事態が凄まじいですな」


「そうですね。私も、それを今、改めて実感していたところです」


【お読み頂いた御礼とお願い】


 本作品をここまでお読み頂き、有り難うございます。

「面白かった」

「この先が気になる」

「羊飼いが、最強になるの?!続きが読みたい!」


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