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木村さんと遊園地デート 2

――昼食を取ってレストランを出る。

朝よりも天気が悪くなってきているけど涼しくて丁度いい頃。

パンフレットをバックから出した真弥さんは俺の方にくっついてきて目線を合わせ、身長差があるので少し見上げる感じになる。


「春くんっ!これからどーする?」

「真弥さんが決めていいよ。俺こういう所あんまり来たことないし」

「じゃぁ、絶叫系行こうよっ!私好きなんだぁー」

「えっ……」


俺も幼い頃に家族と遊園地に行ってジェットコースターに乗ったけど、泣き叫んだ記憶しかないんだが……あの殺人的マシーンに乗りたくなる理由が俺にはまだ分からない。


「あのぉ……絶叫系はやめませんか?……」

「えー、決めていいって言ったのにぃー」

「でも落ちたら死んじゃうし」

「落ちないようにちゃんと作ってるから」

「それでもなぁー」


そう言われても怖いものは怖いし……


「じゃぁ、この間私の胸触ったこと紗希に言ってもいいのかなぁ〜」


なっ!?、それは卑怯ではありませぬかね真弥さん?!

でも実川さんにバレてしまう訳にはいかないし……


「乗りましょう、乗らせてください!」

「やったぁー!」


やはり実川さんに冷たい眼差しを向けられ説教されるよりは断然絶叫の方がマシ。

真弥さんはぴょんぴょん飛び跳ねて喜び、一回飛ぶごとに胸が大きく揺れるので俺は目のやり場に困る。




           ◆




――ドドドドドドキリキリッ! シャ――っ ぎゃぁぁぁああ!!!



「――うっ……気持ち悪い」

「えっ?、まだ一回しか乗ってないのに?!」


絶叫マシーンから降りてすぐ俺はベンチでぐったり。

真弥さんが自販機で水を買ってきてくれたものの、両手でペットボトルを持ってチョビチョビ飲む始末。

むちゃくちゃカッコ悪いじゃないか、俺……


「春くんの顔、細くなってる」


真弥は両手で顔を隠し目だけ出してこっちを見てくる。


「今、絶対笑ってるよね?」

「だってー、面白すぎなんだもんっ」


やっぱり俺みたいな陰キャと来るんじゃなくて絶叫好きな陽キャと来ればよかったのに。


――少し落ち着いてから俺と真弥さんは絶叫以外のもので楽しむことにした。





           ◆




外は暗くなり人の数も少し多くなって来た。

昼間は雲が多くて風も吹いていたけど、一度も雨は振らなかったし今は凄く晴れていて星も綺麗に見える。


「春くん!次は観覧車乗らない?」

「うん。いいよ」

「あれ、観覧車は大丈夫なの?」

「うん。高いだけでそこまで揺れないし、怖くはないかな」


――観覧車に乗った俺と真弥さんは席に向かい合って座っていた。


真弥さんは外の夜景を見て楽しんでいて俺はたまに彼女の表情を確認する。


「春くん!あれ、東京スカイツリーだよね!」

「あ、ほんとだ」


町一つ一つの明かりがライトアップのように綺麗に輝いて見えている。

まさか俺みたいな陰キャが美少女と二人でデートだなんて夢にも思わなかった。

真弥さんは今日一日俺といて楽しかったのかな……


「春くん。今日は私のわがままに付き合ってくれてありがとう。凄く楽しかった」

「うん。俺も楽しかった」

「じゃぁ、またデートしてくれる?」

「うん!真弥さんが良ければ」


そう言うと彼女は『うん』と頷いた。

暗くて表情はあまり見えないけど声から笑顔なのが伝わった。

観覧車から降りると、閉館まであと30分というアナウンスが流れて僕らは急いで退場口へと向かった。

人が混み合う退場口を出てタクシー乗り場まで真弥さんと並んで歩いていると突然手のひらに温かみを感じた。


「へっ!?」

「いいでしょっ!まだ帰るまでは恋人なんだから」


顔を真っ赤にして恋人繋ぎで歩く僕らは、この日だけは本当のカップルのようだった。


『ほんとは懸賞で当たったっていうのウソダカラ……』


「ん? 今なんか言った?」


読んで頂きありがとうございます!

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