才能はまだ続く
「今週の1位はこの曲です!」
『馬鹿な夢』がトレンド入りしている。『偽善』はトレンド入りしていても大体50位が最高だったな。侑李さんは喜んで俺に連絡していたが、俺は『馬鹿な夢』を考えるのに必死で気にしてなかったな。しかし1位となると話は変わる。
「影野亮、同性同名だな!」
今日は土曜日だ。だから家族は皆いる。父が最初にそうはなった。同一人物なんだけどな……
「言わないの?」
「お兄ちゃん、この曲リリースされる前に弾いてたじゃん!」
母の質問の後にあこが元気よく言っている。
「信じないだろ?」
「確かに……」
俺が言うと母も頷いてしまった。すると急に俺の携帯が鳴った。誰からだ?
「亮くん今すぐ来たくれないかい?」
侑李さんにそう言われたので俺は言われた場所に言った。すると大人の男性が2人いた。
「待ってたよ!」
「影野亮に合わせてくれるって言ったのに何で子供が来たんだ?」
「影野亮がこの子だからです!」
侑李さんの言葉に2人は目を疑っている。まぁ、確かにそうだよな。
「信じられないよなぁ」
「侑李さん、騙されてない?」
「僕は何も騙されてませんよ?」
この信じてくれなさは何だ?
「でもなぁ……」
「信じられません」
まぁ、冷静に考えてみるとこの年で短期間でトレンド入りの曲を2曲も作りましったって言われても納得しないよなぁ……
「今シングルでもう一曲を考えてるから、それを亮くんが2人の目の前で書こうよ!」
「短時間じゃ無理だよ」
すぐにこの場所で出来る曲ではない。
「なら、リリース前に聴いたら信じてくれますか?」
「まぁ、そうだな」
そう頷いたので2人にリリース前に聴かせる事になった。何か緊張するな。でも頑張らないとな。そう思いこの日は終わった。
「お前なんかに才能なんてないのによくやるなぁ」
父がそう言うが俺は気にしてない。
「お父さん遅れてるねー!」
あこがそう言うが母が急いでそれを止めた。喧嘩になるからだろうな。本人は自分が正しいと思ってるからな。
「まぁ、気にせず頑張って!」
そう母が父を連れて行った。あこがいるが気にしないで大丈夫か。前に作った時も静かにしてたからな。
「お兄ちゃん、今度あこの曲作ってよ!」
「あこの?」
「うん、歌わないけど妹に捧ぐ的な?」
なるほど……
侑李さんからの希望はなかった。だから自由で、考えていたが良い案かもな。俺は少し考えた。すると良い歌詞が思いついた。後は曲を完成させるだけだ。
「この曲良くない?」
「分かる!歌詞が刺さるよね!」
数日経った今でも学校で俺の曲で話題がいっぱいだ。上村以外誰にも言ってないがな。
「言わないのか?」
「言う必要性がない」
休み時間に偶然あった上村の言葉に俺はそう答えた。それにもう卒業するんだ。関係ない。放課後になり俺はすぐに帰った。曲を考えないといけないしな。あと少しで完成するのだ。
「よし、出来たぞ」
思い通りの曲が出来た。後はあの人達に聴かせるだけだな。侑李さんは覚えるのが早くすぐに聴かせる事が出来た。
「嘘だろ……」
「まだ1週間しか経ってないのにこんな完璧な曲を作れるなんて変ですよ!」
変って言われてもなぁ、作れるんだから仕方ないだろ。侑李さんは何故かニコニコしてる。
「信じてくれましたか?」
侑李さんはそう言うが2人は首を傾げている。
「なら、亮君が歌ってみなよ?」
「え?」
俺は急に追われたので聞き返した。
「この曲は亮くんが歌う事で完成する気がするんだ、僕にってくれたけどセルフカバーとしてシングル出そうよ!」
侑李さんに悪いが断った。音痴だしな。
「え、気づいてないのかい?」
「どう言う事だい?」
侑李さんが俺にそう聞くと1人の男性が質問した。そう言えばこの人達の名前知らないな。
「亮くん、歌ってみなよ」
俺は断ろうとしたが皆の目線がキラキラしてて断れなかったので歌う事にした。
「あれで音痴って歌手の皆に辞めろって言ってるのと同じですよ!」
1人がそう言うともう1人の人も頷きながら考えだした。本当に何者なんだ?
「あ、亮くんにこの人達の事言ってなかったね」
やっと誰か分かるのか。
「サンダーミュージック、代表取締役、福本だ」
そう1人が言うともう1人も名刺を出した。
「同じくサンダーミュージック、プロデューサーをさせてもらってる、奥田です」
そう自己紹介してくれた。サンダーミュージックって有名な事務所だけど、何でそんなお偉いさんが、ここにいるんだ?
「うちの事務所は、歌手や作詞家や作曲家の人達が所属しているんだ、そこで侑李さんの歌声や歌詞が良くて声をかけたんだが、歌詞は影野亮のおかげだと言ってね気になって紹介をお願いしたんだよ」
だから俺は侑李さんに呼ばれんたんだな。
「君の環境について教えてくれないか?」
「それは聞いてみたいです」
福本さんと奥田さんがそう言うので俺は答えた。侑李さんも大丈夫って顔してるからな。
「なるほど……」
福本さんは深く考え込んでいる。
「奥田くん、頼んだ」
そう言うと奥田さんは分かったのか帰った。今はスタジオにいる。歌える場所となったからだ。
「また、明後日出来れば親御さんと一緒にここの場所に来てくれ」
そう言うと福本さんも帰った。今日は金曜日だから日曜日にまた来いって事か。
「良かったね、認められて」
そう侑李さんは言うがまだそうと決まった訳じゃない。明後日わかる事だ。侑李さんも帰ったので俺も家に戻った。
「また、今日もすぐ消える歌手に会ったのか?」
そう父が言っているが俺は無視をして部屋に戻った。何か怒っている気がするが気にしない。
夜ご飯が出来たので俺達はご飯を食べていた。そのタイミングで俺は今日の話をした。
「お前なんて無理だからやめた方が良い」
「でも、今でも2曲ともトレンド入りしてるし、色んな歌手がカバーしてるよ!」
父の言葉にあこがそう言った。それに母が咳払いをしてある一言を放った。
「やりたい事をやらせるのが親と思うわよ」
その言葉に父は何も言えなくなっていた。そして当日になった。
「はんことか何も要らないかしら?」
「何も言われてないから大丈夫!」
母は俺が事務所に所属する気満々と思っているので、荷物を準備している。母が一緒に来てくれる事になった。あこも行きたがっていたが習い事の為に無理だった。荷物の事は本当に何も言われていないのでとりあえず、身分証明書などがあればいけると思うのでそれだけ準備している。
「ダメ出し言われなかったら良いな!」
父の嫌味を最後に俺達は家を出た。
「亮くん、待ってたぞ、お母様も来ていただきありがとうございます」
そう前会った時と印象が全く違う福本さんが登場した。隣に奥田さんもいた。2人に案内され俺達は会議室にいる。
「早速話を始めようか」
福本さんがそう言うと頭を下げた。
「息子さんをうちにください!」
「え?」
結婚の挨拶みたいになってるな。
「息子さんには歌手の才能があります!」
そう言い福本さんは資料を机の上に出した。
「是非、うちの事務所に入ってくだされば全てサポートいたします!」
ガチのモードに入ってるのが分かるな。母は俺の顔を見た。俺が答えを出せって事だな。
「出来るならやってみたいです」
「詳しくお願いできますか?」
俺が答えると母が詳しく説明をお願いしていた。許してくれるんだな。
「もちろんです」
そう言い資料を広げて説明していた。プロって感じするな。
「今回、費用の方は必要ありません」
そう、福本さんが言うと母は驚いている。俺もだがこの事には驚きが隠せないな。
「亮くんには、無限の可能性があるんです、作詞、作曲だけじゃなく歌手としても活動できます!」
「歌手は目指してないんですが……」
俺は正直にその事を答えた。すると母も俺が嫌な事はさせたくないと言ってくれた。
「勿体ないですよ、才能があるのにそれを潰すなんて!」
福本さんはそう熱心に話している。それが本気という事は誰でも分かるだろう。
「なら、普段は作詞作曲で偶に歌うのはどうだい?」
「偶にで良いならやりたいです」
俺の歌で誰かが元気になれるならありだと思える。だが歌手になるのは、恥ずかしいし、侑李さんを裏切る形になるので嫌だな。でも侑李さんから言い出した事だから気にしなくても良いのか。
「本人の希望次第ならどうですか?」
福本さんが母に聞くと頷いた。そして黙々と書類を見ていくと福本さんが口を開いた。
「学生で言う特待生という扱いなのでお金の事は考えずにやってくれるとありがたいです」
福本さんの話に母は真剣に聞いている。絶対に売れて事務所にも影響が出るからお金の面は気にしなくて良いと言ってくれている。福本さんの熱意のおかげで母の許可を得れた。
「こちらの書類にサインお願いします」
サインを書き、一応持ってきていたはんこも役に立った。俺のマネージャーは、顔を知っている奥田さんになった。話してないから緊張はする。
「亮くんが、行ける日にレコーディングを開始するから予定が分かれば奥田に言ってくれ」
そう言われたので奥田さんと連絡先を交換してその日は終わった。帰ってからと父から嫌味を言われたが無視をした。何を言っても無駄だと思うからだ。一応説明したが「嘘だな」の繰り返しだったのでもう諦めた。
「もう卒業かぁ……」
数日が経った頃、上村がそう言っている。そう今日が卒業式だ。本当に何が仲良いかも分からないな。
「そう言えば新曲聴いた?」
「『家族』だっけ?」
「そう!良い曲だよねぇ……」
『家族』は昨日リリースされた俺が書いた曲だ。ちなみに侑李が歌っている。俺のセルフカバーはまだだ。今日の正午に披露される。
「今日遊ばないか?」
「ごめん、事務所に呼び出されてるから」
俺は上村の誘いを断った。呼び出されているのは確かだ。俺の『家族』の評価もしも良ければ、テレビ出演する事になった。初めは断ったが、侑李さんからの願いだった。ずっと名前を出してくれていたらしいのでこのタイミングでと言っていた。恩も返したいしな。
「絶対後悔しませんし、聴く人が多ければ色んな人を救えますよ!」
奥田さんにそう言われたのもきっかけだ。そして卒業式は何もなく終わり、『家族』の配信時間になった。
この時の俺は音痴と思っていた事を恥じだと思う事を知らなかった。




