第140話 再起の桃
あたしが過去から戻ってきて、それなりに時間が経った。
ひょんなことから懐かしい顔ぶれと再会することになった。
きっかけは、好きだったゲーム〝モンスターテイルズ〟の公式案件だった。
このビッグタイトルの公式番組〝放課後モンテ部〟に呼ばれたことで、あたし達は思わぬ形で《《過去のやり直し》》をする機会を得た。
白君は、ユーチューバー〝シロしゃちょー〟。
リラは、元バスケ日本代表選手の現モデル〝真宮寺凛桜〟。
あたしは、配信者〝美桜モモ〟。
それぞれが違う道を歩んできたはずなのに、モンテを通じてまた繋がることになるなんて、人生とは不思議なものだ。
そして、もう一人。
『すごい偶然だよね』
『まさか、アケビがガチゲーマーになってたとはねぇ』
『まあ、いろいろあって……』
放課後モンテ部のメンバーだけで作ったVCグループ。
そこに表示されているのは、ゲーム実況系バーチャルタレント〝シヴァイン〟こと吉祥院朱美。
昔はハキハキと喋るギャルだった彼女。
だが、今の彼女はどこか影を背負っているように見えた。
明るく、社交的で、みんなの中心にいた彼女が、どうしてバーチャルタレントとして活動するようになったのか――その背景は知らない。
だけど、こうしてまた出会えたことは、素直に嬉しかった。
「というか、全員使ってる名前が変わってる件について」
『あははっ、確かにみんな名前変わってたな!』
白君はどこか楽しげに笑う。
「ほぼほぼ全員ネットタレント側に来るとは思ってもみなかったわ」
『Vなんだから本名と違うのはしょうがないじゃん』
『ウチの場合は父方の姓を名乗るようになっただけだしなぁ』
リラが少し苦笑しながら言う。
そう、この時間軸ではリラと睦月さんは和解していない。
いや、過去でも完全に和解したわけじゃなかったけど。
過去の記憶を振り返ると、やはりどうしようもない後悔が残る。
けれど、今は過去よりも未来を見据えるべきだ。
『それにしても、こうしてまたみんなで集まれるなんて、ちょっと感慨深いな』
白君の言葉に、あたしも微笑む。
それぞれ違う道を歩み、それでもまた交わる。
過去とは違う形だけれど、あたし達はまた一緒にゲームをして、笑い合える。
それは、まるで未来が過去を許してくれたような、そんな気がした。
『せっかくだし、みんなでエンジョイマッチでもする?』
吉祥院さんが提案する。
『いいね、それ。全員で対戦しようよ』
「負けないわよ!」
あたし達は、再び絆を紡ぐ。
まるで、あの頃の放課後が帰ってきたかのように。




