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<登録者10万人>

 「チャンネル登録者が10万人を突破したのですー」


 そう言ってピロピロ笛を吹き、笛が巻き戻るのと同時に長いウサギの耳を丸め、再び笛を吹いて笛の先が伸びるのと一緒に耳をまっすぐにするというのを繰り返す宇宙人。


 犬猫倶楽部との初コラボ後チャンネル登録者が急速に伸び、ついにチャンネル登録者が10万人を突破したのだ。


 だが今回の配信で最も注目するべきことは、いつも全身黄色であるはずの宇宙人が小豆色になっているということである。もちろんコメント欄はそのことに関するコメントばかりであり、小豆色となったウサギの宇宙人もそれに反応する。


 「ああ、これですか。おめでたい、といえば赤飯。赤飯といえば小豆色、ということで小豆色に全身を染めてみたのです」


 ―――嘘である。


 このようになってしまった本当の理由、それは地球人である中野と宇宙人である『ぽぽちゃん』、その2人のちょっとしたすれ違いから起きた事故でこうなったのだ。



・・・・・



 その日、中野は10万人突破のお祝いとして赤飯を作るべく鍋で小豆を茹でていた。


 そしてそのとき小豆を茹でるために使っていたのが大きな寸胴の鍋であり、これは本来人間用の風呂では大きすぎる宇宙人のためにネットで購入したものだった。


 その時ちょうどすぐに使える鍋がなかったことから中野はまだ1回も使っていないこの鍋で小豆を茹でてしまったのだが、小豆を茹でている途中トイレに行きたくなった中野は宇宙船の中にいた宇宙人には何も言わないままトイレに行き戻ってきたとき、なんと宇宙人が小豆の茹で汁風呂に入っていたのである。



 ―――染まる少し前



 「ふー、あれ?中野さんどこに行ったのですか?」


 宇宙人が宇宙船から出てきて見つけたもの、それは自分用のお風呂用の鍋にお湯が入れられている光景であった。


 「あっ!中野さんぽぽちゃんのためにお湯を沸かしてくれたのですね」


 そう言って勘違いをした宇宙人は鍋の中に水を継ぎ足し、鍋の中へと入浴する。


 「ん?・・・なんでしょう。鍋の底に何かありますね」


 もちろんこのとき鍋の中には茹でられた小豆が入っていたが・・・。


 「おお!これは小豆ですね。風呂の中に柚子を入れるとは聞いたことがありますけど、小豆を入れることもあるのですね」


 と、勘違いで納得した宇宙人は湯に漬かりながら小豆とウンコロを食べ、湯を掬って顔を洗い、何なら湯の中に潜って耳まで全身浸かって体中を手でクシクシと撫でまわして全身くまなく洗う。


 こうして中野が少し長いトイレから戻った時、そこにいるのは小豆の茹で汁ですっかり全身を染めた小豆色のウサギの宇宙人だったのである。



・・・・・



 このように、ぽぽちゃんが小豆色になったのは全くの事故であったが、視聴者はそれを10万人記念のバージョンカラーだと受け止めたようであった。


 「染めるついでに茹でた小豆も食べましたけど、なかなかコクがあって美味しかったのです」


 そして配信ではそう発言し、配信は何の問題もなく順調に進んでいって無事に配信を終えることができたのだった。





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