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派遣勇者の世直し観光記  作者: あおまる軍曹
第一章【レグナ王国編】
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第015話「派遣勇者とオカコット」

第一章【レグナ王国編】

第015話「派遣勇者とオカコット」



 「皆さん本当にお疲れ様でした。無事に帰ってきていただけた事、依頼を達成された事と合わせてお礼を言わせて頂きます。」


 そう言ってログナントが頭を下げる。ギルドとしても今回も依頼を失敗しシルバーランクが全滅となるとギルド運営に支障が出るのは明らかだったので正直ホッとしているのだろう。


 「ギルド長、礼ならシンキチさんに言ってくれよ。今回グレートミラーリザードを倒したのはシンキチさんだし俺達はその露払いをしてただけなんだからよ。」


 「そうね。私たちもおまけみたいなものだったし。」


 「いやいや。“五月雨”と“四枚の葉”が周りの魔物を引き受けてくれたからグレートミラーリザードとの戦闘に集中できたんですから。」


 「まあまあ、経過はどうあれ皆さんが無事に依頼を達成したのでその辺は良いではないですか。それでは今回の報酬です。」


 そう言ってログナントは三等分された依頼報酬の入った袋を俺とラムダ、リリアンナに渡す。

 

 「「ん?」」

 「なぁギルド長、なんか聞いてた額よりずいぶん多いじゃないか。」

 「えぇ、二倍くらいあるわよね。」


 「今回はかなり危険の伴う依頼でしたからギルド側の判断で達成報酬を増額させてもらいました。他の冒険者には内緒ですよ?」


 そういうことならと受け取った二人だったがこれには裏の事情があるのだ。


 「グレートミラーリザードの素材代を内緒で三等分する?」

 「はい。“五月雨”と“四枚の葉”の皆さんは自分たちが戦闘に関与していないグレートミラーリザードの素材代は俺が全額受け取るようにと聞かなくて。」


 「冒険者チームが共闘した場合はそれが普通の事ですよ?」

 「ですが彼らには戦闘以外でもいろいろお世話になったので受け取ってほしいんです。ですからギルド側から報酬を上乗せしたことにして渡してもらいたいんです。」


 「なるほど、でもそれではウチがシンキチさんの恩をタダで譲っていただいた形になってしまいます。それはギルドとしては何とも心苦しいですね…。」


 「ですのでログナントさんにお願いがありまして。」

 「ほう。」


 「今回の戦闘で今まで使っていたな剣が折れてしまったのですが、質の高い武器を取り扱ったり作ったりしている店や人物を知っていたら紹介してほしいなと。今回のはその情報料ということで。」

 

 「そういう事でしたか。それなら色々準備しますので明日またギルドにお越しください。」



 無事に報酬の受け渡しが終了した次の日、俺とルーはギルドのログナントを訪ねた。

 「シンキチさんお待ちしてました。どうぞお掛け下さい。ルーちゃんもお菓子どうぞ。」

 「わーい。」

 「すいません…。」


 「ではシンキチさん。こちらの書面を差し上げます。」

 「これは?」


 「これは王都の手前にある都市、ビル・レマーレの武器工房への紹介状です。そこの工房長ウルグライムさんはレグナ王国一の武器職人と言われています。」

 「そんな方との伝手があったのですか。」


 「えぇ、その工房長とは旧知の仲でしてね。レグナ王国直轄騎士団の武具もそこで作られていますので、この国では一番の武器が作れるでしょう。」


 「まさかそれほどの方を紹介してもらえるとは。ありがとうございます。」

 「いやいや、シンキチさん達のおかげで溜まっていたシルバーの依頼がほとんど消化されましたし、昨日の討伐もお見事でした。さらにお金の件も合わせますとこの紹介状でも恩返しは足りないくらいですよ。」


 「十分すぎますよ。」


 「ちなみにそろそろオカコットを離れるのでしょう?」


 「そうですね、半月以上滞在しましたし。依頼の方も落ち着いて資金も十分貯まりましたから。」

 「名残惜しいですが、いつでもオカコットの冒険者ギルドはお二人を歓迎しますから。」

 「ありがとうございます。本当にお世話になりました。」


 そう挨拶して冒険者ギルドを出る。

 (あとはアルメイの方かな。)



 「えぇ!?もう町を出る!?」

 「あぁ、今アルメイにお願いしてる銃の予備一丁を受け取ったら次の街に行こうかってルーと話したんだ。」

 「ん。」

 「そんな…。」


 「突然でごめんね。」

 「…。」

 

 アルメイは下を向いて明らかに意気消沈している。


 「アタシもついて行ったらダメかな…。」

 「え?」

 「アタシもシンキチさんとルーちゃんについて行ったらダメかなって聞いてるの!!」

 「えぇー!」

 「おー!」


 「なんで突然そんな話になるんだ!?」

 「だって全然アタシの銃の改良できてないし、シンキチさん達がいなくなったら魔法を弾に込めたりするのも教えてもらえなくなるじゃん!」


 「それは魔法の初歩だから他の人でも…。」

 「それにそれに!今持ってる弾が無くなったりしたらどうするのさ!これはアタシのオリジナルだから他の武器屋で購入とかできないんだよ!?」


 (あ…。そうだった。完全前に失念していた。)


 「うぐ…。でも親御さんがどう言うかだろ。家出娘を連れて行くわけには行かないよ。」

 「むむむ…。わかった…。」


 「ふう。」

 「親は何とか説得するから。勝手に町を出て行かないでね!」


 (諦めなかったか。)


 そう言い残してアルメイは飛び出していった。


 「うーん…。ルーはどう思う?」

 「アルメイたのし。いっしょがいい。」

 「そっか。」


 アルメイのついていく宣言から数日。説得に時間が掛かっているのかあれからアルメイは俺達の所に来ていない。勝手に出ていくわけにもいかないので相変わらずギルドで依頼を受けつつの日々を過ごしている。今日も依頼を終えてギルドに戻るともはや顔なじみになったアマンダから報告を受ける。


 「そういえば今日シンキチさん達が依頼を受注している合間に町の武器屋の方がきましたよ?」

 「え?女の子ですか?」

 「いえ、武器屋のご主人さんでしたね。」


 (アルメイのお父さんかな。これは話がこじれてきたのか…?)

 

 「なんて言ってましたか?」

 「それが冒険者のシンキチさんがどんな人か教えてくれって言われました。」


 「…なんて答えましたか?」

 

 「バッチリ答えときました。」


 そうウインクするアマンダ。


 (バッチリとは。)


 「どう答えてくれたんでしょうか…。」

 「親子でこの町にやってきてあっという間にアイアンからシルバーに昇格してほぼ毎日依頼をこなす勤勉さ。あとこの前ゴールドでも苦戦する上位種魔物の討伐を完遂した強い人です!私達職員にも優しいです!って言っときましたよ!」


 親指を立ててドヤるアマンダ。


 「ははは。ありがとうございます。」

 (そこまでヨイショしてくれたのなら悪い印象ではないかな。)


 その夜、ひまわり亭にアルメイがやってきた。


 「こんばんはシンキチさん。あのー…。ウチの親が会いたいって言ってるんだけど…。」

 (やっぱそうなるよなー。)


 「わかった今から一緒に行けばいいのかな?」

 「お願いしていい?」

 「大丈夫だよ。」

 「ルーもいくー!」


 アルメイの家まで歩いていく間に進捗を聞いてみた。当然家族には反対されたらしい。その後も何とか説得しているが親がどう考えているのかまでは分からないが俺に会ってみたいと言い出したとのことだ。


 (殴られたりしないといいけど…。)


 「ただいま。」

 「お邪魔します。」

 「おじゃまします。」


 「いらっしゃい。あら!この前の旅の親子さんじゃない!アルメイこの人達なの?」

 「うん。もしかしてウチに来てたの?」


 「あぁ、初めてアルメイに会ったあの日はここにルーの武器を見に来てたからね。」


 「きたか。」

 「あらお父さん。」


 「ご主人はじめまして。私はシンキチ、こちらはルー。旅人です。」

 「こんばんはー。」


 「こちらこそ。私はアルメイの父でジーラスといいます。こちらは妻のアルメラです。まぁ立ち話もなんですからお入りください。」


 そういって中に入る。


 「さてアルメイから話は聞きました。アルメイが作ったという武器を見せていただけますか?」

 ジーラスから促されルーは銃を渡す。

 一通り銃を調べたジーラスは「ほう…。」と呟く。


 「前にアルメイから見せてもらった仕組みから改良されている。これは弾の方に魔力を込める形になっている。」

 「そこはシンキチさんからアドバイスを貰って変更したんだ。」


 チラリとこちらを見る。


 「なるほど。失礼ながら今日冒険者ギルドで貴方の事を聞かせてもらいました。それで全てを判断するわけではありませんが、腕っぷしはあるそうですね。」


 「そうですね。戦闘であれば自信はあります。ですがもしアルメイさんが我々についてくるのであればある程度は戦闘に参加していただいたり、自分の身は自分で守れるようになってもらうつもりです。そのためには私も努力はしますが最後はアルメイさんの頑張りが必要となります。」


 「という事だがアルメイ。ただついていくだけというのは無理なんだぞ。」

 「そうよ。実際魔物との戦闘で怪我や最悪命を落としてしれないかもしれないのよ。」


 「確かに、他の人みたいに職人として修業しても普通に武器職人にはなれるだろうし、それで不便もないかもしれないけど、今回自分の考案した武器をシンキチさんと作ってみて思ったんだ!実際に使っている人達の気持ちが分からないと良い武器は作れない。そのためには冒険者の人と旅をして自分が経験するしかないと思うんだ!」


 アルメイの心からお願いに一同が黙り込む。そしてジーラスさんが口を開いた。

 「アルメイ覚悟は本物なんだな?」

 「本気だよ!」


 「…。そうかわかった。」

 「お父さん!」

 「本当!?」

 

 ジーラスさんの決断に驚くアルメラさんと、アルメイ。


 「ただし!二つ条件がある!」

 「一つはこのお前が考えた武器を商品として売れるように旅の間も改良を重ねる事。そしてこの武器を全てお前の手一つで作れるようになる事。」

 

 「もう一つはお前を修業に出そうとしていたビル・レマーレの武器工房にお前が直接断わりの挨拶をすることだ。」

 「え!?」


 「元々、お前もウルラス同様ビル・レマーレ武器工房に修業に出すつもりでいた。それはウチに子供が生まれた時に師匠にお願いしていたことだ。だが今回お前は自分の意志で別の修業の道を選ぶんだ。断わりを直接自分で言ってこい。もちろん俺から師匠宛に手紙は出すがな。」


 母親の方はまだ娘が心配なのか不安そうな顔をしている。


 「母さんも不安なのは分かる。だが町を出て様々なものを見ることはアルメイの糧になるさ。それにこの人は信用できそうだし無事にアルメイは帰ってくる。」


 ジーラスさんがそういうとアルメラさんも心なしか納得したようだ。


 「あの…。もしかしてビル・レマーレ武器工房ってのはウルグライムさんの所ですか?」

 「そうですが師匠を知っているのですか?」

 「いえ、ギルド長から紹介されて専用の武器を作ってもらおうかと紹介状をいただきまして。」

 「そうでしたか。なら話は早いついでにアルメイの落とし前にも付き合っていただけませんか。」


 「次の目的地はビル・レマーレですから問題ないですよ。」


 「なら不肖の娘を「宜しくお願いします。」」


 こうして両親から許可をもらい旅にアルメイが加わることになった。

初執筆作品です。

四、五日ペースで更新できるように頑張ってます。

少しづつ閲覧している方が増えてきていて嬉しいです。

皆さんの暇つぶしになるように頑張って書きます。

確認はしていますが誤字脱字等ありましたら気軽に教えてください。

評価点だけでも入れていただけると励みになります。

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