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外連味(けれんみ)のあるケレン ~「文豪っぽい」と言われて喜んだ3秒後――地面に叩きつけられた!?~  作者: すっとぼけん太


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2/2

第2話 小説・外連味のあるケレン君

“創作論の実演”――


俺は、ケレン君が活躍する小説を書いてみた。

異世界ファンタジー。



――その少年は、登場からして間違っていた。


ズドォォンッ!!


天から、落ちてきた。


黒い外套(がいとう)をはためかせ、

膝から着地し、

地面を放射状に砕く。


煙。


沈黙。


ざわめき。


そして、顔を上げる。


「――ここが、異世界か」


いや違う。


そこ、

さっきまで普通の森だったし、


落ちてくる理由もないし、


地面も膝より脆くない。


全部――


演出。


そう。


全部演出だ。


「誰だあいつ……」


「わざとだろ今の……」


「いやカッコいいけどさ……」


「母ちゃん、あれ真似していい?」


「やめときな。膝終わるよ」


村人たちの視線が、困惑とともに集まる。


少年はゆっくりと立ち上がる。


名を――ケレンという。


刻の流れに忘れ去られた英雄の息子。


誰も、その名を語らない。


誰も、その戦いを知らない。



だから俺は――

忘れられたくはない。



ケレンは、“そういう存在”だった。


歩けば、無駄に風が巻き起こる。


振り向けば、外套が遅れて翻る。


――すぐじゃない。

そう、少し遅れるのが大事だ。


黙っているだけで、

なぜか背景に雷鳴が走る。


「……天気いいのに雷鳴っておかしくない?」


「気にするな。それがあいつだ」


誰も止められない。


なぜなら―― 本人が一番止まらないからだ。


「フッ……」


何もないところで笑う。


理由はない。


「フフフッ……」


また、笑った。


それが――“主人公”だからだ。



「魔物が出た!」


「逃げろー!!」


村の外れで、叫び声が上がる。


巨大な狼型の魔物が、畑を踏み荒らしていた。


牙。


爪。


血走った目。


普通に危険だ。


噛まれたら痛い。


普通の人間なら、逃げる。


だが――


「ごめん、――待たせたね」


まただ。


今度は横から滑り込んできた。


なんで横から来る!?


しかも、砂煙つきで!?


「いや、いつ来た!?」


「お前、さっきまでいなかったよな!?」


魔物が異物に振り返る。


ケレンは答えない。


ただ――


魔物に向かって歩く。


ゆっくりと。


やたらと、ゆっくりと。


まだ、辿り着かない。


それでも、ゆっくりと。


たまに、ジャンプする。


そして、膝から着地。


完璧だ。


だが、意味はない。


魔物は、まだ遠い。


先に、砂煙が途切れた。


魔物が苛立つ。


待てない。


「グルァァァッ!!」


魔物が飛びかかる。


速い。


普通なら避けられない。


ケレンは――


動かない。


まだ、動かない。


ケレンの肩を、爪がかすめた。


布が裂ける。


血が、わずかに滲む。


「え……?」


村人の一人が息を呑む。


ケレンは、わずかに目を細める。


(……この距離か)



父は、いつも――


もっと容易く終わらせていた。


踏み込む前に。


牙が届く前に。


一瞬で。


あっけなく。



魔物が大きく口を開けた。


そのほんの一瞬だけ、


パチン、と指を鳴らす。


本当に、当たる直前。


「――遅い」


……いや、遅くない。


全然遅くない。


むしろ速い。


次の瞬間――


――ズバァァンッ!!


一閃。


斜めに走る光。


魔物の身体が崩れ落ちた。


「え……?」


「何が起きた……?」


ケレンは剣を振り、血を払う。


そして――


「――危なかったな」

(いや、どこが?)


手の甲で、額の汗をぬぐう。


いや、全然、汗などかいてない。


さらに、ジャンプ――。


膝から着地。


(いや、何で?)



「なあ……」


村人の一人が、少年に恐る恐る聞いた。


「お前……なんでそんな戦い方なんだ?」


ケレンは、少しだけ考えた。


ほんの一瞬だけ。


そして、答える。


「――“魅せる”ためだ」


静寂。


「……は?」


「勝つだけなら、もっと早い。

 もっと確実にできる」


ケレンは剣を収める。


「だが、それでは――記憶に残らない」


外套が、風に揺れる。


少し遅れてだ。


「人は、強さではなく――」


ゆっくりと振り返る。


「“物語”を覚える」



その日から。


ケレンは旅に出た。


爆発とともに登場し、


雷鳴とともに歩き、


無駄に間を取り、


無駄に決め台詞を吐き、


外套が、少し遅れて翻る。


それでも――


確実に勝つ。


彼の戦いは、いつも一歩遅い。


だが――


そのギリギリが、


誰よりも“記憶に残る”。


子供が言った。


「あいつみたいになりたい!」


親が言った。


「なるな。危ないから」


老人が言った。


「……でも、忘れんだろうな」


人々は語る。


「あいつは強い」


ではなく、


「あいつは――やっぱカッコいい」


と。



そして今日も。


ズドォォンッ!!


またどこかの村で、


意味もなく、


地面が砕け、


外套が遅れて翻る。


「――ここが、次の舞台か」


ゆっくりと顔を上げる。


――それ、さっきもやったよね?


だが、誰も言わない。



なぜならそれが――


“外連味のあるケレン君”――だからだ。


【了】


――◇―― 

(深夜・書斎。モニターの光が、やけに白い)


俺「なあ、AI参謀」


AI参謀「はい。

 “調子に乗って続きを作りたくなっている顔”を検知しました」


俺「うるせぇな。

 第2話のケレン君――ちょっと面白かっただろ」


AI参謀「ええ。

 “たまたま”うまくいきましたね」


俺「言い方!」



俺「だけど、第3話……どうしよう?」

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