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神通力上昇中〜惟神学園二年、皇弥勒  作者: 乘越唯響


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第九十話 使徒

 ドン・フランシスコは天草からドン・アントニオらを、カトリックの街長崎に呼び寄せ、自らの後継とする。

 長崎の浦上天主堂うらかみてんしゅどうにて、ドン・フランシスコは、ドン・アントニオ、ヨハネの二人と会い、天草での働きを労っていた。

「我がグレートフレンドよ……!」

「そう畏まらずとも良いのだぞ、我々は友であり、上下はないのだかな。分かったら膝を突くのをやめなさい、二人とも」

「ありがたき幸せ。我らは公平で英邁なるドン・フランシスコ様を敬愛しております。この度はこの長崎の大司教区に神父として加えていただけること、感謝申し上げます」

「長崎は、九州一のキリシタンの街。人口比率でいえば、日本で最もキリシタンが多い街でもある。生涯を賭け神の国を創らんと奔走する二人に、この場所を支えて貰うことは私にとっても有意義なことなのだよ。話を受けてくれた事、感謝する」

 ドン・フランシスコの言葉に、二人は平身低頭し感謝の言葉を並べた。二人はドン・フランシスコへの恐れと崇拝の念から、彼を褒め称える言葉を並べ立てた。

「二人は明日より、ペトロ大司教様に従う様に」

「ドン・フランシスコ様はどちらへ?」

「私は大分へ戻らなくてはならないのだよ。もう長崎の山内組は福岡のそれ同様に勢力が小さくなったので、私がここに留まる理由はなくなったんだ。ドン・アントニオ、そしてヨハネ」

 ドン・フランシスコに、微笑みながら名前を呼ばれた二人は、同じ様に笑みを浮かべながら「はいドン・フランシスコ様」と、返事をした。

「二人はカトリック司祭として、私の腹心であった。二人の支えなくして、この九州有数の大司教区に身を置くことが出来る程の地位にはありつけず、我が大志は今よりも幾ばくが遠のいたまま、夢のまた夢だったろう。二人には司祭として、私以上に信心深く、神の使徒としての役目を果たして欲しい。二人に神の祝福があらんことを」

 二人はドン・フランシスコからの労いの言葉に涙した。ドン・フランシスコは二人を抱擁し、それから浦上天主堂を後にした。その後二人は、心に固く誓った。

「神の国を創る為、主の下へ召されるまで粉骨砕身しドン・フランシスコ様をお支えするぞ、ヨハネ」

「はい。我らには……感覚感応という特別な力がありました。これは神秘を信じる者のみ発現する力であり……その力を持つからこそ、ドン・フランシスコ様より天草を纏めるお役目を頂いたのです。我らにはない、神通力なる選ばれし者のみ操れる力を極めしドン・フランシスコ様の為ならば……これからどんなことが起ころうとも、生きていけます」

カトリック浦上天主堂……浦上天主堂の名でも知られる長崎の観光名所。大司教区の中心となる聖堂。また原子力爆弾により破壊された為、現存するものは再建されたもの。

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