路銀なくしたのだぁれ?
村を出て約1ヶ月。アタラとタサはグマナ公国に向かっていた。グマナ公国は国の面積が広く、資源では帝国と並ぶレベルである。だが、王が戦争を好まないため、激しい争いに参加したことはない、平和第一の公国。それがグマナ公国である。
「どうする?これから。」
「うーん。きたのはいいけど、何も考えてなかったよね。」
「アタラが悪いんだよ。考えもしないで冒険に行こうだなんて。とんでもない…」
「いやいや、タサが行こうって言い出したんじゃん。」
「ちょっと何言ってるかわからない…」
「はぁ、」
「あっ!そうだ。アタラ、ギルドに行ってみよう!何かクエストあるかもよ。」
「……まぁ、いいか。」
本当は宿屋でゆっくりするつもりだった。だが、どこかの誰かさんが、甘さのないスポンジの塊、通称エクレアとかいう高級菓子を買ったせいで路銀がなくなってしまった。しかもエクレア、潰れたし。
※エクレア一個=30万
※この世界の通貨は円である
※チョコもない為、全然甘くない。だが、スポンジ自体が珍しく、量産が難しい為、需要と供給が均衡価格を底上げしたのと、アルガ帝国が、関税をかけたことにより、世界の物価が上がった為、めちゃめちゃ高くなった。
「ほら、アタラ。路銀がいるんでしょ!」
「タサ、あなたねぇ、」
私たちは、いや、私は渋々歩き出した。二人の足音がレンガの道で響く中、後ろからもう一つの足音が聞こえた。
「そこの旅のお方…」
後ろから声をかけられた。若々しく、しっかりとした声だった。私たちは振り返る。振り返った私の視界に飛び込んできたのは、一人の年配のおばあさん、いやここは、お姉さん。そう、お姉さんがいた。
路銀泥棒は一体誰か。次回、年配のお姉さんVSギルドの冒険者。次回も乞うご期待