3-4.七星が提案
どの筋肉の、どの部分を、どの力でしならせれば、水面からジャンプ出来るのか。
イルカは水面から垂直に飛び出し、細長い口が天に吊られたボールを突いた。
僕の身長の2倍以上ある高さのボールが揺れる。
「す、すごい!」
僕は小学生みたいに興奮してしまった。
「賢いのね。イルカ」
七星も感心している。
イルカショーが終わり、僕たちは水族館にあるフードコートで遅めの昼を食べた。
食事の時も、その後のカメさんやワニさん、オットセイ君などを見たが、さっきのような会話は無かった。
不自然なくらい、自然な会話が成立していた。
こうして水族館を出た頃、辺りは少し暗くなっていた。
「はぁ、楽しかった。イルカは凄かったなぁ」
「あのヘンなカニの足の長さは凄かったわね」
「七星、ありがとう」
「は?なに?」
「気分転換できたよ」
「ならよかった。ま、付き合ってくれてありがとうね」
「うん」
だめ、ダメだ。
七星を好きになってしまう。
「帰ろう」
「うん」
電車に揺られ、七星のおっぱいも揺れている。天界は無情力だというが、無重力時のおっぱいとは、どうなっているのだろう。
そんなくだらないことを考えながら、僕たちの駅に着いた。
「カヨちゃんに見られるとマズいし、ここで別れて帰ろう」と七星が提案する。
確かにそうだ。
「わかった」
「それじゃあ」
「な、七星」
僕は思い出した。
七星に聞いておきたかった事がある。
「ラブアシスト制度は、いつまで行われるの?」
少しの間を置き、七星。
「あと半年に決まった」
僕は言葉が出ない。
あと、半年?
この生活が、半年で終わる?
それじゃあ、それじゃあ
「七星はどうなるの?」
「うーん、さよなら、かな」
木枯らしのような事実が吹き、夏休みが終わろうとしていた。




