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タイムリープは1日1回5分まで  作者: 大野春
chapter.05 あなたに近づく夏
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1-7.パターン




キスしたことある?





1千近くの想定のうちのひとつの言葉が加代子さんから発せられた。

僕は確信した。加代子さんも、その気であるのだと。


この質問の答えはどっちだ。


僕は七星とキスした事がある。

でも、タイムリープしたわけだし、世の中的には僕はキスをした事がない。


でも、こういう時って男の余裕とやらを見せなければならないのではないだろうか?

キスをしたことがあると、言った方が良いのだろうか?


いや、知らないフリの方がいい。



「な、ないよ」



「してみる?」



え?



なんだ、この会話は。






「うん」






なんだろう、ぎこちのない会話。

というより、台本に沿って会話をしているような感じ。

そんな違和感はどうでも良くて、僕は近づいて、加代子さんを見つめた。

今までの緊張が嘘の様に、いや、本当は心臓が既に壊れるぐらいバクバクしていたのだが、恐ろしく冷静な僕。



そうしたら、加代子さんから、僕の頭をぐいっと引き寄せ、キスをしてきた。



ふにふにの僕の唇は、加代子さんの少し湿り気のある唇に触れた。

すこし粘着するような、よくわからない、それでいて、気持ち良い感覚だった。


僕は頭が白くなった。

唇が何故かスースーしている。





「ハカセは、私のこと好き?」






僕は未だ、誰が好きだとか、決まっていないし、決められないし、加代子さんには申し訳ないが、加代子さんは、気になる人の中では、順位は低い。


加代子さんは、僕に好意を持っているのだ。

このシチュエーションやこの台詞は、間違いない。


正直に伝えるべきか迷う。


でも、これで、好きじゃないと伝えれば、この瞬間は終わるかもしれない。

突き飛ばされて、イヤ!とか言われるのが、僕が見てきた恋愛作品のパターンだ。




僕は、



僕は最低だ。



僕は嘘をつく。



「うん」




僕は自分の欲求の為に嘘をついた。

キスは好きな人と?

そんなものは、綺麗事だ。だって、こんなに気持ちの良いことを体験してしまったら、嘘をつくしかない。

頭がおかしくなりそうだ。




でも、僕は嘘をつく。



嘘をつく。

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