リスタート
ばあちゃんとの生活は、楽しかった。
自然に囲まれて、嫌な事も忘れて、フリースクールの皆も同じ様な悩みを抱えていて、心が軽くなった。
そんな日が続いて、これでいいかなって考えていたら、中学生活は終わって、私はただの働かない、義務教育を受けただけの人間になっていた。
そんな時、お母さんが、親戚の七星さんの話をしてくれて、これがチャンスだと思った。
私は決意した。
あの町に戻る。
新しい高校にはもう、私を知っている人は少ないし、私を虐めてくる人はいない。
久しぶりの帰宅、七星さんがいた。
私が影なら、あの人は光。
見た目は茶髪でツインテールで、凄く可愛い。
それなのに、私みたいな人を差別しないで接してくれた。
七星さんはお母さんから事情を聞いているみたいで、七星さんは私の登校をサポートしてくれた。
「カヨちゃん、リスタートだよ!」
私は人生で初めて髪を染めて、髪を短くした。メガネもオシャレになった。
最初は嫌だった、けど、あんなに可愛い七星さんが褒めてくれるんだもん、自分の自信になった。
ハカセも喜んでくれた。
登校初日、みんなが仲良くしてくれて、私は最高のリスタートを始めた。
そんな七星さんがいない、夏休みが来る。
リスタートの夏。
実は、私にはチャンスの夏なのだ。
小さい頃から好きだった、幼馴染のあなた。
優しいあなたに近づく夏が来る。
七星さんがいない、この夏がチャンスなんだ。七星さんに、取られたくない。
私のことで泣いてくれた、いつだって、優しいあなた。
あなたが好き。
【chapter.05 あなたに近づく夏】




