3-1.トンチンカン
加代子さんがクラスに馴染み始めた頃、もうすぐ夏休みが始まろうとしていた。7月の最終週。
理科室への移動教室だというのに、移動した後に気付いた忘れ物を取りに僕は自分のクラスに戻った。
皆が移動したと思ったクラスに、美和子さんがいる。美和子さんは自分の鞄から何かを取り出したり、何かを入れてるような作業をしていた。移動教室の準備だろうか。
教室には僕と美和子さんしかいないが、会話は無かった。
僕は自席の机の中にある、授業で使うノートを取り出し、教室を出ようとする。
「ねぇ」
一瞬、どきっとする。
やはり慣れていない女性との会話は、緊張する。
「はい?」僕は振り向く。
「七星ちゃんとトウマって完全に別れたわけ?」
「う、うん」
「ふーん。」
僕は、何故か少し勇気を出してみた。
「み、美和子さんと七星の仲が悪いって、風の噂で聞いたんだけど。。。」
「聞いたから何?」
「ええと。。。」
自分で話題を出しておきながら、何を話せば良いのか分からない。
「あなたもだけど、七星ちゃんって意味わかんないじゃん。私、七星ちゃんにはトウマの事気になってるって言ったのに。トウマと一瞬でも付き合ってたじゃん。おかしくない?」
七星、それを知っていて、僕の立場の為に黙っていたのか?
黙る僕。
「あの女と仲良いみたいだけど、辞めたほうがいいよ。あんな変な女。。。あっ、ここだけの話だよ?」
「へ、変な人じゃ無い。七星は」
「いいからそういうの。あなたたちもう付き合って無いでしょ?」
これ以上言葉が出なくなり、僕は教室を出た。
やはり、僕や七星のトンチンカンな行動は、クラスの人たちから、良くは思われていない。
実はそれを知っていけど、知らないふりをして過ごしていたのだ。
僕はそのまま理科室に戻る。
美和子さんも不機嫌な顔をしながら、到着する。
それにしても、いつもいつも不機嫌そうな顔をしている。
僕は苦手だなぁ、と思う。




