2-4.カレーが白い
「さて、一通り泣いたし。 帰ろう」
僕はまぶたを腫らし、加代子さんも少しの化粧が崩れ、七星は手を伸ばした時に付いたカレーが白いシャツを汚し、少し不機嫌そうだ。
加代子さんと七星のカバンには、よく見ると、色違いのお揃いのキーホルダーがついていた。
「カヨちゃん、私たちは味方だよ」と七星が言う。
僕も味方だ!と言いたいところで、家に帰る。
帰宅すると、妹がニヤニヤしながら
僕を見てきた。
廊下で向かい合う僕と妹。
「兄ちゃんに春が来たの?」
「なんだよそれは」
妹よ、おかしくなったか。
今は夏である。
「見たよ、さっき、女の子2人と歩いてたよね?」
「う、うん。それが?」
妹は頭上に雷が落ちたかのような、顔をしている。しかも白目をむいて口を開けた。
「お、お兄ちゃん!?私とお母さんぐらいしか、女性と会話したことの無いお兄ちゃんが、女子慣れしている!!!!」
妹よ、そんなに驚く事か!?
いや、確かにそうだ。
ラブアシスト制度が始まり
僕は七星から始まり、八巻さんにアドレスを聞かれ、高嶺さんにアドレスを聞き、高嶺さんに告白し、フラれ、七星と付き合い、別れ、加代子さんが帰ってきて・・・
めまぐるしい日々の中、女性への免疫がついたのかもしれない。
「でさぁ、お兄ちゃんは、誰がいいわけ?」
誰がいい?
誰がいいんだ、僕は。
気がつけば自室のベッドで、天井を見ている。
誰がいいのか?
誰が、好きなのか。
ちらつく顔。
真っ先に思いつくのは七星だ。
なんだかんだで、本当に天使で、今日の僕がいるのも、七星の救いに他ならなかった。
七星とは嘘の付き合いもした。
恋愛感情がある。間違いない。
でも、相手は天使であり、恋は許されない。というか、実らない。実ってはいけない。
そうなれば、高嶺さんだ。
でも、高嶺さんは依然として遠い。
高嶺さんは、そもそも僕のことをどう思っているんだろう。
高嶺さんからすれば、急に僕から告白されたかと思いきや、七星と付き合ったりして、訳のわからない人間だと思われているのでは無いだろうか。
いつか、それを打ち明けることは出来るのだろうか?
八巻さんはたぶん、トウマが好きだ。
それはなんとなく、分かってしまった。
加代子さんは・・・
加代子さんの事は好きだ。
でも今僕は加代子さんに恋をするのではなく、加代子さんの味方でいなければならない。
僕は、一体どうしたいんだろう。
誰が好きなんだろう。
誰かに絞らなければならないのだろうか。
恋愛ゲームは、何回でもチャレンジして、何人も攻略出来る。
僕はタイムリープ出来るけど、恋愛ゲームのようにはいかない。
そうやって、考えて行くうちに、眠りについた。




