2-2.妹の誕生日
藍田加代子さん、登校初日。
その日の放課後。
僕と七星と加代子さんで自転車を引きながら、3人で歩いてゆっくり帰る。
とはいえ、前方に七星と加代子さんがいて、後ろに僕が歩いているだけだ。
「カヨちゃん、イメチェン大成功だね」
「あ、ありがとう」
髪の色が明るい2人の後ろ姿は、イケイケそのものである。
「カヨちゃん今日何食べる?私奢るよ?」
「ええと・・・」
唐突にそんな事を言われても困るじゃないか七星!加代子さんはそんなタイプじゃないのだ!
「カレー」
ぼそっと加代子さんが言う。カレー!?
確かにこの熱い日に食べたい気持ちもわかるが、意外な選択肢じゃないか!
「アンタも行くよね?」
七星が振り向いて僕に問いかける。
正直、気まずい。
でも、加代子さんの立ち直りの為なんだ。僕が今まで逃げていた、手助けをするんだ。
でも、何を話せばいいんだろう。
そんな状況で、僕は何を話せばいいんだろう。加代子さんは僕を恨んでいるに違いない。
助けてくれなかった僕を。
「ごめん、今日は妹の誕生日なんだ」
僕は嘘をついた。
「ノリわるー」と七星が言うが、追及は無かった。なんだか、後味が悪い。
七星も空気を読むようになったのだろうか。
僕は、やり過ごしていいのだろうか。
また、後悔してしまうのか。
悩むのなら。。。
「七星!」
僕は七星を呼んだ。
両手を上げる。自転車はがしゃんと音を立てて倒れた。
「なんか久しぶりじゃない?」
ハイタッチをする。
景色が歪み始めた。
タイムリープ成功だ。
「やっぱり行くよ」
「最初からそう言いなさいよ」
5分巻き戻され、先ほどの会話に戻る。
「アンタも行くよね?」
「うん」
こうしてたどり着く、カレー屋さん!