1-1.太ももの裏
誰かがポイ捨てや無駄遣いをしたために、今年の夏はまたしても暑い。地球温暖化だというが、いつになったら寒冷化してくれるのだろうか、と毎年僕は思う。
通学までの道のりは太陽と太陽の反射した道路で全身を焼かれているような気がした。
ペダルを踏む度、身体が熱くなる。その熱を生ぬるい風が奪うが、やはり熱い!
しかしまぁ、夏が全て嫌いではない。
前方に、同じく自転車を漕ぐ八巻さんがいる。
目線は八巻さんの長い脚の太ももの裏とスカートの境目が境界線だ。
時折境界線がお尻の方へ上がる。
真夏の太陽よりも今は北風が必要だ!
風よ吹いてくれ!
パンツよ!
「お早う御座います」
不意に声をかけられて僕は必要以上に驚いた。
横を見ると中性的な男性の顔が。知らぬ間に並走している。同じ学校の制服である。
「お、おはようございます」
「私は、三木矢絵留と申します」
唐突に僕に自己紹介を始める、三木矢絵留という男。
え?
誰なんだ?
戸惑う僕に、付け足すように絵留くんが喋る。
「今日から転校してきました。よろしくお願い申し上げます。」
「く、クラスが一緒だといいね」
「一緒ですよ」
「え?」
絵留くんは事前に何かを知っているのだろうか。
そのまま速度を上げ、絵留くんは僕を抜き去った。
転校生?この時期に?
怪しいなぁ、僕は疑り深い。
スピードを上げて自転車を漕ぎ、八巻さんの隣を通過した絵留くんの風圧が、八巻さんのスカートをめくった。
な、なんてナイスな奴なんだ!絵留くん!




