大天使省にて
瀬良文雄という名前は、この世界での通り名である。
この世界というのは人間が住まう世界だ。
瀬良は天使であり、大天使省の役人である。
本日は大天使省にて会議が行われる日である。瀬良や瀬良よりも上の人間が打ち出したラブアシスト制度。
この制度の経過や改善点などを報告する定例会となっている。
「続いてはエンジェルコールセンターから報告をお願いします」
エンジェルコールセンターとは、ラブアシスト制度全般の質問を受け付ける機関だ。
被験者だけではなく担当天使からの問い合わせが多い為、ある意味一番ラブアシスト制度に近い機関とも言える。
「まずは先月の相談件数ですが。。。129件となり、先々月よりも増加しました。また、比率として、やはり7割は被験者と天使の間に起きる恋についての相談となっております」
瀬良を含め、天使と人間というのは、恋愛関係にあってはならない。
これは天使があくまで人間の擬態であり、人類の生殖活動において邪魔をするから、という理由である。
ラブアシスト上、人間と天使の接点は今までに無く増え、恋愛感情を抱くという事は容易に想像できた。その為瀬良は恋愛禁止の事項と罰則を設け、それを抑えようとしたのだ。
実は瀬良はそれを後悔している。
人間たちの創るドラマや漫画などの創作においても、禁じられた恋というのは、より感情を高めてしまうらしいのだ。
瀬良はそこまでの人間の感覚を持ち合わせていなかった。
このままでは良い事は無い。
何か策を練らなければ。
瀬良は挙手し、提案する。




