1-3.ラースケー
加津代食堂にて、僕と七星は打ち合わせをしていた。
まず、仮の付き合いをしていた僕と七星は6月20日の親睦会で喧嘩別れをする予定だ。
それに加えて、トウマと勝負し、トウマが勝てば僕と七星が別れ、トウマと七星が付き合う。
とにかく6月20日に僕と七星が別れるのは間違いないだろう。
それが目標。それが目標のはずだ。
「いい?当日はチーム戦。その当日に何かしらのきっかけを作って大ゲンカよ」
「わかってるよ。それで、僕が悪人を演じる。七星から別れを告げる」
七星と協議し、この形で落ち着いたのだ。
「それに加えて、トウマのチームに勝たなくちゃ。あんなチャラ男と付き合いたくないし、優勝すれば景品が全部貰えるのよ?」
七星は鼻の穴を膨らませていた。おそらく親睦会を一番楽しんでいるのは七星だ。
しかし、まだチームが分からない。
僕と七星が同じチームになるのは決まっているようだ。
「これみて」
七星はプリント用紙を机に出す。
親睦会のプログラムが書いてあった。
4人1チームで計5チームも参加するようだ。
「これ、種目?」
競技種目が記されている。
ミニバスケ、テニス、パターゴルフ、ローラースケート、フットサルの5種目だった。
「え?ローラースケート?」
「ミーコがやりたいんだってさ」
「勝ち目がない。。。」
是非ともカードゲームを種目に入れるべきだ!僕は思った。
「アンタにはタイムリープがあるでしょ?雌雄を決する時に使いなよ」
「そ、そうか!」
いやいや、5種目の勝負で一回タイムリープを使った所で勝てる見込みなどない。
「ま、アンタ以外のメンバーに期待することにする」
なんて酷い奴め。
「ねえねえ」
七星が話しかけてくる。
「な、なに?」
「短い間だったけど、楽しかったよ。私は」
嘘のお付き合い、嘘の登下校、嘘のデート。
「うん。僕も」
「あっ!」
七星が加津代食堂の窓を指差す。
僕は窓の方向を向く。
イスが、ガラ、と音を立てた。
僕の頰に、若干の湿気を含んだ、柔らかく、温かい感触。
僕は、振り返らず、そのまま席を立つ。
「そ、それじゃあ、また、明日」
身体中の火照りを残し、そして心のモヤモヤを残し
ついに6月20日が来る。




