5-3.使省が根回
しばらく待ったが、七星との会話は他愛もないことで弾み、時間が過ぎた。
店員に案内されたテーブル席に向かい合って着席する。
向かい合って、気付いた事があった。
七星がメイクをしている。
毎日見る顔だから、その変化に僕は気付いた。
目の下のクマのようなメイクと、まぶたがキラキラしている。ほんのり塗ってある程度だ。
「な、七星、きき、今日はその・・・」
一段とキレイですね。
そんな事、言えるはずもなく。
「今日は、、、何食べる?」
僕はメニュー表を取り出す。
取り出して驚愕!
和食のどれもが、全て4桁円なのだ!
牛丼が価格競争で安くなっているご時世に、お蕎麦ですら意味の分からないセットになっていて1000円を超える!
「いい値段ねー」
七星が言う。
「そういえば、七星、君の家の事や財力について聞きたいんだけど」
僕は七星について、色々な事を知らない。
ーーーそもそも、天使はごはんを食べるの?
「見りゃわかるでしょ。口があんだから、ご飯は食べるわよ」
ーーーお小遣いとかあるの?
「あっのねー。こう見えても私、一応仕事してんのよ。それに天使にはカードがあるから。無限に買い物出来ちゃうのよ。アンタの洋服もプレゼントするつもり。ここも好きなの食べなさいよ」
ーーーそれと、君の今の家、あれって。。。
「加津代さんの事?」
「う、うん・・・君が現れてから僕は加津代さんを見てない」
「加津代さんは今海外旅行中よ」
へ?海外旅行?
「まぁー、帳尻合わせというか、私がアンタの近くに住まなきゃならないから、政府やら大天使省が根回ししたのさ」
ん???
ダイテンシショウ?
「あ、大天使省ってのは、天界にある大天使たちの組織のこと」
「テ、テンカイ?」
もはやファンタジーだ。
いやいや、これはファンタジーなのだが。
「アンタの想像力じゃあ、たぶん思い描けないだろうけど、天使の住む世界、天界ってあるのさ。そこは偉いえらーい天使がいるわけ。それが大天使。大天使さんが私たち天使を遣わすわけさ。天使は基本的にアンタたちの世界にいたりするわけ。人間の姿に化けてね。実はビルの一室にオフィスを構えてたりもする」
な、長い!
七星の説明もよく分からない!
「まぁ、とにかく、天界の組織と人間界の組織がタッグを組めば、加津代さんを海外旅行に行かせるなんて簡単なわけ」
「はぁ。。。」
加津代さんは今頃どこにいるのだろうか。
僕には心残りがある。
加津代さんの娘は同い年だが、中学時代に虐めに逢い、引きこもりになってしまったのだ。聞いた話によると、今は加津代さんのお婆さんと暮らしているらしい。
僕と加津代さんの娘は、同じクラスだった。
僕は虐められるのが怖くて、助ける事が出来なかった。
「あの。。。ご注文はー?」
痺れを切らした店員が来た。
七星と僕は一番高いメニューを注文する。
天使のカードを使うぞー!




