5-2.カッコいい服
「も、もう疲れたよ」
ボールを蹴れば目的の場所へ飛ばない訳で、僕は走り回った。
息が切れている。
「ちょっと休憩する?」
七星がベンチを指差した。
「そうしよう」
2人用のベンチに腰掛ける。
改めて考えると、僕は緊張していた。
可愛い女の子と2人でベンチに座っている。
七星のスカートの短さと、そのスカートから出ている二本の生足。太もも。
「親睦会、クラスのほとんどが出るみたいだよ。ミーコが言ってた」
「えっ、そうなの?」
「皆んなが皆んな、色んな人を誘ってたらそうなったみたい」
「へぇー」
茂木も来るのだろうか?
「チームは4人1組みたい。私とアンタ以外の2人は誰なのかは分かんないわ。それにしても驚いた。アンタ、スポーツはダメダメなんだね。これじゃあ一位になれないわよ」
「わ、悪かったね」
「でも、体育の授業なんかより全然楽しいよ」
茂木によると、僕と七星は両想いだ。
これはダメなのだ。
僕は実は最近、七星への気持ちを殺していた。七星は天使で、今この姿に擬態しているだけなのだ。本当の人間じゃないのに、恋をしちゃあいけない。
ただ、こうしてベンチに並んで座って、公園を見ながら会話している時間が幸せだった。
「あー、あと、アンタ、午後時間ある?アンタの私服買いに行くよ」
「えっ?」
「親睦会に着ていく、カッコいい服あるわけ?」
「そ、それは。。。無い。。。」
「それなら買いに行くわよ」
結局、サッカーの練習だけして、僕と七星はさらに自転車を漕いでショッピングモールへ来た。
一応、ショッピングモールでのデートというわけなのだが、自転車で来るものなのだろうか?
なんだかそんな事を考えてしまう。
ショッピングモールは3階建てで、色んなお店が連なり、また映画館まで併設されている。
人が多いのが苦手な僕には最悪の場所だ。
「まずはお昼でも食べる?」
1階の東側がレストラン街になっていた。
僕と七星は歩き回る。
昼時ともあって、どのお店も並んでいる。
家族連れやカップルが店が用意した椅子に律儀に並んでいる。
「な、七星は何が食べたい?」
「なんでもいいよ?」
なんでもいい?
それは困る。僕もなんでもいいのだ。
中華料理やお洒落なハワイ風な店まで軒を連ねていて、選択に困る。
女子とご飯なんて記憶は、八巻さんとのハンバーガーショップぐらいだ。
こういう時の立ち回りだとか、イケイケグループのみんなは完璧なのだろうか?
「あっ、なにこれ美味しそう」
七星が指さすサンプルは、カツ丼だった。
和風料理店!これにしよう!
僕はお店に並ぶことにした。




