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タイムリープは1日1回5分まで  作者: 大野春
chapter.06 気付いたんだ
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或る天使の手記


私は初めて恋をした。

ずっとずっと、自分の仕事を全うして、ただただ生きてた。


こっそりと祝福を与え、誰かを幸せにして、それが仕事だから、それを毎日繰り返して、例えば人間の経済活動を促したり、そういう手伝いをしていた。


私が人間界に派遣されて、4年が経った、あの日、私は恋をした。


彼は冴えない男だった。


何をやっても上手くいかないし、人の気持ちを推し量って、自分を殺している優しい人。

どうしてこんな人が幸せになれず、上から命令された優しくもない人間だけに祝福を与えているのか、私には理解できなかった。


だから、命令に背いて、というかこっそりとあの男に祝福を与えた。


報われなかった彼の人生は好転した。


みるみるうちに本当の彼の実力が発揮され、財は豊かになり、精神的な苦痛も少なくなった。


私は彼の人生がうまく行くことに喜びを感じ、それが恋だと気付いた。



そして、彼に会って話をしたい。



そう思っていた頃には、彼は人間界のルールに従って恋愛をし、結婚という契約をしていた。




私には、それが許されなかった。




彼がいるのは、私のおかげ、私のお節介、そういった心が生まれてしまったからだ。


だから私は彼に接触し、今迄の話をした。


彼は最初、自分の人生がうまく行った事が他人てんしのお陰である事に苛まれた。


しかし、気がつけば私と彼は恋仲になっていたのだ。


決して相入れてはならない、人間と天使の愛。

そしてそんなものは、すぐに明るみになり、人間でいうところの契約違反ふりんとなった。



こうして行くうちに、彼の妻は

自ら命を絶った。




私はこれが取り返しのつかない事であると気付くのに、時間がかかった。

何故なら、邪魔者が消えたと安堵したからだ。



そして、気が付けば牢獄にいた。



二つの羽根が切断され、自由を失った。

私はその後の顛末を知らないが、人間と天使の間に奇妙な上下関係が出来たらしい。


私が知るのはここまでだ。



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