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タイムリープは1日1回5分まで  作者: 大野春
chapter.06 気付いたんだ
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103/185

1-1.時のマークシート


スイッチを押したに違いない。

地球の誰かがスイッチを押したのだ。

そう、寒さスイッチ。


先日まで半袖を着ていたのがウソみたいだ。

僕は贅肉も無ければ筋肉も無いため、細い腕を見せるのは嫌だ。だから長袖になる事は一向に構わないのだけれど、それでもこの涼しさ、いや寒さはおかしい。


気が付けば風に吹かれた枯葉がアスファルトを擦り、カラカラと音を立てる10月。


夏休みが終わって少し経つけど、僕は毎日胃が痛いまま登校している。


色んな事にけじめや整理がつかない。


僕はいつものクラスに到着し、自分の席に座る。



「おい、K大学入れたか?」と話しかけてきたのは茂木だ。

「入れていたよ」

「今日、判定が返ってくるらしいぞ」


僕と茂木は、模擬試験の話をしていた。


2年生の夏休みの終わり頃、僕たちは学校で模擬試験を受けた。

模擬試験は受験時のマークシートに希望の大学名を入れておくと、合格判定が出るのだ。


Aなら余裕、Bなら頑張れ、Cなら超頑張れ、Dなら諦めろ、的な指標が出るのだ。



僕たちに訪れたのは、気温の変化だけでは無い。



ぼんやりと、ぼんやりと見えてきた、



将来。



将来の為の進学。



進学のための勉強。



そういった重みが増してきた。



茂木とは2人で、難関大学の判定を貰おうと約束していたのである。


正直分かっていた事だけど、難関大学のA判定を貰えるほど、僕は頭が良く無い。



僕の学力から弾き出される偏差値から、行けそうな大学にしようと考えていたのである。



それも理由のひとつだと思う。




周りの大人は夢を見ろだとか、馬鹿な事言うけど、僕は疑り深く、夢について調べ上げている。



スポーツ選手、若手IT社長、芸能人、声優さん・・・


成功者は皆、夢を目標に掲げて生きてきたと語る事が多い。その為の努力を惜しまなかったというのは事実だ。



でも、



その影には、



夢破れて悲惨な人生を歩む人の数が数え切れないほどある事も、僕調べで分かっていた。




夢、と簡単に言うが、それを追いかけるリスクがある事に、残念ながら僕は気が付いてしまったのだ。




だからこそ、いま僕は漠然としている将来に向けて、身の丈にあった人生の選択について、少しずつそろばんを弾いている。



茂木が羨ましい。




以前、将来の夢を訊かれた時に

茂木は真っ先にやりたい事を言った。



僕は公務員。



町に貢献したいだとか、そんな意識は無い。


ただ単純に、漠然とした


安定、を求めているだけだ。





その日の学校の終わりに、成績が戻ってきた。


難関大学、D判定。


諦めろという事だ。



僕は珍しく茂木を誘う。



「ゲームセンターでも行こうぜ」




こうしてたどり着く、ゲームセンター!



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