出会い
今日は憂鬱だ。今日も感想を求められる講義があるから。1日の最後の授業がその講義であれば、こんなにも悩まずに済んだかもしれないが、今日の講義はすべて必修だったためできるだけ早期に卒業要件単位数を満たしておくという面においても空きコマを作らないように履修登録を済ませていた。午前の授業も終え人がほとんど居なくなった次の授業の教室でお昼ご飯を済ませる。今朝駅で買ったコンビニの菓子パンを口に運ぶ。優しい甘さが口の中を満たす。空になった包装袋を折りたたみ小さく結んで教室前方のごみ箱に捨てる。席を立ったついでにお手洗いを済ませておく。教室に戻るとお昼の休憩時間も残り15分程になっていた。お昼ご飯を食べると糖分の摂取からか眠気に襲われる。しかし授業中に寝るなんてことはできないため、この空き時間の間に眠たくなくても10分間瞼を閉じる。そろそろ次の授業が始まるのか教室内に響く足音が増えてきた。そろそろ10分経っただろうか目を開けると荷物を挟んだ左に座っている人がこちらを見ていたようで目が合ってしまった。沈黙が続くのも耐えられず何か話さなければと思ったが何を話せば良いのかも分からず困惑していた。
「すみません。じろじろ見たりして、気持ちよさそうに眠っていたのでつい見てしまいました...」
と先に沈黙を破ったのは彼だった。
「こちらこそすみません。お昼の休憩の際に数分間目を閉じてないと午後の授業で眠たくなってしまうので...」
「僕、20P2061の春河 弥那都と言います。前期でも隣の席になることが多かったのですが、後期も隣の席の授業が多いのでよろしくお願いします。」
「20P2075の山城 響歌です。自分のことでいっぱいいっぱいだったので周りを視れてなかったのと全員マスクしてるので判別があまりついておらず...よろしくお願いします。」
「前期の時は会話も極力控えるようにとなってましたし人の顔を正面から見るなんて会話意外だと殆ど機会もありませんし仕方がないですよ」
とそんなことを話しているとお昼の休憩時間も終わりを迎え、今日1番憂鬱な授業が始まった。感想がなければ授業内容等は非常に興味深いもので楽しいものなのだ。授業の終盤になるまでは。




