脱出
3D投影魔具によって映し出された満月の下、
湯気が立ち込める湯風呂の中を木製の桶が、ゆらゆらと漂っている。
カポ――ン
カポ――ン
露天風呂特有の心休まる!?音が反響する。
二人の女性が、足からゆっくりと お湯の温度を確かめながら入っていく。
シーサーペントの口からだされる熱い湯気が、霧のように露天風呂を満たし幻想的雰囲気を醸し出す。
そして、二つのシルエットが たちこめる霧の中に映し出されては消えていく。
・・・・・・・・R18にならないために!!
カポ~ン
バシャ~ン
今日は、この地下牢屋から脱出の日である。
おそらくは、この露天風呂最後の入浴。
「この露天風呂を持っていきたいわね!!」
「僕も このお風呂が大好き!!」
「また、どこかで露天風呂を作りましょう!!」
カポ~~ン
「次は 本物の野外に作りたいなぁ」
ミレイユは、夜空に輝く・・・・偽の月を見ながらつぶやいた。
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私は、外の世界へと旅発つ時のために作っておいた皮鎧に着替え、サラにも同じく皮鎧と短剣を持たせた。
「僕のデザインした、へそ出し皮鎧のほうがよかったのに!」
サラの奥底に眠る前世が男の子という魂のせいか、エロに転がる傾向がある。
「私・・・・あんな鎧は はずかしくて外で着れませんよ! 防御力に不安がありすぎですし!!!」
「でも ゴーレム情報では、町で歩く冒険者風の女性の何人かは・・・」
「エロいです!! あんなマネはしてはいけません!! 観賞だけしときましょう」
「う! うん 観賞はいいんだ!!」
数日前、ミレイユとサラは、どんなデザインの鎧を着ていくかということになり、議論となったのである。
そして、数々の試作品の後、決定したのが・・・・
ドレス風のひらひらがついてる鎧でした。
「この鎧も、違った意味で恥ずかしいような・・・」
エロよりは 少女趣味のほうがましだと思ったミレイユだった。
大鏡を見ながら、二人の女性は、くるりと一回転して、なんとなく満足するのである。
ミルヤにもらった拡張収納袋でもある巾着袋に書籍のほか、金になりそうな鉱石類をほうりこんだ。
これを換金すれば、それなりのお金になるはず!
うはうは生活!?
「おねーさま! この袋は不思議な袋ですね。 いくらでも入る!」
「これは 拡張袋というの!! 見た目以上にはいるわよ」
「へ~ すごいね!! 原理が全然わかんないので、同じようなものを僕は作れそうにないなぁ」
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この牢屋には、アドバンスゴーレムを一体を残すことにした。
なにかあったら、連絡が魔具端末に伝わるようになっている。
「一人・・いや一体でお留守番、おねがいね~」
『 おまかせあれ! 最後の一体となっても、この牢屋を守り通します 』
もうすでに一体だけなんだが・・・・
それに、 連絡要員なんだから、死守しなくてもいいんだけどね!!
さていよいよこの7年間過ごしてきた牢屋からの脱出です。
こんな地下牢でも拡張しまくったせいか・・愛着が生まれる。
「東京ドームに匹敵する広さですよね」
サラは、ミレイユには理解できない表現をした。
「・・・・・基準がわかんない」
とにかく、ミレイユは地下牢や 様々に掘りまくって作った施設を一通り眺め感傷にふけった。
さよなら!! 地下牢!
私ことミレイユは、今!!
新世界へと歩もうとするのであった。
二人は地下に潜っていき、洞窟ダンジョンに入る。
落盤事故にあって以来、坑道に入るのを怖がったミレイユにとって
この奥深くにまで潜るのは・・・・・怖いよ!!
サラから絶体に離れないように、寄り添うミレイユだった。
「・・・・ミレイユおねーさま!! 体がくっつきすぎです」
アドバンスゴーレムを数体を全面に配し、二人の周りを 100体のゴーレムたちが護衛する体制で、
洞窟ダンジョンの上層部へと登っていき、ついには地上に出るつもりである。
5年におよぶ洞窟探索によって・・
・・・・私じゃなくて、ゴーレムたちが探索してたのだけどね
ゴーレム情報から どこに何があり、どんな魔物がいるのか、罠はあるのかなど知りつくしていた。
出口方向も探索済みである。
現在、私たちがいる所はダンジョン下層で天井が高く、広々とした広場のような場所。
「ここは、ものすごく広い広場ね!!
ここで秘密の宇宙戦艦を建造できそう。 そんなアニメを前世で見た気がする 」
「宇宙戦艦? アニメ?」
サラが 何を言ってるのが分からないミレイユだった。
「・・・・・異空戦艦ミカサ2099。続編が見たかった・・・」
サラは懐かしむように遠くを見た。
二人はゴーレム軍団とともに上層部に登っていくと 次第に通路が狭くなり、
迷路系ダンジョンという感じになってきた。
しかし いまだに魔物が現れない!!!
実に平和である。
「魔物が僕らを恐れて現れない!?
ふっ! あえて言います、 楽であると!!」
サラは思わず言ってはならないフラグを立ててしまった
「サラちゃん! もしかして、それってフラグじゃないの!?」
「えっ!」
そのとき 洞窟の暗闇から、火玉が飛んできた!
「魔法攻撃!!」
ミレイユは サラの頭を押して地面に伏した。
「前列ゴーレムA隊突撃!!」
ミレイユは叫ぶ!
前列配備の10体のゴーレムは、長剣を抜刀し突撃開始した。
「ゴーレムB隊は 魔法援護せよ」
B隊の10体ゴーレムは 一斉に魔方陣を発動し いつでも攻撃ができる態勢にはいる。
「他の部隊は私たちの護衛よ」
ミレイユ、サラの周りは 80体のゴーレムによって 石壁のようにがっちりと固められた。
完璧なディフェンスである。
そして、ミレイユの所持している魔具端末によって、
突撃A隊の隊長であるアドバンストゴーレムの見た映像が端末に表示された。
上半身裸の豚顔のドアップ
「え! なに、この生き物!!」
「おねーさま! これはオーク!? たぶん、魔法を撃ってきたので オークメイジという種族です」
それから、映像ではオークメイジ一匹を 10体のゴーレムで袋叩きにしてる映像が映った。
そのオークメイジは恐怖に怯えつつ、ゴーレムの中へと沈んでいったのであった。
「・・・・・・・・・・・」
ちょっと ひどすぎるね!
袋たたきにしたあげくに 皮をはぎ、金目のものを奪うゴーレム・・・
R15です
R15です
ミレイユは おもわず端末のスイッチを切った。
「金目になりそうなものは、荷運びゴーレムに渡しといて」
と一言いって、 虐殺現場をさっさと二人は、過ぎ去るのであった。
ちなみに 荷運びゴーレムとは ほっかむりをして唐草風呂敷の包みを背中に背負ってるゴーレムである。
サラは 五右衛門と呼んでいたので 私も五右衛門と呼ぶことにした。
その後、
完全なリンチのような戦いが続いた。
私たち二人を守るゴーレム80体は別にして、20体のゴーレム突撃に対して
ゴブリン 二匹 VS ゴーレム 20体
ミノタウルス 一匹 VS ゴーレム 20体
オーガ 二匹 VS ゴーレム 20体
ガーゴイル 一匹 VS ゴーレム 20体
ケンタウロス 一匹 VS ゴーレム 20体
「圧勝的ですね!! ゴーレムさんたちは・・・」
サラは独り言をいう。
「なんです、そのセリフは? 私には なにか悪いフラグを立てたような気がする」
「僕もなんとなく 前世の記憶から、こう言わないと駄目な気がした」
「・・・・・・サラちゃんの前世が気になる!」
「でも~ おねーさまのゴーレムは強くて、たよりがいがあります
やっぱし 戦闘は数ですよね!! おねーさま、」
「そのセリフも なにかフラグを立った気がする」
と言ったとたん、先頭にすすむゴーレム10体が わたしの頭上を吹っ飛んでいき、洞窟の壁に激突、粉砕された。
・・・・・・・・来た! こんなにはやくフラグの回収にきた!!!!
ミレイユは魔具端末を操作し、最前線にいるゴーレムの目に映っているものを表示させた。
いったい、どんな魔物が出たのか!?
サラも横から顔をだして端末を覗き見る。
白い完全武装の鎧、白い盾、白い長剣。
「・・・・・・・あれは・・・白い・・・お、思い出せそうで思い出せない!」
サラの独り言はほっておいて、私たち二人の護衛をゴーレムC隊、D隊の計20体残して、
あとすべて突撃命令を出した。
やっぱし戦闘は数である!!!
そして 私は、すかさず詠唱をおこない、ゴーレムの補充を行う。
洞窟ダンジョンの壁を構成する岩が動き出し、徐々に人型の姿に変わっていく。
あらたなるゴーレム兵の誕生である。
「いけ~ 戦闘はやっぱし数よ!!」
狭い洞窟通路で陣取る白い完全武装した鎧人へと ゴーレムがつっこんでいく。
ドッドドドドドドトド
白い剣が 狭い通路に大きく円を描くように回すと、
ものすごい突風がゴーレムたちに向かって吹き付けてきた。
ズド――――――――ン
まさに、風が見えるとはこのような現象のことか!!
すさまじい突風に吹き飛ばされ、洞窟の壁などにぶつかり粉砕されるゴーレムたち!
その粉砕された瓦礫を ものともせず後続のゴーレムは必至の突撃を繰り返すのだった。
-------------------- To Be Continued \(・ω・\) 白い武人がミレイユに立ちふさがる!!