セル―カ王国 万歳!!
王宮は、大型輸送機・零式フガクの着陸という名の激突によって、
土台までつぶされ、今や残骸となっていた。
しかし、公式のセルーカ史では ヴィジャナル王国軍の破壊活動によるものとだけ書かれている。
おそらく、サラが手心!?を加えたことは間違いない!
世間的には隠蔽工作ともいう。
・・・・・・・反省しないサラである!!
音ひとつない無音と無風の中、
瓦礫の山となった頂上で二人だけの結婚ではなく即位式をあげる二人!!
「 セル―カ王国の復活と新国王の即位を ここに宣言する 」
美しい女性のような容貌をした着ぐるみパンダ姿のエルノスティ王子 あらためエルノスティ国王が 高らかに宣言したのであった。
パンダ姿での即位式。 観衆もいない。 臣下もいない。 誰もいない。
王宮は瓦礫状態。
前代未聞の即位式である。
そして すぐそばの女性、ルナ―リアは、あらん限りの力を振り絞って拍手する。
パチパチパチパチパチ
瓦礫の王宮に さびしく拍手だけが鳴り響く中、空に吉祥が現れていた。
雲の合間から光がさし、空に赤い血の色の虹が浮かびあがっていたのである。
「じつに目出たい。 神が祝福している」
エルノスティ新国王は 笑顔で空を見上げるのであった。
(迷信深い人は血の色をした虹を見て恐怖しているかも・・・ おもに逃走中のヴィジャナル王国兵士たちが!!)
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ドタドタドタドタ!!!
そこにあわてて駆け付けるメア五人衆。
メイド服もハルバードも真っ赤になっていた。
『 国王即位おめでとうございます。
エレオノーラ王女とともに 我国の国主、聖女皇帝ミレイユ陛下も こちらにむかっております 』
「おまえたちは 姉上の配下ではなかったのか!?」
エルノスティ王子改め国王は首を傾げる。
『いえ 我らはエレオノーラ王女様と同盟締結しましたミレイユ聖女帝国の先行部隊の者です! 』
「同盟とな!! 初耳だが、孤立無援の我が国にとっては たいへんありがたい!! 」
『私どもは 先遣部隊ゆえに 外交について詳しいことはわかりませんが、
もうそろそろ ミレイユ陛下がご到着のころかとおもわれます』
「ぜひ! ミレイユ陛下にお会いし、王都奪還のための助力を感謝をせねばならない。
お会いするのが待ち遠しいぐらいだ」
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明るい日差しが突然消え、黒い影が地面を覆い突風が吹く。
ゴゴッゴゴゴゴゴゴゴ
空気を震わす轟音とともに 巨大飛行円盤が瓦礫の王宮上空にさしかかった。
エルノスティ国王とルナーリアは 王座から立ち上がり頭上を見あげる。
「あれが・・ ミレイユ陛下の船! すごい!」
瓦礫と化し廃墟となったブルジュ王宮の前には、真逆的に美しい庭園が広がっている。
その庭園は 噴水と水路に囲まれ、咲き誇る花々の輪の中を東屋が
人を誘うがごとく水面に浮かびあがらせていた。
ときおり聞こえる鳥の鳴き声、水路のせせらぎ、風により木々のこすれる音
全ての事象を統合し 自然との対話を求め続けた風景。
長い歴史と試行錯誤の結果作られた地上の楽園。
セルーカ王国の誇る王宮庭園である。
占拠したヴィジャナル王国でさえ この美しい庭園を高く評価し 戦災に巻き込まないように配慮したのだ。
特に、ヴィジャナル王国王子であるラファーエルは大変気に入り、
みだりに人が入り庭園が荒らされないようにと命じるほどだった。
そんな 敵でさえ評価する庭園を・・・
今! 遠慮なく、なにも考えもないミレイユ聖女帝国の半径300m 高さ50mの巨大な飛空円盤、
王宮が空を飛んでいるといっても過言ではない飛空物体が
無慈悲に その庭園に着陸しようとしていた。
ドドドドドドドド
飛空船円盤の下部から巨大な降着装置がせりだした。 脚というよりは壁のようなものである。
飛空船のあまりにもの大重量であるため 脚では支えきれないうえに、埋没してしまう。
そのため、壁のようなものがせり下がってきたのであった。
着陸の衝撃により 庭園の植木は、踏み倒され、花は舞い散り、造形物は破壊された。
あれほど 美しい庭園は円盤という名の人工造形物に変わり果てたのである。
エルノスティ王の隣に寄り添うように立っていたルナーリアは、足元がくずれるように座り込んだ。
ルナーリアは この庭園を こよなく愛していたのであった。
「あああああああ~~」
まさか・・敵ではなく味方に この美しい庭園が荒らされるとは・・・
残酷な血と肉の戦場でも 嬉々として笑っていたルナ―リアは、
ここで初めて 目に涙をためて悲しむ顔をしたのである。
「ルナーリアよ 悲しむな! 国が復興したら、国中を庭園にする!!」
エルノスティ王は なんとかルナ―リアを励まそうとしたのであった。
「あ・・・あ・ そうですね! また、立派な庭園を造ってくだされば・・・」
そんな悲劇模様はいざしらず、飛空船下部ハッチが開き、
そこから、おもわず駆け走るエレオノーラ王女。
「エルノスティ!!」
「姉上! ご無事で!」
抱き合う二人の顔は双子のように似ている姉妹・・・・・ 本当は姉弟だけど!
片方はパンダの着ぐるみを着ている。
下部ハッチから、メアたちに護衛されながら地上に降りるミレイユとサラには、
二人の姉妹が抱き合ってる風にしか見えなかった!!
「あ、あれが噂の 正真正銘の男の娘!」
「エレオノーラさんとそっくり・・・ というかどっちが弟の方か分からない!!」
「いえ! とりあえず、パンダ着ぐるみを着てる方が弟ということぐらいは 分かります!」
サラは いろいろと着ぐるみについて ツッコミを入れたいが 感動の場面ポイのでやめた。
しばらくすると パンダ着ぐるみを着たエルノスティ王が、ミレイユたちに気付いたようだ。
「お初にお目にかかります。 ミレイユ聖女帝国の女帝ミレイユ殿でございますな!
今回の王都奪還の助力をセル―カ王国エルノスティ王として たいへん感謝しています」
パンダ着ぐるみを着たまま、真剣な顔で挨拶するエルノスティ国王!!!
なにかつっこみを入れたいサラであった。
だが ピンク色のメイド服を着た上に 聖女帝国軍事大臣という名札を付けているサラも大概である。
エルノスティ王も 軍事大臣の名札をつけた猫耳メイドに驚く。
・・・・・もしかしたら 聖女帝国における儀礼服はメイド服ではないかと考えてしまうほどであった。
(念のため、メイド服はサラの趣味であって なんの意味もないのである。)
そんな サラとエルノスティ王の同類対決をして心を通じ合ってるさなか!?
隣にいるルナ―リアは無言のまま、庭園を破壊された恨みのため サラを睨んでいた!!
こんな、ふざけた猫耳メイドに私の大好きな庭園を!!!
しかし、フッと我にかえり 自分の立場を思い出したルナ―リアは 急に笑顔になって ニコニコしだすのであった。
そのルナ―リアの表情に気づいたミレイユだったが あまり深くは考えず挨拶をする。
「セル―カ王国復活、および国王即位 おめでとうございます
われら聖女帝国は全力をあげて、貴国の復興を協力する意向です」
ミレイユも完全に女帝としての役割にのりのりである
「実に ありがたい御言葉です。 我らに最低限の力があれば、宴会を催ししたいところですが、
このありさまで残念です!」
実際、セル―カ王国が復活したとはいえ 現在の人員は、エルノスティ国王、エレオノーラなど4人のみ。
逃げ去った官僚たちや、国民が王都に戻ってくるようにするには、王宮や町を復興するしかない!!のだが・・・
王宮はただいま瓦礫の山となっている。 何とかせねばならない!!
「この王都付近に、鉱山やダンジョンがあれば そこから採掘される資源で 王宮を再建させることができます!
もちろん、我ら帝国から人員を派遣します!!」
ミレイユの提案に、すこし考えるエルノスティ王。
「このブルジュは もともと ダンジョンに挑む冒険者が集まって形成された町だったのですよ
今は封鎖されてますが、まだ資源の採掘が可能かもしれません」
国王の隣にすわっているルナーリアの助言であった。
「ダンジョン跡! たいへん希望が持てます。
すぐにキシを派遣し調査、探索、採掘をさせて、
早急に町や王宮の復興をさせましょう! 」
サラはドヤ顔で拳をにぎる。
「すぐに!? たいへんありがたいです」
エルノスティ王は 深々と頭をさげるのだった。
「そこまで頭を下げないでください。 同格の同盟なのですよ!」
「同格!! ミレイユ殿! うれしい限りです!!
ともに敵と戦い協力していきましょう」
「そうです! ともに敵と戦い・・・・・・の前に町と王宮の再建ですね。
とりあえず最優先で・・」
そんな会話中に・・・睨み顔のルナ―リアの発言がはいってきた。
「王宮庭園の再建も ついでにお願いします!!」
そのルナ―リアの睨み顔に気づき、ふと後ろを振り向くミレイユとサラ!!
飛空円盤の着陸によって なぎ倒された植木や花が散乱していた。
両者は そこが元々、庭園であったことに気づく。
「私たち・・・庭園を破壊しちゃった!?」
「僕は知らないよ!!」
逃げ腰のサラである。
「・・・・・・・」
そして、両者は 庭園について気づかなかった・・見なかったことにしたのであった。
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その後・・・・・・
王宮が破壊されているため、仮住まいとしてエルノスティ国王に飛空円盤内の客室を提供した。
メアたちによって 大急ぎに国王招待用の寝室として装飾したのである。
レッド絨毯を広げ、万国旗で飾り立て、太鼓と笛が鳴り響く。
壁にはヒエログリフと呼ばれる象形文字と不思議な半神半獣をモチーフとした障壁画が並ぶ。
そして、エルノスティ王の寝室では 映像投影魔具が設置しており、
あたかも古代エジプトのオアシス風景、神殿、ピラミッドが投影されていた。
なんとなく・・・古代エジプト風である。
サラの持つ前世の妙な記憶から エルノスティ国王と古代エジプトを結びつけたのだろうか!?
頭から下がパンダの着ぐるみという姿から 古代エジプトの半神半獣をイメージしたのかもしれない!!
障壁画の中には パンダ姿の半神半獣も描かれていた。
セルーカ王国は古代エジプト風である。 サラの単なる思い込みであった。
「ミレイユ聖女帝国の文化は・・・・ 興味深いですね」
招待されたエルノスティ国王は 障壁画や映像投影魔具から映る風景を興味深げに眺めるのである。
サラの思い込みだけで、装飾されているとは おそらく想像もしていないだろう!
ピラミッド、スフィンクス、様々な神々のフィギュア!?で飾られている古代エジプト風にアレンジされた寝室。
その寝室で、エルノスティ国王とルナ―リア、そして エレオノーラ王女、侍女パウネリアが集まり、
今後におけるセルーカ王国の方針を決める会議を始めているのであった。
ちなみに エルノスティ国王は着ぐるみを脱いで、国王として、それなりの普段着を着ている。
見た目は女性だからと言って 女性用の服は着てません。 男性用の衣装を着てます!! (見た目がどこかの劇団風のため、ある種の人気はありそうである)
「勝手に即位式をやっちゃって国王を名のってしまったのね!」
テーブルに載せてあるイチゴケーキを食べつつ、
エレオノーラ王女は、弟のエルノスティ国王に話しかけた。
「姉上! 俺が国王を名のって 何かまずいことでも?」
エルノスティ王は 大好きなイチゴジュースを飲みながら返事をした。
隣ではルナ―リア王妃(仮)は 大口をあけてイチゴケーキを食べ満足そうな顔である。
侍女パウネリアは セルーカ王国の人員不足から、大臣に抜擢され・・・・
侍女大臣という摩訶不思議な役職に就任して会議に出席をしている。
会議というよりお茶会なのだが・・・・ 一見すると女子だらけに見えるので女子会ともいえるが 男が一人混じっている。
とりあえず、パウネリア侍女大臣もおいしくイチゴケーキを口にいれて楽し気であった。
「ミレイユ陛下には・・・・・・
妾が次期国王であると宣言し聖女帝国との同盟を結んだのよね!!
だから、 妾の独断で結んだ条約規約の遂行が必要なの!! 対価の支払いね 」
「それはそうだ!! 王都奪回や再建にも力を貸してくれるそうだし、それなりの対価も必要だろうな 」
「よかった! 分かってくれて・・・・ 」
「・・・・・・って姉上。 ・・・・・むちゃな条約を結んだわけじゃ ないですよね?」
エルノスティ国王は一末の不安を感じた。
もしかして無茶な条約では!?
ちょっとイチゴジュースの持つ手が震える。
「そんな無茶なものではないです。
だだ、ミレイユ聖女帝国は 制空権がほしいと要求してきました」
エルノスティ国王は一瞬、理解できなかったが、徐々に分かりだし苦い顔をした。
「しかし・・・ 土地を欲されるよりは ましだが・・・・・
比喩ではなく 物理的に我が国の頭を押さえるという意味になりますね!!」
「サラ様は 我が国の上空に・・・天空の町を創りたいと言ってました!
聖女帝国の技術力なら 本当に創るでしょうね」
「・・・・・町!? 空に浮く町だって! それは興味深い!! 見てみたい。 俺もそんな町がほしい」
エルノスティ国王は羨ましがるのであった。
-------------------- To Be Continued ヾ(^Д^ヾ) 新聖暦 972年 セルーカ王国はここに復活した!!!
いきなり 暦設定が登場!!
新聖暦があるなら 旧聖暦もある!!
なにが基準であるかは・・・・・・・・禁則未設定です。
ここで この異世界での月名を紹介!!!
1月 陸月
2月 空月
3月 水月
4月 星月
5月 晴月
6月 雨月
7月 昼月
8月 淡月
9月 夜月
10月 風月
11月 霜月
12月 雪月




