旅立ち前日
第2話です!
今回はゆっくりと
「ねぇ、そろそろ起きなさい」
彼女の声が聞こえる、どうやら起こしに来てくれたようだ。だが、昨日は徹夜で魔道書を読んでいたのでまだ眠い。彼女には悪いが無視させてもらおう。
「起きなさいってば!起こしてって言ったの自分でしょ!」
そう言えばそうだった気もする…
「このっ、起きろってば!!」
怒鳴り声と同時に腹部に強烈な痛みが走り、
思わずベットから転げ落ち、咳き込む。
「ゴフッ、ゴフッ!お前馬鹿か!?
起きるどころか、永眠するところだったわ!」
そして犯人であろう黒髪の少女を睨む。
「カインが起きないのが悪いんじゃない!
ほら!殴ったせいで腕が取れちゃったのよ!
早く引っつけて!」
このカインと言うのが俺の名前だ。
目つきも悪く、ボサっとした青みのかかった黒髪に、病的なまでに白い肌で、人付き合いが苦手で友達も少ない。まぁぶっちゃけアリスさえいれば他はどうでもいい。
そしてこのうるさい黒髪の少女がアリス。
活発な印象を与えるであろうショートカットに大きな目、立派な胸部装甲、総じて俺とは違い人から好かれる少女だ。
しかし、アリスは1ヶ月ほど前に何者かにより
殺されてしまった。俺はアリスが死んだことに耐えきれず禁忌の術、ネクロマンスを行い
アリスを蘇生させたのだ。
アリスと楽しく毎日を過ごすのが俺の望みだ、
その為なら何でもしてやろう。
ネクロマンスをした事により村からは
出て行かざるをえなくなったが些細な事だ、
アリスと旅でもしながら犯人探しをすることにしよう。
「わかったよ、悪かったって。
ほら、腕貸して、引っつけるから。」
ネクロマンスの弊害でアリスの身体は
とても脆く、よく取れるので注意が必要だ。
まぁ、引っつけるのも特別な糸で縫い付けるだけなので簡単なのだが…
そのせいでアリスの肌にはよく見ないとわからないが、幾つものツギハギ跡がある。正直、少しだけ、俺のアリスだという感じがして気に入っている。
縫い付けるための糸は魔力で紡ぎだす。
詠唱も魔法陣もいらないタイプなので
とても簡単だ。
「ウウッ、目閉じてるから早く終わらせて。」
アリスはこの縫合作業がとても苦手だ。
毎回目を閉じるか背けてる、注射と同じような
感覚なのだろうか?
「痛みは感じないだろ?早く慣れろよ」
「そうは言ってもぉ…」
「ほら、終わったぞ!動かせるか?」
ものの3分もたたないうちに縫合は終了した。
これでも最初は大変だった。糸を作り出す勉強からして、初めて縫い付けた時は7分もかかってしまったので、上手く縫い付ける為に
ぬいぐるみで練習した。
その甲斐あって今では3分だ。
アリスは為ならどんな努力も苦にならない。
「うん!大丈夫そう!」
腕をグルグル回していたアリスは元気よく答えた。
「じゃあ朝飯にするか。えーっと今日は…」
「私の番だからもう作ってあるよ!」
我が家では日替わりで朝ご飯の担当を変えている。
アリスのご飯は食べたいが作らせるばっかりなのもアレなのでこのシステムにしたのだ。
今日の朝飯はキノコのスープと黒パン
煮込んだジャガイモだ。
「この村最後の1日だからな、その朝飯を
アリスが作ったのなんてラッキーだな。
幸先が良さそうだ。」
そう、今日はこの村で過ごせる最後の日だ。
明日の早朝にはこの村をでなければならない。
村を出た後はブラブラと旅でもするつもりだ。
朝飯を食べ終わるやいなや、
アリスが
「そうだ!最後に出かけたいな!
折角なんだし!思い出作りにさ!お願い!」
と、提案してきた。
アリスの願いだから叶えてあげたいけどなぁ
自分がゾンビってことをわかってるんだろか。
「なぁアリス、お前自分の事わかってるのか?
ゾンビだぞ?
周りのヤツらがきっとうるさい、
最初にバレた時の事忘れてないだろ?
お前に何かあったら俺はアイツらをどうするか
わからないぞ?」
初めは酷かった。仲の良かった友達も
俺やアリスの家族でさえも俺達を嫌悪し、
迫害してきた。
落ち着いてきたのだってごく最近だ。
それなのに街に出たらまたアリスが辛い目に
合うかもしれないのに…
「怖いけど大丈夫!
だって、カインが守ってくれるんでしょ?」
このアリスの言葉で俺は決めた。
「もちろんだ!誰にもお前を傷つけさせない。
全力でお前を守る。」
この言葉を実行するだけのチカラはある
もう俺に迷いはなかった。
「そうと決まれば準備しなきゃ!
じゃあ、うんとお洒落してくるね!」
そう言ってアリスは自分の部屋へ消えた。
じゃあ俺も用意をするか…
何があってもアリスを守る為にな
次回!2人が街へデートに!




