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爆墜王
零れ出そうな欠伸を噛み殺し、私は操縦桿を握り直した。
何だったか、最新の戦闘ロボとやらが先進国で製作されたらしく、今まで戦争を放棄していたはずの国が急に戦線浮上したと言ったか。機械で戦線浮上とはいかにも先進国らしい。
現実問題その戦闘ロボは中々手強いらしく、我が国屈指の爆墜王である私の出番と相成った訳だ。ただ出撃は嫌いではないのだが、いかんせん私は人間の乗った戦闘機を撃ち落とすのが専らであり、戦闘ロボとの対峙など退屈でしかない訳である。
私は胸のポケットから1枚の写真を取り出す。その中で、最愛の妻ジョセフィーが柔らかに微笑んでいた。
「もうすぐ帰るよ、ジョセフィー」
私は静かに写真に唇を付ける。とほぼ同時に、搭乗している愛機ベテルギウスの無線通信が入り、私はビクッと顔を跳ね上げる。
『こちら管制部、こちら管制部、戦闘機ベテルギウス操縦士ジルバ、異常はありますか?』
落ち着いた女の声が響く。管制部からの無線通信だ。私は出てくる溜息を呑み込んで応答する。
「こちら戦闘機ベテルギウス操縦士ジルバ、異常は見つかりません」
『目標物・戦闘ロボ"A"が近付いています。注意をはらうよう』
「…了解」
無線通信がブツリと切れると、私は盛大に溜息を吐く。
さて、仕事の時間だ。私は戦闘機を一気に加速させた。




